第24話 《俺》ダンジョン

 翌朝、俺たちはダンジョンに来た。入り口には大きな鉄製の門があり、ダンジョンの入り口を塞ぐようになっていて、ダンジョンから魔物が溢れた時の対策で、門には小さな窓があり、そこから魔法や矢で溢れた分を殲滅するようだ。門前にあるギルド受付で今回の行程申請をする。冒険者に何かあった時に確認するのに必要らしい。もっとも俺たちはギルドマスターと打ち合わせ済みなので形式だけだが。

 地元の冒険者ラル―を先頭に俺たちはダンジョンに入った。1、2階は洞窟で、3、4階は草原と木立、5、6階は森になっていて、問題の遺跡は6階の森の奥にある。

 洞窟は光る石なのかコケなのか分からないが、ほのかに明るく、歩くのに支障はない。1、2階にでる魔物は、コボルトやゴブリンの下位種なので、ラル―が一刀で対処してしまった。

 3階に入ると草原になった。洞窟内なのに不思議なことだが、空が見え、風が吹き、草が揺れる。遠くまで草原に見えるが突き当りがあるそうで、壁に風景が映っているそうだ。不思議な空間だな。

 3、4階は、草原にオオカミ、木立があればクモやボアなんかも出るそうだ。獣道のような細い道を進んでいくラル―に俺たちは付いて行く。途中オオカミが襲ってきたが、ラル―と俺で対処した。この階の魔物もそれほど強くはないらしい。

 5階に入った。太い木々がつらなり薄暗いが道がしっかり通っている。ここはクマやボアが多く、トレントと言われる木の魔物もいるそうだ。クマは1体でいる事が多く、皮膚が固く、力が強い。ボアは群れで行動するので数が多く、対処が大変だそうだ。トレントは木と見分けがつかないので注意が必要との事だ。

 ラル―から注意事項を聞きながら進んでいると、ボアの集団に出くわした。20頭はいるだろうか。後衛に被害が及ばないように立ち回らなければならない。カリンはボーガンで、レベッカは魔法でボアを撃つ。半分ほど蹴散らしたところで、残りは森の中へ逃げていった。サラに回復魔法を掛けてもらい、俺たちの体力は回復する。回復魔法便利だな。

 6階も5階と同じ森だが、5階よりも暗く感じる。6階ではクマとボアが数頭でたが、問題はない。

 ラル―が言うには、以前は、道にはあまり魔物は出ないそうだが、最近は多いらしい。ギルドで言っていた魔物が多いとはこの事だろう。

 今更だが、ダンジョンの魔物は、魔石、皮や牙などの戦利品を残して消えてしまうので、解体は必要ないそうだ。ダンジョン内で命?の循環が出来ているらしい。ダンジョン内の魔物は生物というよりは魔力の塊、幻影みたいなものだろうか。切り口から血が飛び散ったりというような事もないが、胸骨の後にある魔石を傷つけるか破壊しないと魔物は死なない。つまりは、いくら傷つけてもアンデッドのように向かってくる。


 7階へ続く道から外れ、6階の奥へ入っていく。6階で薬の素材を探していた冒険者が偶然見つけた遺跡がこの奥にある。しばらく森の中を進んでいくと木々の開けた場所に遺跡があった。遺跡はピラミッドのような、マヤ文明のような、石積みの三角錐みたいは形だ。中央上に入り口がある。俺にはダンジョンの中にダンジョンがあるように見えるのだが。

 入り口の近くにテントが張ってあり、焚火の後もある。これがシルバー達のものだと思う。俺たちは、その脇にテントを張りベースキャンプとした。ラル―は、ここで1泊して明日の朝、地上に戻るそうだ。以前もここまで1人で来ているので帰るのも大丈夫なのだろう。


 ギルドマスターの情報だと、教官のシルバーは鎧の胸と剣に『S』のマークが入っている赤髪の青年ということだ。一緒に入った冒険者の情報も得ているが、遺跡内で剣や鎧などの装備を見つけたら、遺品かもしれないので持ち帰るように言われてきた。量にもよるがカリンに負担が掛かるかもしれない。

 シルバー達がダンジョンに入って10日になる。遺跡内に持ち込んだ食料にもよるが、生きているのかも定かではない。

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