SS013 スズネの音色は宿木の子守唄
「「カワイイ!!」」
丸っこくて大きくてふわふわで丸っこいスズメ。いかにも抱き枕にしてくださいと言わんばかりのそのモフモフ加減に私達は思わず叫ぶ。
スズメはそんな私達を見て可愛らしくも首を
「あれがボス?」
「たぶん」
ボスの
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チェインクエスト:今一度羽ばたきを手に入れて
クリア条件:「スズネ」の撃破
参加者:アキアカネ、ヒカリ
報酬:結界突破
集団報酬:結界解除
集団クリア条件:合計50回の「スズネ」の撃破
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私達の目の前に現れるクエスト画面。書いてある内容はほとんど理解できないものの、2人ともとりあえずあのスズメ。もとい「スズネ」を倒せばいいことは分かる。
「ヒカリ」
「ん。とりあえず。倒す」
武器を
「あ、あんなに可愛いのに!!攻撃したくない!!」
「それは。同意。でも、やらないと。クリア出来ない」
そんな二人を見て、スズネはそのモフモフな巨体をこちらに向ける。ゆっさゆっさな羽毛がッ!!一歩歩く事に体がバウンドするようなフワフワ加減…
チュン!!
ひと鳴き。そのひと
「うわっ!?」
吹き荒れ襲いかかる暴風はさらに、あたりの木の葉を鋭い弾幕のように降り注がせる。大きな葉っぱは槍で弾くとかなりの手応えとともに「ガキンっ!!」ととても木の葉だとは思えない効果音を
「当たったらやばめ!」
「ん」
何とか暴風に
「ヒカリ!使うよ!!」
「ん、私も」
ひとまず槍を構えてスズネを狙う。
「【
穂先が発光しだし、振った
可愛いけど油断したらダメ。心を鬼にして挑む。
「ん。【
ヒカリも装備しているグローブが発光、拳を振り抜き弾幕が次々と放たれた。
動きはそこまで早くないスズネだが、弾幕を食らわさせてもHPはさほど減らない。さらに近付こうにも暴風が邪魔をして上手いこと近接戦に持ち込むことは出来ない。
「硬い」
「どっちかって言うとやわらかそうな見た目なのにね」
何とか攻撃を続ける。スズネ自体の攻撃パターンは単調で、何とかHPを少しづつ減らしていくことは可能だった。心配なのはMPの残量だが、2人ともこのスズネが本日ラストバトルだろうと考えて
そうしてスズネのHPが3分の1程度になる。すると暴風がやみスズネは可愛らしい鳴き声で鳴き声をあげた。
チュンチュン!!
「「!?」」
2人の動きが一瞬だけ止まる。
「なに?!」
「たぶん、〔
ーーーー
スキル:咆哮
カテゴリー:音響系
ランク:緑
発動:アクティブ
概要:〔咆哮〕に相手に一定確率で■■値減少を引き起こす。自身の■■値は上昇補正が入る。〔咆哮〕時、普段よりも広い範囲に自身の声が届く。また近距離で相手を 状態異常:恐怖 にして動きを止める。
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ヒカリの予想通り、スズネの〔咆哮〕。咆哮とは似ても似つかわしくない可愛らしい鳴き声だが、スキルとしての効果は発揮され、私達はほんの一瞬だけ 状態異常:恐怖 になる。
すぐに抜け出せたがこれを連発されると
「あ」
「げ。…また?」
その鳴き声に呼ばれるようにあたりの木の葉の隙間から現れるキツツキの
暴風がやんだ代わりに、またもや全方位からのキツツキ攻撃。2人は弾幕シールドを盾替わりに何とか耐え
チュン!
「うっ!?」
動きが止まり、さらに狙い済ましたかのように同時にキツツキ達が私目掛けて攻撃してきた。やばい体が強制的に止まると全部のタイミングがズレて体の制御がおぼつかない!
急所には当たらなかったものの少なくないダメージを負う。HPは残り半分程度まで減ってしまっている。
ヒカリが私を守るように弾幕を〔回す〕即席シールドを作り上げてくれた。そのすきに何とか体勢を立て直す。
チュン!
「ん!?」
しかし、今度はヒカリがスズネ本体からの攻撃に吹き飛ばされた。
「ヒカリ!!」
「ん!!」
ヒカリは崩れた体勢から何とか地面に着地、そのまま拳を自分の後方に振り抜き。軽い〔衝撃波〕を飛ばす。その衝撃波の威力を使って自己の吹き飛ばされたエネルギーの方向を無理やり反転させ、さらにスズネに急接近して行く。
ーーーー
スキル:衝撃波
カテゴリー:音響系
ランク:青
発動:アクティブ
概要:〔衝撃〕とは違い、無手や自身の装備から〔衝撃波〕を発生させる。衝撃波は起点から近いほど攻撃力が増えるが離れれば効果が無くなる。MPかSPを消費することで繰り出せる。
ーーーー
「行動パターン。変わった。これで本体。当たる【
そのまま肉薄することに成功したヒカリ。繰り出した技が一点集中一撃をスズネに叩き込むことに成功した。
チュン!?
これにはたまらず
スズネは何とか後ずさると、今度は翼を広げて飛び立つ。
「飛んだ!」
「鳥。だから」
重そうな見た目とは裏腹に空へ躍り出たスズネは空中からキツツキに指示を飛ばす。
チュンチュン!!
横一列に整列したキツツキが色んな方角から波状攻撃を繰り返す。
しっかり見定めれば回避は出来るが、今度はスズネへの攻撃手段が見つからない。
「飛べないのがきついね」
「ん。弾幕。削りきれない。かも?」
2人ともMPもそこそこ消耗している。もし弾幕で攻撃しても先にMPぎれを起こす方が早いと判断したヒカリ。確かに見ればMPMPは心もとない。
チュンチュンチュンチュンチュン!!
それからもキツツキは色んなパターンで突撃を繰り返す。めんどくさいこのキツツキ攻撃だがそもそもキツツキたちのHPは低い。どんどん数が減っていく。
キツツキ達が
「これさ。キツツキ全部倒したら降りてきくる?」
「やってみる?」
「うん!」
一旦、キツツキを
勘だが何となくそんな感じがするのでMP削減のためできるだけ近接武器で物理的にたたき落としていく。
槍でなぎ払い、グローブでそれぞれの個体を正確に撃ち落としていく。
10分程で全てのキツツキを倒し切ることに成功した。
するとスズネは鳴き声を止め私達目掛けて突撃を仕掛けてくる。ビンゴ!
「ここだね!」
「ん。決める」
そのまま真正面からスズネを受け止めるべく2人で武器を構えた。
チューーーン!!
「【
「【
両者突撃。深々と突き刺さる攻撃とそれを頭突きで
結果は…
チュン…
消滅するスズネ。その場に残った私達はそのままハイタッチして勝利を
あっ!モフモフ出来なかった…
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