第45話 調略:ドワーフ村訪問
アルガン街での仕掛けは全部終わった。
1つ予想外だったのは、ドワーフ村との同盟締結だ。三国同盟を結ぶとなると、サーシャさんの権限では足りないそうだ。
サーシャさんから紹介状をもらって、ドワーフの村長の元に向かうことにした。
まあ紹介状を渡して承認もらうだけだから、簡単な仕事だろう。
ドワーフ村まで普通に行くと片道7日。早馬に乗って強行軍で往復し、三首争奪戦の現地で待ち合わせすることにした。
ハルさんはハルさんで、他の街と共闘交渉があるのでここで別れることにした。
「カイさん。たいへんですが、よろしくお願いします。これどうぞ」
おお? これは。
ハルさんからお弁当を手渡された。
ハルさんの手作り弁当だ。
これがあれば、元気100倍だ。袋にしまおうとしたら、手紙が一緒に入っていることに気がついた。
「その手紙。食事の時に見てもらえますか?」
何で、今読んじゃいけないんだろ?
そ、そうか。
キタキタキターーー。
ハルさんは顔を赤くしてうつむいている。
とうとう俺にも春がきた。
「俺に、すべて任せな」
と言って投げキッスをして、ドワーフ村に向かった。
ドワーフ村への道中は、思ったより大変だった。早馬なので、馬車の揺れがひどい。ケツがいたいし、昨日受けた傷が馬車で揺れるたびに響く。
これを3日昼夜問わずでしょ。
だが、大丈夫。
俺にはハルさんからの愛がある。
俺は早めに昼食をとり、ハルさんからの手紙を開いた。
「カイさん、あなたにはいつも驚かせられます。今までいろいろありましたね。アルガン街のギルド長が襲ってきたとき、体を張って守ってくれたこと、けして忘れません」
そうだ、そんなことがあったなぁ。
「今回の三首争奪戦もカイさんが一緒にいるから、私も頑張れます。カイさんはどんなにピンチなときも、最後にそれを覆すヒーローです」
やっぱりこの流れ、期待していいんだよな。この三首争奪戦の遠征をきっかけに、俺達は結ばれる運命にある。
「そこで、指令です」
指令? 誤字か? 指令なんて言葉、ラブレターに似合わないだろ。
「三首争奪戦までに200万稼いでください。カイさんは第3の男として大会に参戦します」
ラ、ラブレターじゃなかったの?
しかも俺、武力20なの忘れてないか?
俺が参加しても、カモになるだけだよ。
「カイさんは良くても、私は冒険者ギルドでの出来事を許せません。私も残りの100万の参加費を稼いで現地で待ちます」
冒険者ギルドの出来事許していいから。時間がない中、お金稼ぐ方が辛いよ。
ハルさんの手紙を持ったまま、小一時間呆ける俺であった。
こうして俺はドワーフ村に向かったのだった。
ドワーフ村での出来事を話すと長くなる。同盟交渉だけでなく、お金を稼がなくてはならなくなったからだ。
それだけでなく、サーシャさんの紹介文のおかげでいらぬトラブルに巻き込まれた。
何だよ、あの紹介文は。
まあそれについては、落ち着いた時に話すとしよう。
三首争奪戦とは別の話だ。
俺は何とか200万稼いで、三首争奪戦の会場にたどり着いたのだった。
それは大会開始の前日のことだった。
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