第111話 再生数をゲットしよう!
さて、次の動画のネタはどうしようかな。
オレはそう思ってYoutudeのアナリティクスを確認していた。
アナリティクスとは、自分のチャンネルや動画の分析ツールであり、Youtudeが提供している。
視聴回数やエンゲージメント、視聴者の性別や年齢や居住国、視聴時間や収益など様々なデータを確認できる機能だ。
肯定的なコメントやフィードバックが九割以上であり、批判的・中立的なものは一割未満だ。
視聴者はおおむね満足しているといえるだろう。
また男性が約72%であり、女性が約28%だ。
これは女性の割合が非常に高いと言えた。
ダンジョン配信者は刺激的なコンテンツであり、男性視聴者のほうが多い。
また2013年の今は配信が流行の兆しを見せ始めたばかりのこともあり、こういった出始めのサービスは男性割合のほうが統計的に多い傾向にある。
それを踏まえ他のチャンネルを見ると、ダンジョン配信コンテンツは女性が10%を超えれば、なかなか女性人気があると言えた。
そして年齢層は十代後半から三十代前半がメインだ。
「ふむふむ……」
メインコンテンツはダンジョン攻略動画と裏技攻略が人気がある。
そして数は少ないが、トラブルを解決するようなものがさらに再生数は高かった。
たとえば、沙月をゴブリンの希少種から救う動画。
または真白さんのときの、悪徳探索者との戦い。
その少し後に精霊を奪おうと襲い掛かってきた迷惑系配信者との戦いなどだ。
精霊王の事件は別格で再生数が伸びている。
これは外国人視聴者の割合がかなり多かった。
それでも国別でみれば日本人が一番多くはあるのだが。
だが、それに迫るくらいアメリカからの視聴者が多い。
もちろん他の国からのアクセスも多いが、アメリカがダントツだった。
次点で山の神との戦いだ。
オレはふと思い立つ。
――そういえば最近、ダンジョンでの殺人が多いといっていたな。誰が言い始めたかは知らないが、ダンジョンでの殺人者はRPKer、もしくはPKerと呼ばれていた。
RealPlayerKillerやPlayerKillerのことである。
なぜゲームのようなその名称が使われているかと言えば、少し前に流行っていたネットゲームの名残だ。
まるでゲームが現実に現れたような設定に、その名称で呼ぶものが現れたのだ。
政府はそのことを歓迎していなかった。
犯罪が軽く考えられてしまうという考えから、以下の名称で呼ばせようとしている。
制限区域探索施設暴力犯罪者(Restricted Area Exploration Facility Violent Offenders)。
ちなみにこれは全く浸透しておらず、この名称を言っても「え?」という反応をされることは確定的に明らかだ。
「よし……RPKer、捕まえるか」
いわゆる私人逮捕だ。
未来ではそれが問題になったときもある。
私人逮捕は一般探索者が他の犯罪探索者を捕まえることで、その様子を配信したりするのだ。
この時問題になったのは、冤罪だ。または動画の切り貼りによって犯罪者に仕立て上げたりすることだ。再生数に目が眩み、そうなってしまった探索者は数多くいた。
ここで一足先に、犯罪者を捕まえる動画を作り、ある程度のルールを先に作ってしまうことで、未来で起こる問題を減らすこともできるかもしれない。
ということで、オレはRPKerを捕まえるためにダンジョンへとやってきた。
やってきたのはモンスター混合の、ごく一般的なダンジョンだ。
普段オレはこのタイプのダンジョンに来ることは少ない。
それはいつも配信や動画の撮影でダンジョンにきているためだ。
一般的なダンジョンは、特定の攻略方法でごり押しすることができないからだ。
だから攻略配信や攻略動画を撮る場所としては、特定の種族しか出てこないダンジョンのほうが優れていた。
だが、どんなメンバーでもそこそこ戦えるような汎用ダンジョンのほうが、人の数は多い。
つまり、犯罪も多いのだ。
オレは洞窟のような見た目をしているダンジョンの入口へと向かう。街中にあるのがシュールだ。付近には受付の探索者ギルドの職員もいた。
「こんにちはー。ハルカです! 今日は東京のはずれにあるダンジョンに来ています! このダンジョンは特徴がないことが特徴です。ですので、今日は一般的なダンジョンをどうやって攻略していくか、という配信をお送りしたいと思います!」
【おはるかー】
【今日は一般ダンジョンなんだね。珍しい】
そういうカバーストーリーだ。
あとはRPKerに会えたらラッキーくらいのつもりでもいいだろう。
ダンジョンに入ろうとすると、ちょうど近くにいった薄紫色の髪をした少女とぶつかりそうになった。
「あ、すみません」とオレ。
「ご、ごめんなさい」と少女。
二人で謝りあい、その少女と目が合う。
ここでオレは、あることを思い出した。
そういえばオレのアナリティクスは、女性がかなり多かった。
ちょっと女性サービス要素も取り入れてみるか(この間わずか0.01秒)。
「大丈夫かな? お嬢さん。君のような子が一人でダンジョンなんて――」
オレはオレが思う最高にキラついた顔でそう声をかけ、手を伸ばす。
すると少女はギョッとした顔をして「あひゃぁ!」と叫び後ろに倒れかかった。
「危ない!」
慌ててオレは手を伸ばす。
すると少女は「あひぃ!」とその手を回避し、ブリッジのような姿になった。
「えぇ……。あの、大丈夫ですか……?」
「ひゃ、うあ、ああ、あわわわ……ひゃぁぁ…………!!」
そう叫んでブリッジ状態で器用に手足を動かし、逆さ四つ足(?)でダンジョンの中へと入っていった。
【え。ダンジョン外に新種のモンスター……?】
「いえ、あれは人でしたね……。というかオレなんかしましたかね……?」
オレの笑顔、そんなヤバいのか……? それともセリフ?
あとで沙月か真白さんに聞いてみよう。
鉄浄さんはメイン視聴層の年齢とは違うしな……。
あとは璃音か?
だけど璃音はふざけて嘘つきそうだからやめておくか。
オレはあいつから見ろと渡された映画の宿題を日々消化しているというのに、勝手に来ては新しい映画を勝手に紛れ込ませていくという、詐欺的行為をしているようなやつだ。
「ま、まぁ、気を取り直して、ダンジョンに入っていこうと思います!」
さあ、出てこいRPKer!
オレはダンジョン犯罪者との邂逅を楽しみにしつつ、ダンジョン内へと入る。
ここは、ダンジョン犯罪率が高いという情報を聞いているのだ。
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あとがき
皆さんありがとうございます!
ありがたいことにギフトをいただきまして、そのギフトは執筆にあてさせていただきます。
Xに写真も乗せたのですが、モンスターエナジーパイプラインパンチ(通称ピンモン)を箱買いしちゃいました!
ピンモンというスタドリを錬成したので、これを飲んでスタミナ回復しつつ書いていこうと思ってます!
本当にありがとう!!
お礼として細やかですが、本編外のSSなんかを書いてサポーター様に公開させていただこうと思ってます。
次回もがんばりますのでぜひとも、ブクマ・高評価・コメントでの応援をよろしくお願いいたします!!
ブクマ数が増えてると嬉しいです!
評価が増えてるとモチベがあります!
ここが楽しかったよ! と応援コメントをもらうとやる気がみなぎります!
ですので、応援よろしくお願いします!!
どうか今後も、暖かい目でこの物語を見守っていただければと思います!
もちぱん太郎
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