第334話 織田信孝、現代へ行く⑦
織田信孝と幸田広之の2人は朝早く、まだ暗いうちに起きている。2人共現代へ来た時の服装に戻り、インスタント珈琲を飲みつつ映画を見ていた。テレビドラマでお馴染みの水戸黄門劇場版だ。
「左衛門よ、このうっかり八兵衛とやらは肉山と瓜ふたつであるな。されど、八兵衛のよう者も居る事で丸く収まるというもの」
「然様でございますな」
信孝は短い滞在であったが、スーパーには新鮮な肉・魚・野菜など並んでる事へ少なからず衝撃を受けた。特に野菜は元の時代では冬場に手に入らないようなものが多数売られており それがビニール栽培によるものだと知り、驚いたのである。
広之は電気・ガス・石油・発電・動力・圧力・窒素・ビニール・ゴム・真空・菌・寄生虫など出来る限り、噛み砕いて説明した。
「なるほどのぉ。このまま地の果てまで行って戦をすれば、水分を抜いたパン、直ぐ食べれる麦だけでなく真空にした缶詰め、冷蔵庫や冷凍庫なども必要であるのだな。動力や電気も然り」
「然様でございます。ミシシッピー川、アマゾン川、黄河、長江、遼河、黒龍江、松花江、ヴォルガ川、ライン川、ナイル川、インダス川、チャオプラヤー川、メコン川など大河川で貿易や輸送を行えば、何れは蒸気で船体外輪を回すパドル船へ辿り着くでしょう。海を航行する事も出来ますが、波を切る能力が低く、あくまで川の航行に適しております」
「つまりは、大河を幾つも抑えておれば、何れ外輪蒸気船とやらが必要となるのだな」
「仰せの通りにてございます。さらに、海で用いるスクリュープロペラ式の船が必要となりましょう。あまりに早くても好ましいとはいえませぬ。試作だけしておき、西暦1700年頃まで外輪蒸気船を使えればよろしいか、と。そして、スクリュープロペラ式が1750年頃……。鉄道も必要でございましょう」
「銃や大砲と同じで、ただ優れた物を作ればよいわけではないのだな」
「はっ、この手の物は必ず模倣されるのが常。かような技術の進み具合だけ突出するのは歪みとなり、災いを呼び起こしかねませぬ」
「然様か……。そのへんの匙加減は任せる。随意にいたせ」
「承知いたしました」
しばらくして、犬神霊時が目を覚ます。そして、デリバリーでスタバを注文し、昨晩帰宅する時コンビニで買ったプリンやシュークリームを名残惜しそうに食べる信孝であった。
さらに、鬼墓亜衣子、鬼墓亜梨沙、肉山298の3人も駆けつけ、信孝と広之の2人は過去へ戻ったのである。2人は土産を大きな葛籠へ入れ、本丸へ向かった。
織田信之と岡本良勝の2人も呼ばれて開かずの間へ来たが、話を聞いて驚く。
「何と上様も……」
信孝は見聞きした事をつぶさに信之や良勝へ語って聞かせたが、無論理解出来るはずがない。現代で買ってきたパチンコ雑誌、車雑誌、グルメ雑誌などを見せつつ、信孝は熱弁を振るう。
土産の食べ物を並べられ、信之と良勝はいつものように堪能するのであった。
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