第29話 《カリン》遺跡2

 カリンです。広場の扉を開け、通路に出てきました。私もですが、皆さん気分が落ち込んでいます。通路で休憩をします。私はお茶を出し皆さんに配りました。少し落ち着くといいなと思います。

「みんな、どうした。俺たちが彼らを連れ帰ってやらんでどうする」

「そうね。私たちが元気で帰らなきゃね」

 私もマーリンさんもサラさんもレベッカさんも、無理しているのが分かります。でも、私たちは、まだ生きています。生きて地上に帰らなければなりません。


 外を目指して通路を進みます。最初と同じで小部屋がありますが、全て素通りします。しばらく進むと豪華な扉の前に出ました。最後であれば良いなと思います。装備の点検をしてマーリンさんが扉を開け、中に入りました。元はオーガでしょうか。角のある大きな骨の魔物、スケルトンが居ました。骨のお化けのスケルトンは珍しい魔物ですが、以前にも見た事があるので驚いたりはしません。傍らには少し大きめですが森の掃除屋のスライムがいます。スライムは良く見る魔物です。先ほどのミノタウロスと比べるとアレ?って感じがします。

 レベッカさんとサラさんが魔法を放ち、マーリンさんが剣で切りつけます。2体は粉々になりました。終わりでしょうか?と思ったら、小さな破片が小さな骨とスライムになり、数が増えました。『えええ!』

「ぶ、分裂しやがった・・・」

 小さな骨とスライムが襲ってきます。力はそれ程でもありませんが、数が多く、切断すると倍々で増えていきます。それにスライムは溶解液を出しているようで、武器、防具、服が溶けていきます。このまま行くと裸になってしまいます。裸は困りますが、マーリンさんになら見せてもいいかな・・・。

「レベッカ。明るい玉をだしてくれ」

 マーリンさんに何か策があるようで、レベッカさんに指示を出しました。明るい玉にスケルトンが寄っていきます。残ったスライムは光に照らされ、影が出来ました。凄い数がいます・・・

「奥のスライムが親玉だ。あいつを先に狩る」

 おー!なるほど。マーリンさんの行く手をさえぎるスライムに矢を連射します。矢の当たったスライムは分かれて小さなスライムになります。うーん、ちょっと無理。

「マーリンさん、カリンさん、避けて!」

 レベッカさんの叫びを聞いて、右に避けました。強力な氷魔法が放たれ、周辺にいたスライムが凍っていきました。マーリンさんは凍ったスライムを踏みつぶしながら奥へ行き、ボスに剣を突き刺しました。親玉が消え始めると、小さいのも消え始めました。

 次はスケルトンです。マーリンさんは光に群がるスケルトンを観察した後、走っていきました。ボスを見つけたのでしょうか。マーリンさんが上から剣を叩きつけ、1体を切りました。するとスケルトンが消え始めました。流石マーリンさんです。

 スライムの魔石と液体、スケルトンの魔石と骨という戦利品を回収しました。

 部屋を出て、通路で休憩します。マーリンさんは視線を外し、レベッカさんとサラさんは、モジモジしながらマントを引き寄せています。私の『マーリンさんに裸を見られてもいいじゃないか』と思うのはダメなんでしょうか。まぁ良いんですけどね。マーリンさん、襲ってもいいですよ・・・


 先ほどのが最後のボスなのかわかりませんが、通路はまだ続くようで、私たちは先に進みました。暫く進むと上への階段になりました。そして遺跡の外に出てきました。アレ?入り口に戻ってきましたね?どこを回ったのでしょうか。不思議です。

「今日が3日目だ」

 マーリンさんとラル―さんの会話が聞こえました。私たちは3日も遺跡内に居たようです。何とも不思議な所です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る