第5話 《俺》講習会

 俺は今、ギルド主催の初心者講習会に参加している。村から出てきて冒険者になる初心者に冒険者の心得や街での生活、一般常識を教えるそうだ。この世界にはいろんな種族の村があり、貨幣経済が浸透していない物々交換の村や種族による生活習慣や一般常識の違いなんかがあるそうだ。例えば獣人のシッポ付近をモフモフする行為は、『今夜どう?』という意味合いがあるそうだ。危ねぇな、俺はモフモフするとこだった。

 金に関しては概ね俺の考えは間違っていなかったらしい。10づつ桁上がりして大金になっていき、金貨の上の貨幣もあるそうだが一般的には使われないようだ。1銅貨が100円ぐらいで屋台のパンは2から5銅貨、定番の串肉は5銅貨ぐらいで宿は5大銅貨ぐらいからが相場らしい。そうなるとギルドの食堂は、ちょっとお高めなのか?講習が終わったら屋台を見てみるか。

 それと怪我や病気の際は、ギルド内に教会から派遣された回復士の診療所があるから我慢しないで使うようにとの事で、少額の寄付で治療してもらえるらしい。俺も治療してもらったから寄付しないとな。


 講習に参加しているのは、俺を入れて5人。人族が2人、獣人が1人、後はドワーフだろうか?がっちり系が1人。みな少年、少女だが全員が冒険者を目指しているのでは無いようだ。冒険者登録は身分証の意味合いもある。身分証は街への出入りに必要だし、アパートというか住まいを借りるのにも必要になる。長期滞在なら宿よりアパートの方が経済的だ。俺もここで生活するならアパートを借りなきゃいけない。

 午前中は座学で午後は希望者だけだが訓練場で体を動かすらしい。


 午後、訓練場に行くと人族と獣人の子が居てドワーフの子は参加しないらしい。街で鍛冶を習うのかもしれい。教官というかギルドマスターが出てきた。『お前も居るのか?』みたいな目をしやがって。悪いか!

 狩りの仕方を聞いた。新人は街の近辺での薬草採取や街中の依頼をこなしてランクを上げていく。で、狩りだが、街の近辺でもウサギやイノシシは普通にいるようだ。それを仕留めてギルドに持ってきても依頼を達成したことになりランクアップに繋がる。常時依頼って言うそうだ。だから見つけたら狩ってこいとの指示。『剣で刺す』『弓で射る』口で言うのは簡単だがこれが難しい。当たり前だが動物も肉や毛皮を着た的じゃない。まぁ出来たらってことだろう。

 次に解体。ギルドには解体専門の部署がある。ここに持ち込めば解体してもらえるが、遠征なんかで持ち込めない場合は自分たちでやるしかない、という事で解体の見学をしたが、気持ち悪い・・・血や内臓なんて慣れるのか?本当に?

 首の血管を切り、血抜きで吊るし、内臓を出し、毛皮を剥いで肉を切り分ける。泥で汚れていれば血抜き後に水で洗う。そんで内臓を取った後にも洗う。肉は傷まないうちに食べ、毛皮は乾かしてギルドに持ち帰るという流れになるようだ。

 最後にギルドマスターから注意事項。新人のうちは問題無いがランクが上がって遠くに行くようになると獣以外に魔物と言われる獣が進化したもの、そして盗賊が居るそうだ。魔物は獣の時と見た目はあまり変わりないが凶暴だそうだで、無理だと思ったら逃げることを勧められた。命があればランクを上げて再戦できると。盗賊は街道にたまに出没し、旅商人など襲うそうだ。街の衛兵が街道を巡回したりしているそうだが無くならないそうだ。こちらも見つけたら逃げるように言われた。街道沿いで野宿する際は魔物や盗賊に気を付けるようにと言われた。


 分からないことが分かり、出来そうなこと出来なさそうなことがわかった。中々、有意義な講習会だったと思う。しかし、討伐は何とかなっても、その後の解体は無理そうだと思うが、慣れなければ、この世界で生きていくのは無理なんだろうなと思う。

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