SS002  クエスト「資材を集めよう」



「なかなか景色は綺麗だよ?ヒカリ」


「ん。それは納得。幻想的」



 2人の前に広がる世界は現実とはかけはなれた幻想的な光景。数々の大小からなる島々が空へ浮かび、ある島は紅葉こうよう生いしげり、ある島は滝のように水がしたたり落ちている。さらに目立つのは一際大きな…。



「でかい木ぃ!!」


「アキ、とりあえずクエスト。進める」


 いまだ辺りを見回しながらはしゃぐ私。そんな私を放置して、ヒカリは1人スタスタと今私たちがいる浮島の木々がある方へ進んでいく。


「あ、ちょっと!待ってよ!まだスクショ取り切れてないのに!」


 1人で先に進むヒカリ。少しぐらいこの新天地の景色楽しもうよー。

 どうやら早速イベントのクエストを見ているらしく私が止めてもどこか上の空である。ぶー


 ここはRBG内。基本的にARなRBGだがこの空間は現実世界には無い浮島郡だ。VRも混ざっているのは間違いない。そしてヒカリにならいメニューから現在確認できるクエストを空中に浮かぶフォログラムウィンドウから確認していく。




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イベントクエスト:空中都市の構築


クリア条件:空中都市を作り上げる

参加者:任意

報酬:空中都市の出現と永続的な都市獲得


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クエスト:資材を集めよう


クリア条件:資材の確保

参加者:全員

報酬:他プレイヤーとの合流、イベントクエスト進行、中央の島へのバリア解除



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(ん…。文面的に、クエストクリアまで。他の島への移動。無理そう?)


 何を考えているのか。追いついたついでに表情を覗いてみるもいつも通りの無表情。ヒカリは基本的に表情を表に出さない。いーーーーーっつも無表情である。なんか心配になる。

 ただ一緒に過ごすとわかるのだが表情には出ないだけでまあまあそれなりに感情豊かではある。




「アキ」


「なに?」


 そんなヒカリが私に声をかけてきた。ん?なになに?頼られるアキアカネおねーちゃんになんでも言ってみ?


「今から少し。あそこに見える。島まで。飛べる?」


「おお!おまかせ!」



 ヒカリは比較的近くの浮島を指し示し、私になにか試して欲しいらしくそこへ向かうようにお願いしてきた!おまかせあれ!

 ヒカリがなにか思いついているならそれに協力しておくことに越したことはない。自分は指示されたことをこなせばなんとかなるだろう。


カコーン!!?

「ウギャ!?!?」



 結果、無警戒に飛び立った私は先程までいた浮島から一定の範囲で見えないバリアに激突する羽目になった。


 そんな私を見てヒカリはうんうんとうなずく。え!?わかっててやったの!?

 ちょっ!せめて可視化しといてくれてもいいじゃんこのバリア!



(クエストクリア。以外の道はひとまず。無い)


「この!?おりゃ!!」


 とりあえずむしゃくしゃしたのでバリアに攻撃してみるも一向にビクともしない。


「無理…」


「知ってた」


 呆気なくそう答えたヒカリを、知っててやらせたな!?と睨む。

 当の本人はもう既に木々に触れてみたりして色々探りを入れているようであった。ひどい…


 と適当にヒカリと同じように辺りを散策していると…


「おおー!果物実ってるよ。これ食料になるよね?」


「ん。〔物品鑑定〕した。食べれる」


「おーー!ならいただきまーす!!あまぁ!!」



 そういえば、このゲームは基本的に「食料」は必要としない。それはログイン地点を現在地にした場合。満腹度も回復するためである。それにほとんどのその満腹度も減らない。が、現在はイベントエリア。期間がどのくらいになるか分からないが、このままここにログインし続けるといずれ状態異常:空腹になるだろう。


 もしかして意外といるもの多い?あ、でもこのよく分からないりんごみたいなの美味しーぃ!!甘い!


「アキ、資源。とりあえず。拾えるもの全部。集める。よ」


「はーい」




 とりあえず私はこのりんごみたいなの集めまくった!

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