第15話 夏休み その2

「コンドーム持ってる?」

 亮はバッグの中からそれを取り出した。

「使わないで、大丈夫だから、亮君を体に刻みたい」


 伊都美は亮の目で全裸で立っている、亮にすべてを覚えていてほしいと願ったのだ。

「亮君のも見せて」

 まだ誰も触れたことのない白い肌、胸も小さいし、腰もまだ締まり切ってはいない。それでも、ほかのだれより奇麗だと亮は思う。


 大きく膨らみ始めた亮のものに恐る恐る手をのばしてとうとう握った。

「熱い、これを私の中に、いれて。今日だけはわたしだけのもの」


 亮は伊都美をしっかりと抱きしめた。そのままベッドに押し倒していく。

 伊都美と初めてのディープキス。伊都美から亮の舌を求めてきた。


 二人だけの熱い時間が過ぎていく。

 これでもう最後、その気持ちが二人を高めていく、ただ一度の夜。

 本当はほんの数分だったろうが、無限の時間が過ぎたような気がした。

「亮君、私を忘れないでね」

 伊都美は亮の腕の中で泣いた。


 泣いて泣いて、唇を求め、体を求めあった。

 抱きしめたままいつの間にか浅い眠りに落ちた。


「ごはんつくったよ」

 いつの間にベッドを抜け出したのだろう。

 伊都美は裸にエプロンのままで亮を起こした。

 髪をきちんとまとめ、大きなリボンを結んでいる 

 その姿が可愛くて亮は伊都美をもう一度ベッドに引きずりこんだ。


「ごはんさめちゃうよ」

 そう言いながら伊都美の体は反応した。

 昨日の夜から数えて何回目だろう、処女だったの彼女の体は、もう女になっている。


「ほら、せっかくの目玉焼き冷めちゃった」

「伊都美が作ってくれたの何でもおいしいよ」


「なんか新婚さんみたいだね」

 亮がそういうと伊都美はまた泣き出した。


 玄関でキスをして別れた。

 伊都美は今日からもう学校には来ないらしい、見送りにも来ないでと言われた。

「亮君、ありがとう、愛してる」

「俺も」


 自転車に乗って亮は泣いた。

 初恋が終わった朝だった。


 ずっと後になって、伊都美がアメリカで結婚したと聞いた。彼女が日本に帰ってきたとは聞いていない。

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