第12話 狩り:サブスク加入ゲット

 今日は月末最終日。

 昨日と同じように冒険者4人で狩りをして、ちょうど終わったところだった。


「ホントにこのまま帰っていいのですか?」


 女性冒険者のセシリアさんは、心配するような目つきで話した。


「はい、大丈夫です」

「狩った獣を持ち帰らなくていいのは、楽で助かります」


 昨日の狩りので感じた課題は、血抜き時間が長いこと。

 いくら狩りが早く終わっても、30分は待たないといけない。

 そこで血抜きの作業場を整備して、獲物はそこにセットして帰れるようにしたのだ。

 これで冒険者は血が抜けるまで待つ必要がない。


「武器を持ってこなくてもいいのもポイントが高いよな」


 これも昨日の狩りをヒントに、改善した点だ。

 現場にターブ狩り専用の武器を用意するようにしたのだ。

 昨日武器の手入れがたいへんそうなのを見て、対応した点だ。


 この2つの改善で冒険者は、手ぶらで帰れるようになった。

 そのために武器を4本ドルハさんから買い、血抜きの作業業も村の大工に発注して完成度を高めたのだった。

 手持ちの8万全部を使ってしまったが、満足できる設備を整えられた。

 転生世界で俺が生きた証を1つでも残せたので満足だ。


「カイさん、こちらのお金どうぞ」


セシリアさんが、お金を差し出した。

分厚い束で、相当な金額だ。


「狩りを手伝ったお礼ですか? それでしたら、いらないですよ」

「明日から月が変わりますよね。来月のサブスクでしたっけ? そちらに加入たいです。これはその4人分の料金です」


そうだった。初めは、月15万頂くという話をしてたんだ。

夢中になっていてすっかり忘れてた。


「サブスクの話でしたら、もうなしでいいですよ。自由にこの場所で、狩りをしてください」

「でも、ここまでしていただいて、そういうわけにもいかないです」

「いいから、いいから、気にしないでください」


 セシリアさんは、どうしたらいいか分からずオロオロしていた。

 ガルドさんが前に出た。セシリアさんからお金をもぎ取ると、俺の胸に押し付けた。


「俺は居心地の良さを買う男っていっただろ」

「そうです。私達はカイさんがいるから買いたいのです」

「というわけで、これからもよろしくな」

とガルドさんは手を差し出して握手を求めた。


 握手をした途端に、体中の力が抜けてしゃがみ込んでしまった。

 俺、助かったんだ。受け取った金額は60万。

 これで今日期限の20万のノルマは達成できた。



◆◆◆

 俺は、冒険者達が立ち去ったあとも、狩り場でアカネちゃんがくるのを待っていた。


「カイ!! ここにいたんだ」


 アカネちゃんが来た。


「昨日の打ち合わせの確認のために待ってたんだよ」

「冒険者から狩りの報告を受けたら、ここに寄って帰るって話だよね」

「そうそう。アカネちゃんはしっかりしているね」

「へへへ」


 この狩り場はギルドとアカネちゃんの家の間にある。

 アカネちゃんにとっても便利になると思って提案したものだった。

 その他にも、アカネちゃん一家には武器のメンテナンスを依頼した。

 獣の取れる量が多くなるはず、ということを話したら快く引き受けてくれた。


「そう言えば俺、肉にならなくて済んだよ」

「何それ?」

「宿代払えない冒険者の肉を売ってるって、アカネちゃん話してたでしょ」

「うん、ここの狩り場紹介して、獣の肉を売ってもらってるよ」

「獣の肉?」

「そうだよ」

「人の肉じゃなくて?」

「何で人の肉を売るの? 気持ち悪い」


 よく考えたらそりゃそうだ。

 人の肉なんて買う人がいるわけはない。


 そういうことか。お金を払えない冒険者には、ハルさんが猟師のドルハさんを紹介。

 冒険者はそこで捕まえた獣の肉を売り、宿代を稼ぐ。

 という流れだったのか。


 だから、お金のない俺に、この狩り場をハルさんが紹介してくれたんだ。


 勘違いだが、結果的には大成功だ。

 働かなくても、月60万稼げるようになったのだから。


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残り      0日

今月の目標  20万

本日の成果  60万

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