第12話 求める者と求める物
飲まず食わず、とにかく呆けて過ごし早くも一週間が経つ。
神谷はいつ来るのだろう。その日は一日中窓から外を眺めていた。
夜になっても神谷は訪れない。やはりただの暇つぶしだったのかと床に目を落とした。
いつの間にか寝ており、早朝にドアがけたたましく叩かれる。
心臓が大きく鳴り、すぐさま飛び起きドアを開けると神谷が登山服を着て笑顔で立っていた。
「昨日は急に仕事が入ってごめんね」と、ふわりと自然に舞を抱きしめる。
舞も瞳を閉じ、しばしその感触に身を委ねた。
神谷を受け入れている自分がいる。実に四十年以上ぶりの恋だ。
「神谷さん、私実は百歳超えてるんです」舞が打ち明けると神谷は舞を少し離し笑った。
「舞ちゃんがこんなに面白い子だとは思わなかったよ。ますます好きになった」笑顔が子供の様に無邪気だ。舞はどうやら笑顔に弱いらしい。
涼や三井の時とは違い、激しい胸の高鳴りや刺激はないが自分を全て受け入れてくれてくれそうな飾らない恋。それはもしかしたら舞がそう思っているだけかもしれない。
だがそれでもそれが心地良かった。
部屋に入ると神谷はリュックから箱を取り出し舞に渡す。
「これ、プレゼント」戸惑う舞に「開けてみて」と促し舞が恐る恐る箱を開けると、そこにはスマートフォンが入っていた。
「ちょっと貸してね」神谷は慣れた手つきで操作し「うん、これならここにも電波が入るね」と舞に手渡してきた。
「電話、ですよね。ありがとうございます。でも使い方、良くわからなくて」うろたえる舞の後ろにぴったりと座り直し「舞ちゃんはおばあちゃんみたいな事言うなぁ。大丈夫、すぐに慣れるよ」とスマートフォンを両手に持つ舞を抱え込むように抱きつく。
「操作は簡単だから。ここを指でこうして、ここを押して…」わざとそうしているのか、耳にかかる吐息に感じてしまう。約十分ほどそうして、舞の呼吸が荒くなったところ、一通り教え終わり舞の正面に居直った。
「これで連絡がいつでも取れる。この前は焦ってしまってごめんね」とにこやかに謝った。
その夜は「添い寝をしてほしい」と言われ、後ろから抱くような形になり舞が眠ろうとすると腰に硬いものが擦りつけられている。神谷の息は次第に荒くなり前後するように男のそれをぶつけてきた。
舞は何故かそれだけで下半身が疼き、濡れていく。
「舞ちゃん起きてる…?」と聞いてきたが舞は寝たふりをし、時が過ぎるのを待ったが神谷は舞の体制を横から正面に変え、下着を脱がし即挿入した。
前戯も必要ないほど舞は堰を切ったように溢れ出している。神谷は太く逞しく石の様に硬く、思わず声が何度も漏れた。舞の身体の中全てに神谷が入っている錯覚に陥る。
「舞、ごめんね。我慢できなくて。舞、好きだから」何度も荒い呼吸で囁き、一時間弱で神谷は舞の中へ放出した。
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