第47話 九州平定
岡本良勝が率いる四国勢、さらには小早川隆景率いる旧毛利勢およそ6万の兵力(荷駄などは別)で伊予から豊後を経由して日向へ侵攻。
羽柴秀吉の家臣になっていた、かつての日向守護である伊東義祐三男祐兵が案内役となった。大友の客将となっていた、伊東家旧臣山田宗昌も合流し、続々と伊東家で録を食んでいた者が集い、日向の情報や地理は手に取るよう把握出来る。
半月程で日向北部を制圧するなか
大友は独自に筑後を攻め続け、龍造寺方の国人を多数服属させていた(織田の依頼ではない)。膠着状態になって半月後、内大臣征西軍の主力は下関から九州へ上陸するや肥前を目指した。約1ヶ月程で龍造寺は降伏。
信孝の本隊は筑後を抜け、肥後へ侵攻。隈部を滅ぼし、阿蘇は服属させ、薩摩に接近。肥後南部を守る相良を降伏させ人吉城へ入った。
於郡城の大軍が実のところ陽動部隊にしか過ぎないことを悟った島津は愕然とする。一撃講和(のような考え)しかないという結論に至った。
都之城の島津主力勢は、内大臣征西軍の中でもっとも人数の少ない於郡城へ迫る。しかし岡本良勝と小早川隆景は守りを固め合戦に応じない。
そして2日後、人吉城から丹羽長秀を大将とする別働隊(小西行長、堀秀政、細川忠興、毛利長秀(秀頼)、神子田正治、尾藤知宣、戸田勝隆、水野勝成など、およそ5万が都之城に迫った。
人吉城の信孝でさえ陽動だったのだ。島津主力勢は慌てふためき都之城への撤退を開始するが追撃にあい、最後は丹羽長秀の別働隊と挟撃され壊滅。
同じ頃、島原から肥前を侵攻していた別軍が海路より薩摩へ上陸。人吉の信孝本隊もいよいよ南下。都之城を落とした丹羽長秀たちは大隅へ侵攻。その後もしばらく戦闘が続き、島津は降伏。薩摩のみ安堵。
この段階で服属した全ての大名や国人は検地を始めとする天正四例の遵守に誓約させられた。島津を降伏させた後、内大臣征西軍は豊後へ移動し、信孝は大友宗麟に豊後のみ安堵を言い渡す。
理由は近隣と事構え、むような争乱を引き起こし、勝手に龍造寺領掠め取った事。足利義昭が高野山へ配流されたあとも守護を名乗り、家臣の妻を娶るなどの不義理等、並び立てて断罪。
さらに宗麟は大坂での隠居を命ぜられる。また中国九州分国令が発布。論功行賞は以下の通りとなった。
丹羽長秀 若狭一国加増
高山重友 長浜より肥前一国に転封
岡本良勝 伊予一国加増
伊東祐兵 日向南部
細川忠興 丹後、若狭より筑前一国に
転封
中川清秀 坂本より肥後一国に転封
小島兵部 豊前一国
長尾一勝 筑後一国
長谷川秀一 丹後一国
河尻秀隆 伊勢10万石より大隅一国
毛利長秀 伊勢5万石より日向北部
堀秀政 備中東部から長門一国
宇喜多秀家 備中一国加増
※今回軍勢を率いた宇喜多秀忠には信孝より3万石の知行が与えられた。
南条元続 伯耆一国
幸田孝之 美作一国加増
小早川隆景 周防東部加増
池田恒興 伊勢5万石加増
安国寺恵瓊 周防西部
織田信包 津より出雲一国
幸田広之は切米扶持4万石の加増となり、これまで通り軍役免除。四公六民なら25万石相当となり、信孝家中の中でも国持大名含めて3番目の禄高だ。
さらに老中並となり、老中に準じた扱いとなる。初めて国持ち大名に成る者も多かったが、これまで激しい戦乱に明け暮れた九州の国人も概ね新しい国主たちを歓迎した。
別府の信孝たちが湯治しているとき上方より吉報が舞い込んだ。竹子が無事に男児を出産したという知らせである。出産に先立ち宇佐神宮へ参拝してたが、一方に再度参拝する事となった。そして名前は天丸と命名。
初冬になり、ようやく信孝たちは大阪へ戻ってきた。すでに大坂城の改築はほぼ終わっており、幸田家の新しい屋敷も完成(五徳たちが来る前から工事はしていた)。以前の5倍以上ある。
五徳たちが来てから変更を重ね浅井三姉妹は全員個室となった。掘りごたつ式の囲炉裏もパワーアップしている。オーブン、燻製の装置、鉄板等、快適な調理が可能。
モダン和風をイメージしたデザインであり、食材の地下貯蔵庫もある。貼り紙も綺麗な紙に書き写され額装されているではないか。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」
「いつやるか、今でしょ」
「だって人間だもの」
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
「正義なき力は無能なり、力なき正義も無能なり」
「退かぬ媚びぬ省みぬ」
「 幸せになるのは女と子供だけでいい、男なら死ね」
「欲しがりません勝つまでは」
「常在戦場」
「逃げちゃ駄目だ」
「三歩進んで二歩下がる」
屋敷のグレードとまったく似つかわしくないけど、まあいいだろ。心配してた竹子と天丸も問題ない。指示していたマニュアル通りやってくれたようで、なにより。
五徳や室女中も馴染んでいる。家中から25人ほど引き連れ遠征していたが、すでに冬だ。若狭の浜小屋は再開されており、五徳以下、鮭や鰤を食べまくっていた様子。
試案した蒸留装置で作った焼酎も出来ている。思っていたよりはいい。さて来年の春までは落ち着ける。新たなメニュー開発しないと五徳に怒られそうだ、と台所に向かう広之であった。
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