12話 人の街
「っと……その前に」
俺はその辺にある木をの枝をとり保管庫にしまう。
とりあえず人間の街に行く前にこの木を生産しておきたい。
映画に出てくる神樹アークに比べればかなりランクが落ちるが、それでも安価で手に入り、自身の手で生産できるのは大きい。
植物だって細胞なんだし培養ポットで増やせると思っていたがそう上手くは行かなかった。
あの培養ポットはどうやら魔力に反応しているようで魔力が入っていない植物では培養できないらしい。
ここに入った時の変な現象はどう考えても魔法だろ……。
逆に動物であればシルバーの様に魔獣出なくても魔力が入っているようで培養ができた。
研究所に戻り回収した、木の枝を植物園に植える。
枝だけでも木は育つなんて話を聞いたことがある気がして植えてみたがどうだ……。
そうすると直ぐに周りの土が形を変え、周りの空気が乾燥していくき、扉に近いところに看板がたった。
……どうやら成功ぽっいな。
看板を覗いてみると暗い森の木、1/5と書かれていた。
まぁ、実験的なものだしそんなたくさん植える必要もないだろ。
しかし、この木が優秀なのも事実なので外に出てある程度木を回収していく。
とりあえず五十本、保管庫に10/50と表記されるまで回収した。
うぅむ……人の街に出ると言ってもどの国に向かうべきか。
どこ国へ向かってもある程度物資を集めることはできそうだけど、出来れば強者がいるところがいい。
木刀を作ったのはいいが剣に関して言えばど素人の俺が持っていてもなんの有利にもならない。
かと言って素手で魔法を使うだけだと限界は一つになってしまう。
そうなれば……湖畔帝国ティアナールがいいかな。
かつて大飢饉が起きた際に創造神アルタガーナが人間を憐れみ作り出したと言われている大きな湖を中心にして広がる国でかつての飢饉の影響からか食糧の生産では世界一だ。
それも重要だがそれ以上に俺が目をつけたのがなのがその国の近くにバハムートの谷と呼ばれる場所があることだ。
神の時代と呼ばれるほど前にバハムートと呼ばれる特別なドラゴンが住処にしてきたと言われている谷であり、今はワイバーンの住処になっている。
そして、ティアナールの人々はそのワイバーンに対抗するためにかなり強くなっている。
まぁ……原作でいえば一章に出てきたためステータス的には70もあればいいほうなのだが。
しかし、その中でも特別な人がいる。
剣鬼アベル
原作では国の英雄として語られており、ワイバーンの谷から出てきた巨大なワイバーンと百にも迫る軍勢を単独で撃破したと語られている。
そしてそのアベルが活躍した時期は作中通りなら今なのだ。
ワイバーンは平均ステータスが50程度。
しかし、魔法の扱いが上手く、威力に関して言えばそれ以上のものを扱う。
そんなワイバーンを単独で百匹以上倒した上に明らかに特別なワイバーンまで撃破したとなればかなりの強さを期待できる。
そうと決まればティアナールを目指して歩を進めていく。
ダンジョンの前から一歩も進んでいないしどちらの方向へ進めばいいかはわかる。
……まぁ、時間がかかるからシルバーのうえに乗ってかっ飛ばしていく訳だが。
一ヶ月ほど進んでいると森を抜け大きな平原に出た。
……ここからは俺の知っている知識は半分意味が無くなる、気張って行かんとな。
幸いティアナールは実力があればある程度の自由が効く。
その辺の民間人でも強いというはあれだが俺とシルバーからすれば大したことの無い相手だ。
他のみんなだってどう転んでも負けることはないだろう。
そのまま進んでいると草の生えていない道が見えてきた。
その道には人間や馬車、従魔なんかも歩いていた。
ここまで来てしまえばほかの人たちと一緒に道にそって歩いていけばいいだけだ。
「うぉっ!なんだ!」
道を歩いている人の一人が俺たちに気がついたようで驚いたような声をあげている。
その声につられたようにみんな俺たちを見ては驚いている。
「大丈夫ですよ、シルバーは私の従魔です」
そういうと全員ほっとしたように頭を下げ道を進んでいく。
まぁ……そりゃシルバーはでけぇしおっかねぇか。
「いやぁ、すげぇなあんちゃんそんなでっけぇオオカミ仲間にしちまうなんて」
「いやぁ……ハハハ実はですね……」
別に隠す必要もないということで暗い森から来たことを話しながらティアナールに繋がる道を進んでいく。
「まじか!あの森から!」
いくらティアナールの人達でもあと森は危険と教えられていたようで驚かれた。
まぁ、シルバーみたいなのが他にもいるらしいしダンジョンに入ってしまえばまず勝てないだろうしな。
「しっかし、そんなおっかねぇかとこから人が、ティアナールになんの様だい?」
「実は私達もあの森で最強と言う訳には行かずに何とかギリギリというものと多かったのです。なのでこちらで活躍されているという剣鬼様に会いに行こうと」
「はえぇ、あいつの噂はそんなとこまで届いてんのか」
「……故郷で噂でしたから」
あっぶね、暗い森で噂なんか届くわけねぇわ。
「しっかし、あいつに会うってんならあんちゃん、結構苦労することになんぜ」
「ほお、何かあるのですか?」
「おうよ、その剣鬼はアベルって言うんだが、まぁ堅物だっつう話だからよ」
「なるほど、職人にはそのような方も多いですしね」
「そうなんだがよ、ありゃ別格らしいぜ」
うぅむ、ちょっと面倒くさそうだな。
ある程度、面倒臭いのは覚悟していたがこの話しぶりからすると明らかにそれ以上に大変なことになりそうだ。
しばらく話しながら進んでいると大きな外壁が見えてきて、直ぐに大きな門の前に着いてしまった。
街に入るだけなら特に審査もいらないようで特に止められることも無くそのまま門をくぐることができた。
「そんであんちゃん、こっからどうすんだ、話を聞く限りじゃ金もねぇんだろ」
「そうですね、強さには自信があるので冒険者になるか、誰かに傭兵として雇ってもらおうかと」
「お、冒険者か、そりゃいいついてきな」
あれ?なんか冒険者で確定してね?
まぁ、傭兵より自由はききそうだし別にいいんだけど。
おっさんについて行くとでかでかと冒険者ギルドと書かれた看板を掲げた建物についた。
「よっす、将来有望なのを連れてきてやったぜ」
「イアン!あんた、冒険っつて、どんだけ出ていってんだい!」
「おぉ、うっせ、変わりに大型新人連れてきてやってんだからいいだろ」
「ったく、それではこちらへどうぞ」
「あ、ども」
「それでは、冒険者になるための簡単な手続きを行っていきますのでこの水晶に手を置いて質問に答えていってください」
「はい」
「では、出身は」
「……暗い森の中にあるエルフの里です」
「え!……光ってない!」
「あの、まじなんで」
「あ、いえ、失礼しましたでは次にお名前を伺ってもよろしいですか」
「ブランク・アン・アルームです」
「ブランク様ですね、年齢の方は?」
「二十歳ですね」
「……見えませんね」
「エルフの血が入っているので」
「なるほど、では最後にこちらの紙に魔力を流して頂いても」
「はい」
受付の人に言われた通りに紙に魔力を流すと名前、出身地、歳、顔、更にQRコードっぽいものも出てきた。
身分証明書だなこりゃ……。
「では、最終チェックがありますのでしばらくお待ちください」
最終チェックと言うとあのQRコードを調べるのだろう。
あのQRコードは作中でも出てきて専用の魔石にかざすと俺まで倒してきた敵やダンジョンの突破数が出てくる。
しっかし、思ったより平和だな。
原作のティアナールの冒険者はめっちゃ荒れてたのに、時代が違うといろいろ変わってくるんだな。
「ブ、ブブ、ブランク様!こちらへ!」
椅子に座って休んでいると先程の受付が大声で突入してきた
ほえ?
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