第23話 姉弟じゃなく 

「ねえ、舐めて、舐めてあげるから」

 沙織が指で弄んでいたものに口を付けた。身体をごそごそと動かして下半身を亮の目の前に持ってきた。


「まだこれあるんだ」

 指に引っかかるわっかのようなもの

「だって、相手いないもの」

「なんで、大学にいるでしょ、いい男」


 沙織は六甲山のふもとにある国立大学に行っている。本当は地元にある国立大学に行きたかったのだが、浪人するわけにもいかず今の大学を選んだ。法学部で大学に残るか司法試験を目指すか、らしい。

「なんかぴんと来ないんだ、友達はもう結構やってるけどね」


「亮ほどの男いないんだな」

 え、っと思った。

「ごめん、気にしないで」

 亮は沙織の体を押しやると座りなおした。


「さーちゃん、俺も知ってるんだ」

 沙織は明らかに動揺した。

「何を」

「俺とさーちゃん、やってもいいってこと」

 二人の間に沈黙が流れた。

「でもやっちゃったら、こんな日常が壊れるかと思って、やっても姉弟でいれるかなあ」


「なんで気が付いたの」

「さーちゃんが大学に受かった時、戸籍取ったでしょ家族全員の載ったやつ」

「見たの?」

「うん」

「どう思った」

「だからさーちゃんと、そうなりたいと思ったんだって」


 亮は、事故で無くなった母の妹夫婦の子供だった。

「ごめんね、じゃあ入れなかったのは、私のために。本当はこんなことするたびに我慢させてた?」

「うん、姉弟って関係を、壊したくないんだろうなって。俺、さーちゃんすきだから、このままでもいいかなって」


 沙織は下を向いた、何かを考えている。

「あれ持ってる? ううん中に出さないって約束できる?」


 亮は沙織の顔に顔を近づけた。唇を重ねる。

 そういえば沙織とキスしたことなかったな、そんなことを思いながら体を押し倒していった。


 長い長いキス、沙織が話してくれない。彼女は何年我慢をしていたのだろう。

 初めて沙織の上に出してから三年がたっている。

 悩んだろうし、それでも亮を避けたことは一度もなかった。

 薫としんこ、いつみに史乃、みんなと泊まったり遊んだりしていたのを、どう思っていたのだろう。


 沙織が亮の背中にまわした腕に力を込めた。

「して、亮を独占したいなんて言わないから」

 亮は答える代わりに、指を沙織のそこにあてた。

 もう準備は整っている。


「あ、だめだ、タオルしかなきゃ」

 沙織がガバっと起きた。

「持ってるならつけてて、あれ」


 おーい、せっかくのムードぶち壊しだよ、亮は少しだけ、ぶー垂れそうになった。

「痛いかな、血、出るかな。優しくしてね」

「うん、ね、さーちゃんこれ付けて」

 亮はコンドームを沙織に渡した。

「え、つけかた知らないよ」

「まず大きくして、それでね」


 ムードも気分もないけどだけど、これくらい楽しくの方がきっといいんだろうな、そうじゃないと姉弟の壁は越えられそうになかった。


「さーちゃん、きれいだ。いつも見てたけど」

 沙織は、亮の唇に人差し指を当てた。もう話さないでってことだろう。

 唇に唇が触れた。


 沙織の脚をおおきくひろげた、そこに固くなったものを当てる。

 これを押し込んだらもう姉弟じゃなくなる、そう思うとためらいがあった。


「いれて、ずっと入れてほしかった」

 沙織がほんの僅か腰を動かした。

 沙織がしがみついてくる。

「大丈夫? 痛くない?」

 いつも同じこと聞いてる、みんなこの時の反応は似てる、でも少しずつ違う。


 熱い時間が過ぎた。同じように寝転んでいても、今朝までとは違う二人になっていた。

「あのね、私来週にこの家出るから」

「え、なんで」

「友達がさ、一緒に住もうって。、女の子だよ栃原真澄、一回あったことあるよね」


 沙織の中学生のころからの友人だ、細面の美人、小さかったころは遊んでもらった覚えがあった。


「神戸まで通う定期代もったいないから、二人で暮らしたら、いろいろ安いからって」

「母さんには?」

「うん話してある、ちゃんと亮にはお小遣い送るから」

「いいよ、それは、薫としんこがくれるから」

「あんたジゴロみたいだね、気を付けないと身を持ち崩すよ、ま、大丈夫か」


 気は付けている、来月から新聞配達でもしようかと思っているくらいだ。

「たまには帰ってくるから、その時はいっぱいしようね」

 沙織はそういうともう一度キスをした。




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