第5話 幼馴染

リッド

 世界のために戦う……。

 賢者の言葉を聞いてから数日が立ち朝食を食べながら物思いに耽っていた。両親に打ち明けて相談しようか悩んでいたところに幼いころからの友人のリッドが家に訪ねてきた。昔から好奇心旺盛でトラブルを起こしてはよく怒られていた。今となっては彼の性格に助けられているところが大きい。

 今、村で起きていることは龍王の封印が弱まっていることと関係があるかもしれないと思うと賢者の言葉を無視するわけにわいかない。でも、戦闘の経験も喧嘩をしたことのない彼女には決断することができない。

 そこで、リッドに相談してみることにした。彼なら私では浮かばないような答えが聞けるかもしれない……そんな淡い期待をしながら話しかけた。いつものように普段通りの会話から数日前に賢者から聞いたことをそのまま話した。

「俺らが世界を救えるかもしれないってことじゃん!英雄になれるかもしれないんだ!」

 彼の目が純粋な子供のようにキラキラしていた。

「……俺らってリッドもついてくるつもりなの?」

「当たり前じゃん!こんなワクワクすることについて行かないわけないじゃん!」

「ほんと調子いいんだから……」

 そんな彼の言葉がとても心強くて嬉しく感じた。彼の父親は村の警備の仕事をしているので剣の心得がある。エリーズは改めて詳しい話を聞くために賢者への手紙を送った。賢者からの返事を彼から急かされながら数日後に返事が届いた。一週間後の昼頃に屋敷へ来るようにという内容だった。そのことをリッドに話すと大はしゃぎしていて、その姿を見て少しだけ気が楽になったような気がした。

 

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