ポーションと鍛冶屋
第15話 《俺》打ち上げ
俺たちはボア狩りからラモジュの街へ帰ってきた。ギルドへ報告し報酬を貰い、カリンと分ける。冒険者とサポーターで7対3の取り分との話だったが、6対4で分けた。カリンは恐縮していたが世話になっているし、これからもお願いしたいとの思いを込めてだ。カリンは他の冒険者とパーティーを組む気は無いようだし、俺も他人と組む気はないので、臨時パーティーはそのまま継続にしておいた。サポーターの拘束料金が発生するらしいが、次の狩りにカリンが居ないのでは話にならないので、料金は必要経費と割り切った。
家に帰り荷物を置いた俺たちは祝杯を上げるのに酒場に行った。この世界に来て初めての酒場だ。俺もカリンも酒は人並みなので大量には欲しないが、俺は酒場を知らないのでカリンが知っている、前のパーティーで行ったことのある酒場に案内してもらった。
俺の家からそれほど遠くない裏道の一角にある酒場。居酒屋と言えば良いだろうか、長テーブルが2つに個室のように衝立で仕切られた所が4つあり、俺たちは衝立のある個室の方に入った。エールと肉串、肉煮込み、サラダを頼んだが、メニューのお値段がリーズナブルで、本当に居酒屋のようだ。
「パーティー依頼。お疲れ様」
「お疲れ様です」
エールが来たところでカリンと乾杯する。この店のエールも自家製なのか、他と店と味が違うが上手い。一口目が最高だな。
肉串は屋台で売っている物より小ぶりで焼き鳥のような感じであったが、俺としてはこちらの方が馴染ぶかいし、甘辛ダレでエールに良く合う。肉煮込みは大きめの肉の入った、汁が多めの肉ジャガのようなもので、ジャガイモっぽいものに味が染みていてこれも上手い。
ラノベでは『異世界は飯が不味い』というのがあるが、この世界は何を食べても美味しいし、種類も豊富だ。俺が貧乏舌かもしれないが、飯が上手いのは良いことだ。もしかしたら米を使った料理やうどん、ラーメンなんかもあるかもしれない。
「最初はどうなるかと思ったけど上手くいってよかったよ。煙玉があんなに効くとは思わなかった」
「私、寝ちゃいましたもんね」
今回のボア討伐の話に華がさく。最初の討伐でカリンは寝てしまったが、狩りの腕も悪くない。それに狩った後の処理には目を見張った。手際が素晴らしかったし、カリンは優秀なサポーターだ。
「明日からはどうするんですか」
「2、3日休んだら、また依頼を受けようと思う。そうそう、鍛冶屋の知り合いはいない?」
「私のボーガンを作ってもらった鍛冶屋で良ければですけど、ちょっと頑固ですが、腕は良いですし、新しいことにチャレンジもしてくれます」
休んでいる間に、武器と防具の手入れをしとかないと次の依頼に支障がでるからな。明日の午後に鍛冶屋に行く約束をして飲み会はお開きになった。
家に帰った俺は『風呂に入りたいな』と思いつつもタライに水を汲み、体を拭いたり洗ったりした。寒くない時期なので良いが、冬場は風呂を何とかしたい。大きめのタライに湯を入れてみるかな。そもそもこの街に風呂は無いのだろうか。流石の日本にいた時のように毎日とは言わないが、遠征から帰ってきたら入りたい。温泉なんかあれば最高だな。
そうそう、この世界には洗濯機がある。日本のような全自動では無いが、水と洗剤、汚れた服を入れ、スイッチを押すと廻る魔道具だ。洗うだけなので絞って干さなければならないが便利だ。
服は麻っぽいのと綿っぽいので作られているようだ。肌触りは少しゴワつくのもあるが、チクチクするとかじゃなければ、それ程、気にならない。俺は冒険者だから、服はジーパン生地のような丈夫なもので、その上に革や鉄の防具を付けている。
この世界には魔道具があり、この家にもコンロや洗濯機があるし、水が出る魔道具もあるそうだ。時間が出来たら、魔道具の店を見て回るのも面白いと思う。
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