第14話 《俺》解体
ボスを倒して、近くに有った石に座り休憩しているとカリンが近づいてきた。
「おつかれさまです」
「あぁ、疲れたよ。カリンの矢で助かったよ。あれが無かったら俺が倒れていたかもな」
カリンは照れているが、カリンの援護が無かったら危なかったと思う。あのボスは手ごわい。俺が一息ついているとカリンはリュックから銀色の袋を取り出し、ボアに掛け始めた。何をするのだろうとみているとボアが袋に吸い込まれていった。なんだよおい!どうなってる。初めて見る光景に唖然としてしまったが、カリンは『普通ですよ』みたいな顔で次々にボアを袋に仕舞ってるが、袋より明らかにボアの方が大きい。そしてリュックに入れたり、外に縛ったりして、俺たちは村に戻った。
村に戻った俺たちは村長宅に行き、ボア討伐の報告、解体の人手を借りるのと、解体の手間賃でボア肉を譲渡する話をした。村での肉事情は狩人が狩ったものを村人で分けるのが普通らしいので、俺たちが狩ったボア肉は喜ばれた。解体場へ移動し、カリンが次々と袋からボアを取り出す。
「すげぇ、でけぇ」
「いっぱいある」
村人から歓声が上がった。9頭分なので解体が大変じゃないかと思っていたのだが、村人とカリンによって、次々とボアが解体されていく。俺も後学の為にと最初は見学していたのでが、血、内臓、皮剥ぎと・・・俺には解体は合わないらしい。それでも命を頂くのだガマンも必要だが3頭ぐらいで諦めた。気持ち悪い。俺は宴の準備を見ながら広場の石に腰かけた。
ボア肉を焼き、エールを酌み交わしと、宴はたけなわだが、俺は一足先に借りている家に帰ってきた。何だか今日は疲れた。慣れない狩りだったからだろうか、俺は横になると直ぐ寝たようだ。
翌日、村長から依頼完了のサインを貰い、村を後にした。最初の村に行き同じボアの群れなのか違う群れなのかを確認しないといけない。
最初の村では昨日もボアが出たそうだ。俺たちが狩った群れとは違うらしい。俺たちはまた森に入った。
こちらの森は村の住人が多いからか下草が刈られ整備されている。カリンが獣道を見つけ、それに沿って森の奥へ入っていった。岩がせり出し、影になっている場所にボアがいた。ボスっぽいオス1、メス3、子供6と子だくさんのようだ。この数なら煙玉は1個で良いだろう。カリンに合図して離れてもらう。また寝そうな気もするが、その時は仕方ない。煙玉をボアの住み家へ投げ入れ、様子を見る。良い感じに眠りについたようだ。カリンは・・・大丈夫そうだな。
俺はボアの住み家に走り込み、首を狩っていく。カリンもボーガンで子供を狩っていく。ボスが抵抗するが、昨日のボスとは違い弱い。あっという間に10頭を仕留めた。魔物化してい獣であれば、こんなもんだろう。カリンが袋を出して収納していく。この森はボアが主体なので、もしかしたら他にもボアの群れがあるのかも知れないが、今回はこれでお終いだ。
村へ戻り、報告して討伐を確認してもらい依頼書にサインを貰った。この村には肉屋があり解体もするとのことなので、肉屋へ持ち込み、解体してもらい、子ボア肉の一部は貰い、その他は全部、肉屋へ売った。カリンが言うには大人のボアより子供の方が味がよいらしい。カリンは料理が上手だから大人ボアでも子供ボアでも上手いのだが。
臨時とはいえ、カリンとパーティーを組んだのは正解だったと思う。料理上手だし、狩りもでき、気配りもできる。俺の至らない所をキッチリ見て、指摘もしてくれる。カリンとの関係は、親分と子分、社長と社員みたいな関係だと思っていたのだが、同僚で仲間の関係だな。すぐにとは行かなくても正式なパーティーにしようと俺は思った。
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