第16話 《俺》ポーション
翌朝、カリンに買って貰った茶葉に湯を入れ飲んでみる、紅茶とは違うがこれも上手いと思う。俺は茶を持ち錬金術の道具が置いてある部屋へ移動した。道具があるという事は俺にも作れるという事だろうが、作り方を覚えていない。そもそも、ゲームの時は材料があれば簡単に出来たのだ。作り方など関係なかった。傍らに置いてあった本を開くと、作り方が細かく書いてあったが、日本語ではないようだ。俺は横にあったペンを取り、ペン先を確認すると、切り込みの入った万年筆のよな作りであった。インク壺に入れ、本の白紙部分に文字を書いてみた。
『やっぱり・・・』俺は、日本語で書いているつもりだが、書かれる文字はこちらの言葉になったいた。本の筆跡と見比べると俺が書いたもののようであった。何だろうなこの世界は?俺はゲーム世界に飛ばされてきただけかと思ったが、マーリンと言うエルフの生活臭がするし、マーリンが居たところに俺が入ったのだろうか。じゃ、元々のマーリンは?分からない事ばかりだし、ゲーム時代の鞄が使えるのもおかしい、それに俺の初期ステータスが高すぎる気もする。考えても分からないことは考えないようにするか。この世界に来たという事は、たぶん、この世界で生きろということだろう。
俺はポーションを作ってみることにした。
『薬草を細かく砕き、水から煮込む』分量のメモもあるし、道具も揃っているようだ。
『煮立ってきたら弱火にして、魔力を入れつつ、銅製のヘラでゆっくりとかき混ぜる。この際、焦がさないように煮詰めていく。水が半分ぐらいになり、薬草からの抽出液と魔力が混り、緑から青に変わったら火を止め1時間程度冷ます。その後、不純物を漉してビンに詰めて完成』とメモには書いてある。
その通りに作り、俺は出来上がった青い液体を光に翳して、いままで持っていたポーションと見比べてみた。良い出来のようなので、出来上がったポーションを飲んでみるが、味は今までと変わらない。疲労していないので回復度合いは分からないが良さそうだと思う。
さて、ポーションが出来たし次はどうしようか。料理はカリンには及ばない、1人暮らしの男が作る程度の腕前だし、お菓子は・・・ケーキやクッキーも多少は作れるが道具や材料がない。
しかたなく、俺はポーションのメモを読んでいく。
『回復薬』『魔力薬』『毒消し』一般的に売っているポーション類。『聖水』なるほどアンデッドやスケルトンもこの世界には居るのか。『魔物除け(弱い魔物なら1週間ぐらい近寄らない)』これは撒くだけなのかな、手軽で良いかも。ここまでは素材もそれほど珍しくはないし、少し無理すれば作れそうだ。
『四肢の再生』『蘇生』どこで調べたのか分からないがこんな物までメモしてある。『珍しい素材なので製作不可』と注意書きもしてある。まぁそうだろうな、初心者が作れるもんじゃないよな。手足が生えてきたり、生き返ったりだもんな。
作り方や素材、注意事項が細かく書かれているが、これは本当に俺が書いたものだろうか。俺、こんなにまじめだったのだろうか。
俺はまじめな青年、気にしないと決めたので気にしない!
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