第10話 狩り:サブスクの提案
あー疲れた。部屋につくなりベットに倒れ込んだ。
今日はガルドさんに手伝ってもらったおかげで、稼ぎは2万。
だけど、このペースでは月末に到底間に合わない。
手伝ってもらえばそこそこ稼げるのはわかったのだが、毎回依頼するわけにもいかないし。
なにか方法を考えないと。
今日は疲れたが、ガルドさんからいろいろ聞けた。
そのメモをベットに寝っ転がりながら読み返してみた。
・春から秋は地元でお金を貯める
・仕事のない冬の3ヶ月に滞在して、経験値を稼ぐ
・お金の不足分は狩りをしてこの村で稼ぐ
要は冒険者も狩りをしたいが、時間をかけたくないたいということか。
ということは、声をかけたら手伝ってくれるかも。
でもなー。正直、俺いる?
冒険者だけで狩りした方が、効率いいぞ。
見てるだけで、分け前もらえたらいいんだけどなぁ。
そんな都合のいい話はないか。
俺は3日間のターブ狩りでメモした情報をパラパラめくりながら考えていた。
狩りじゃなくて、考える方だったら得意なのにな。
もしかして、もしかするぞ!! この方法だったらいけるかも。
そうだよ。別に俺が狩りしようがしなかろうが、冒険者にとっては関係ない。
冒険者が少ない労力で稼げればいいのだから。
俺は急いで、ギルドの食堂に向かった。
ガルドさんは、4人で夕飯を食べていた。
冒険者は6人泊まっているのだか、いつも4人と2人のグループに分かれている。
「ガルドさん、今日は狩りの手伝いありがとうございました」
「俺も小金稼ぎができてよかったよ」
「一つ提案があるのですが、よろしいですか?」
と話しながら、椅子を持ってきて、一緒のテーブルに座った。
「狩り場のサブスクに入りませんか?」
「「サブスク??」」
4人が同時に声をだした。サブスクを知らないのも当然だろう。
「狩りをする権利を買うってことです」
「狩りって今日の?」
「はい、今日の狩り場は、すごく効率よく稼げます。『あの場所で狩りする権利』を買わないですか?という提案です」
「お金を出すも何も、どこで狩りしても自由だよな。」
口を尖らせながら尋ねてきた。この質問は想定済だった。
「はい、そのとおりです。どこで狩りをしても自由です」
「だったら、何で金を払わないといけないんだよ」
すこし、語気が荒くなってきた。
「ガルドさんは、今日どちらでお休みになりますか?」
突然の話題の切り替えに、虚をつかれたようだ。
目が泳いでいる。
「もちろん、ここの宿だよ」
「でも、外ならば無料で寝れますよね。どうしてお金を払ってこの宿に泊まるのですか?」
「それは、ハルさんに会え……ゴホン、ゴホン。まあ、いいだろ理由なんて」
この答えは想定してなかった。
ガルトさんはハルさん目当てだったのか。
「えっとあのですね、この宿がいいはハルさんの魅力……、じゃなくて、えーと」
ガルドさんが変な回答をするから、こっちまでつられて、何と答えればいいかわからなくなったじゃないか。
「宿に泊まるのは安全のためです。また、明日からの冒険のために、休養をしっかり取り、鋭気を養うため。そして何よりも居心地がいいからですわ」
フォローしてくれたのは、女性冒険者のセシリアさんだった。
「そうだよ、俺もそれがいいたかったんだよ。ハルさんのお陰で、居心地がいいって」
みんなのガルドさんを見る目が生暖かい。
「お金を払っても、それ以上に価値があるから宿に泊まるんですよね」
ここで、一息つきみんなの顔をゆっくりとみわました。
「そこで、狩り場の話に戻ります。」
メリットを強調するためメモ帳を取り出した。そして書きながら話した。
「メリット1 1時間で狩りをできる」
「ほぉー、すごいな」
「カイさん、やるな」
想像を遥かに超える賞賛がきて、驚いた。
この分だと、話をうまく進められるかもしれない。
「カイさん、文字を書けるなんてすごいな。どっかのお坊ちゃんか?」
えっ、驚いたのそこ?
大事なアピールポイントだったのに、メモ帳に書いたのは失敗だった。
「すみません、メリットの話に戻ります」
ガルドさんが物珍しそうにメモ帳を見ていたが、それを奪うようにしてしまった。
「魔物狩りのあとに、1時間よってもらうだけで、狩りができます」
「どのぐらい、狩れるの?」
「2人で1時間狩りして、1匹狩れると考えてます」
「今日も、そんな感じだったよな」
ナイスフォロー、ガルドさん。
「そうです、武力8の私でも取れたのです」
「まじか、すごいな」
「ありえないな」
いいぞ、いいぞ。みんな乗り気だ。
だが、このノリは嫌な予感がする。
「武力8なんて聞いたことないぞ。今まで、よく生きてこれたな」
驚いていたのはそっちか。
みんな脱線しすぎ。
「2つ目のメリットはこれです。」
と言ってメモ帳をだした。
みんな真剣に覗き込む。
「ほぉー、よくできてるな」
メモ帳に書いていたのは、地図だった。ターブがどのあたりによくいて、どこの道を通るか。
武力が低いのだったら、他で補わないといけない。
自分でなんとか狩りをしようとして、3日間必死でメモしながら狩りをしていた成果だ。
「私が、みなさんが居心地よく狩りをできるように情報と環境を提供します。それに対して料金を頂きたいというのが提案です」
「よし、俺は買った。俺は居心地の良さを買う男だからな」
うれしいけど、『居心地の良さ』に食いつくのやめて。
みんなガルドさんのハルさんへの気持ち、わかっているから。
ごまかそうとして、墓穴を掘らないで欲しい。
「ありがとうございます。ガルドさん」
よっしー。これで道が切り開けた。
この案件をまとめれば、俺は狩りをしなくても定期収入を得られるぞ!!
-----------------------------
残り 2日
今月の目標 20万
本日の成果 2万
残り 12万
-----------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます