005 それはそうと自己紹介

「そうじゃな...ワシは年齢...はいいか。賢者エルリーナ=シュベツルフ=ワイナンじゃ」



「えるり...しゅべる...わい...?」



「気軽にエルとよんでくれ」



「はい!エルさん!」



「して、お主は何と言うのじゃ?」



「須藤啓太です。ケイタって呼んでください」



「うむ。ではケイタよ。お主はこの後どうするのじゃ?こんなところで何をしておった?」



 自室で寝てました。

 寝てたはずなんです。

 しかもこことは明らかに違う別の世界で。



 とは言えない。

 流石にバカな俺でもそんなことを言えば、あ、コイツ(察し)されることは分かってる。



 いや、目の前のエルフはそんなこと言わないだろうが。



 ってそういう話じゃないんだよ!



 えーっと、なんだっけ。そうそう。何してたかだな。



「分からん」



「えっ」



「いや、その、気がついたら、そのなんちゃらってやつの腹の中?に居て」



「...記憶喪失か」



「まぁそんなもんです」



 そういうことにしておこう。

 それがいい。

 あ、でも名前は覚えてたんだな。



 最近の出来事が思い出せないタイプの、なんか常識的なことは覚えてるタイプのやつにしよう。うん。



 目の前のエルフの少女はしばらく考え込んだ後、こんなことを言い出した。



「では、ワシと共に来るか?」



「喜んで!」



 即答した。



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