第7話 いつみ

 一学年のクラスは十六クラス。一クラス四十二名。さすがに多すぎ。取りあえずは静かにすることにした。だいたいにおいて、目立ったところでろくなことはない。


 可愛いと思う女の子は、うーん、三人ぐらいか。でもどの子もまだ性格がわからない。焦ることもないし、よければそのうちになどと考えていた。


 ただその前に、飛び込みで入ってきた女の子がいた。

 中沢伊都美なかさわいつみ、百四十センチほどの伸長に丸い顔。さしづめ今なら三頭身キャラといったような雰囲気がある子だった。


 クラスは隣の十二組、吹奏楽部で出会った子だ。

 彼女はフルートを吹いていた。

 小学校は隣の市の第一K小。ここは阪急電鉄が作った新興住宅地で、サラリーマンの街だった。


 伊都美は小学校の時からフルートを習っていた。

 亮は別に楽器ができたわけではないが、沙織の楽器の一つもできたらもてるよ、という言葉でその気になった。


「住谷君、楽器何やるの」

 伊都美が亮に話しかけた最初の言葉だ。

「俺?、わかんない。そもそもよく分かってないんだ」

「木管、それとも金管?」

 なんだそれ、聞いたことのなかった言葉だ。そもそも音楽の授業なんて楽しいと思ったことなどなかった。


 伊都美は不思議なものでも見るような顔で亮を見た。

「楽器吹いたことある?」

「ハーモニカと縦笛ぐらい」

「ピアノは弾ける」

「まさか」

「楽譜読める?」

「全然」


「部長、住谷君はサックスやりたいって言ってます。でも楽譜読めないそうなんで、私一緒に練習していいですか」

 亮は、伊都美が何を言ったのか全く分からなかった。


「そうなの、いいよ、中沢さんの好きなように」

 部長の立石さんは俺の意見を聞くこともなくあっさりとOKを出した。

 あとでわかったが、部長は伊都美の幼馴染らしい。


 サックス担当は、今空席だったらしい。吹いていた先輩が卒業してしまい、あとが誰もいなかったのだ。

 クラリネット三人、フルート三人、トランペット二人、トロンボーン二人、ユーフォニューム一人、スーザフォン一人、パーカッション一人そこにアルトサックスになった亮。


 バランスも何もあったものじゃない。二千人弱の生徒がいる学校でたったこれだけの吹奏楽部。クラスより居心地はよかった。なにより先輩の女子に美人が多かった。


 リードの付け方と音の出し方は、クラリネットの上水流かみつるさんが教えてくれた。

 上水流さんは胸の大きな人で制服のカッターシャツの合わせ部分からよくブラジャーを拝ませてくれていた。


 フルートの立石さんはおてんばでよくパンティーを見せてくれる。同じくフルートの山本さんはブラジャーもパンティーも見せてくれなかったけれど細身の美人だった。


 同級生の上田は、可愛くも色ぽっくもないが、話が面白い。男子は割愛。


「住谷君、スケールやるよ」

 音楽室に顔を出すなり、伊都美に声をかけられた。

 O中学の音楽室には、練習用の小部屋がいくつかあった。そのうちの一部屋が伊都美と亮の部屋のようになっていた。


 伊都美は練習をしなくても大抵の曲は演奏できた。一方、楽譜も読めない亮は部員一の落ちこぼれだった。

 それゆえに、亮は伊都美の生徒のような扱いになっていた。


 伊都美のスカートは短い、正面に座るとほぼパンティーが見えた。本人は絶対気が付いていると亮は思っていた。

 それだけではなかった、楽譜の説明とか言う名目でそばに近づくと、伊都美はよく胸を亮の体に押し付けてきた。


 SEXの相手はなおだけで十分だった。それでも同級生としてみたいという気持ちもあった。

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