1.5
「んぱぁ……」
「――へ?」
気が付くと、仰向けの僕に式見が覆い被さっていた。
制服ではなく、下着のようなふわふわとした服を纏って、胸元やお腹、太ももは曝け出して。
しかも、式見は僕の人差し指をまたしても咥えて――出し入れしたり、唇をなぞらせたりしていた。
「なっ!? なにをやって――」
「んっ……蒼一くぅん。起きちゃったんだぁ。せっかく気持ちよくしてあげてるところだったのにぃ」
僕の人差し指を口から引き抜いた式見は、僕のことを艶めかしい表情で見てくる。
唇の横から涎が滴り、そのまま下へと伝っていく。
それ目で追ってしまった僕の体温は一気に上がる。
「ななな、なんでこんなことを!? ぼ、僕と式見は――」
「蒼一くぅんがあんな声出すからいけないんだぁ。恵香は単に爪の垢が欲しかっただけなのにぃ」
「ち、違う。僕は全然……気持ちよくなんか……」
言い訳を述べようとすると、式見は身体を前進させながら顔を僕の耳元まで近づけてくる。
「別に遠慮しなくていいの。今度は――恵香を気持ちよくしてくれればいいから」
「し、式見を!?」
「そう。この整えられた指先で……ね?」
そう言いながら式見は身体を起こして、今度は僕の腹の上に跨った。
そうして、式見の手は僕の身体の下の方へ――
「うわぁ!?」
目を覚ますと、自室のベッドで僕はぐっしょりと汗をかいていた。
その直後に、自分が見てしまった夢について物凄い恥ずかしさがこみ上げてくる。
――何をやってるんだ。今まで知り合いが夢に出るようなことなんてなかったのに。
しかも、今日知り合ったばかりの式見を――性的な目で見てしまうなんて。これじゃあ京本の普段の言動を悪く言う資格はない。
事には至らなかったから良かったものの――うん、間違いなく良かった。後悔など微塵もしていない。
ただ、夢の続きとは別の言い訳をさせて貰うなら――式見にも半分くらい責任がある。
それは式見に指を咥えられたことだけじゃなく、式見の発言について調べてしまったからだ。
こうして、僕は式見恵香のせいで――彼女がいる男性は女性を○○○するために爪を短くしているという余計な知識を得てしまった。
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