第21話 《俺》ギルド

 翌日、俺たちは、次の依頼を探すのにギルドを訪れた。暇な時間帯のようで、ギルドには数人の冒険者居るだけだった。掲示板を見ようと移動すると受付のリズに声を掛けられた。

「マーリンさん、丁度良いところに。ギルドマスターがお話があるそうです。もし宜しければ2階の方にお願いできますか」

 俺、何かやったかな?と考えながら、リズに案内され、カリンと一緒に2階のギルドマスター室に向かった。ここに来た当初、話をしたのは1階の個室だったな、何て考えていると到着したようだ。初めて入るギルドマスター室は、重役室のような重厚な机に立派な絨毯、などという事もなく、ちょっと良い机と絨毯であった。

「よく来てくれた。すまないが指名依頼だ」

 テーブルに着き話を聞く。

 俺が訓練を受けたいと言った時に、ダンジョン調査に向かったBランクのギルド教官が戻ってこないらしい。ダンジョン町のギルドで、案内役として地元冒険者のCランクパーティーを雇い、ダンジョン内の遺跡を調査にいった。教官を含め4人で5日間の調査期間としてギルドに申請してあるが、8日経っても戻ってきていない。6日目に他の冒険者に遺跡まで行ってもらったが、遺跡前にキャンプがあるが人影は見えずだったらしい。ダンジョン町からこちらに連絡があり、急遽、捜索に向かう事となった。そこでBランクの俺に声を掛けたようだ。

「教官のシルバーはお前と同じBランクで腕は確かだ。それが行方不明なんでな。遺跡のトラップに掛かったのかもしれん。お前たちパーティーとギルドから2人の4人で遺跡を調査してきて欲しい。それと向こうのギルドから案内役も出してもらう予定だ」

 指名されるのは信頼の証だ。受けないという選択肢はない。しかし、俺とっては初めてのダンジョンだから不安はある。

「わかりました。受けましょう」

「そうか。ありがとう。明日の早朝、ギルドに集まってくれ。馬車はギルドで用意しておく」

 俺のダンジョン行きが決まった。


 翌朝、俺とカリンがギルドに来ると、ギルドマスターが待っていた。そして、一緒に行くというメンバーを照会された。

「おはよう。早速だが、回復士のサラと魔法使いのレベッカだ」

「はじめまして。マーリンです」

「サポーターのカリンです」

「回復士のサラです」

「はじめまして。魔法使いのレベッカです」

 回復士のサラは、俺がこの世界に来た時に世話になった回復士だ。あの時は知らなかったが、教会所属の回復士でシスター・サラと呼ばれていた。今日も教会服と言えばよいのか、白を基調とした修道服を纏っていた。

 魔法使いのレベッカは初対面だが、三角のトンガリ帽子にマント、長い杖を持ち、魔女?というような見た目の若い女性だ。ギルドが推薦するぐらいだから魔法使いとしての腕は確かなのだろう。

「マーリンはBランクだ。サラはD、レベッカはCだ。腕は俺が保証する」

 挨拶した俺たちの後をギルドマスターが引継ぎ、ランクを開示し、腕を保証するとは信頼されてるんだなと他人事のように俺は感じた。


 ギルドの用意した馬車は屋根のない平馬車で馬は2頭。馬車に荷物を積んで?と思う。御者がいないのだが、後からくるのだろうか。そんな事を考えているとカリンが御者台に座り、サラとレベッカが乗り込んだ。そうか、カリンは御者も出来るのか。俺も慌てて乗り込む。

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