RR016  恋総じて盲目で、でもそれは君だけを見つめられる瞳とも言う



*>>アリア視点 2日目





 小さい時からあいつは私の側にいて。

 だけど、あいつと私はずっと遠くて。


 私はRBGでは革命者。と呼ばれるプレイヤー。ゲームでは「アリア」と名乗っていますわ。


 そんな私の本名はアリア・エリアルナ。

 大きな所有地を持つエリアルナ家。身分差ははるか昔に消え去ったけど。それまでに持っていた財産までは消えていない。

 1000年前の誰とも知らぬご先祖さまが富豪ふごうだったと言われても実感はかないのは当然。何せその人のデータはほとんど残っていないのだから。そんな家のお嬢様なのですわ。


 幾度いくども繰り広げた戦火の前に残るものなどわずかなもの。残っているのが奇跡的な価値だと言えるほど。








 さて、そんな奇跡があった我がエリアルナ家は、現代もこうしてその富の名残りが見て取れ、その他大多数の一般人とは少し違う待遇を受ける側にある。


 と言っても殆ど変わらないのだけど、強いて言うなら順番待ちが優先されたり、滅多に使わないけど「お金」を消費して獲得するような貴重なものでも割とあっさり手元に届く。といったところだ。



 そんな私。アリア・エリアルナは親の教育の元、小さな頃から色んな知識や礼節などを叩き込まれる。だからこの語尾がお嬢様口調な「ですわ」はもはや癖なのですわ。


 果たしてこの知識や経験を使える場所が現代にあるのか?と思わなくもない。

 何をするにも退屈な幼少期だった覚えがある。でもそんな時にあいつは私の前に現れた。


「お?ここの子か?俺はハルト。いやー!広いなこの家w、親たちが行っちゃダメって言うからきてみたけど、広いだけでなんもなかったw」


 この敷地しきち内にどうやって入ってきたのか。というか入って来れたのか。

 うちの警備は一体どうなっているのか疑問に思いながらも辺りを見回す。


「どーせならさ!お前が案内してくれよw面白いものあるか?剣とか!」



 よく見ると、この少年の後ろ。壁に隠れるように警備用ロボがいた。


 警備ロボは外敵は断固として侵入をこばむ。ただし、この少年に対しては即座に捕縛ほばくする気配はない。たぶん、遠巻きに観察?しているのだと思う。


「ほら!いくぜ!」


「あ、ちょっと!?」



 こいつは私の腕を掴んでそのまま楽しそうに屋敷を歩き始めた。未だに警備ロボはついてくるのみである。



「それで?ここって面白いものどこにあるんだ?」


 そうだった、そんなことを言っていた。



「面白い…ものは。そ、そうですわね。図書室なんでどうですの?」


「えーと?まあ、そこでいいや!」


 この頃のこいつはたぶん「図書室」っていうワードすら知らなかったのでしょうね。


 そのまま私は手をつかまれたまま図書室に向かうことにしました。




*




「なぁ、これってたのしいか?w」


 図書室に入り、私はそれまでの予定通り、お勉強を始めました。そんな時、ものの数分でこいつは根をあげます。


「つまんねーから他の場所行こうぜw」


 そんなことを言い出しますが、私は決められたお勉強の真っ最中。こいつにかまってあげる時間など無に等しい。


 が、最早無理やり私を立たせると強引に連れ回して行きます。だから警備ロボはなぜ止めないのか…




 そのあとも色んなところに勝手に連れ回され、家にある骨董品のひとつ。剣やら弓矢やら、私ですらなぜあるのか分からないものがある部屋で彼はめいっぱいはしゃいでいました。


 その後、何か興奮冷めやらぬ様子のそいつはいつの間にか帰り、後に残された私は遅れた分を取り戻すように勉強へと戻りました。


 まあ、どうせもう飽きて来ないだろう。そう思っていました。







 その日以来、こいつは毎日私の家に不法侵入し、私を連れ回すようになるのです。普通に超迷惑でしたわ…


 どれだけ不法侵入を繰り返しても一向に警備ロボは監視するだけ、仕舞いには害はないと判断してかお客様対応へと切り替わっていました。何故に?こいつ不法侵入なんですけど?最近は監視すらついてないんですけど?私が目下もっかお勉強強制終了させられて被害甚大じんだいなのですけど!?




 そんな環境が続けばもちろん勉強がおろかになり私の成績は落ちてしまいました。が、両親はそんなに怒ることも無く…

 え?私はそこまで期待されてないのか?と当時疑心暗鬼になりかけました。

 



 そんな唐突に始まったこの状況はついに数年も続いてしましました…



 それだけ長いこと付きまとわれればいやでも意識せざる負えません…。が、そんなこと本人にはもちろん言えるはずもなく。

 そもそも同年代の異性に触れてこなかった私にとっては不幸にもこいつしかいませんでした。

 あいつを見ていると自由でいいな…。と考えることが増え、ふと自分の立場を考えて立ち止まってしまいます。



 たけどムカつくので思いっきって勉強をサボって見ました。

 もちろん勉強していないので知識は身につきません。でもやっぱり怒られることはありませんでした。


 今思えば、もしかして全部両親の思惑おもわく通りなのかも?とふと思います。

 何故か、私があいつの事を話すと両親はそれは嬉しそうに話を聞くのです。当時は訳が分かりませんでした。

 あれだけ頑張っていた勉強もいつしかある程度習得出来ればよしとし、とりあえずあのムカつく生意気なやつをギャフンと言わせるべく、あいつの得意なことでギャフンと言わせることに決めました。



 そんなある日。ハルトは私にRBGをすすめてきたのです。





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