11話 レベルアップ

俺の強さの根幹をになっていると言っても過言ではない行雲流水。

この技術を全員が扱えるようになれば魔法の質はもちろん防御や自身の特性を強化することもできる。


アダプト以外には俺の細胞が入っているし魔力回路の認識くらいならすぐだろう。

心配なのはアダプトだが実はスライムも魔力回路の認識ができるかもしれない。


アニメオリジナルの話でスライムと従魔契約を行った女の子がスライムの魔力の集まる位置にムラがあると言っていた。

アニメ的な話ならば行雲流水の存在を匂わす為の話だったのだろうがこのことからスライムは弱っちくても行雲流水を扱える可能性がある。


ということで全員に行雲流水の存在を教える。

驚くことにアダプトは速攻で掴んだようで集めた魔力を身体中をクルクル回して遊んでいる。


……今度魔法教えてやらないとな。

強くなるとは思っていたがアダプトは想像以上に天才だったらしい。


シルバーもアダプトの細胞が入っているおかげか三日で覚えたようで風魔法を使って飛び回っている。

他のみんなもアダプトに聞きながら頑張っている様子だ。


よし、良さそうだな。

この技術はどこまでも反復練習がものを言う。

アダプトの様に一瞬で身につけるやつもいるがそこから発展させたければ練習するしかない。


他のみんなが練習している間に訓練室を出る。

行雲流水も大切だが俺には他にもやりたいことがある。

研究所のレベルアップだ。


研究を行えばレベルが上がるとだけ書かれていたが今はレベルが上がっているのかが気になる。

シルバーを改造するまでに多くの研究や手術を行ってきた訳だしちょっと位は上がってて欲しい。


説明書の最後のページを見てみるとレベルが2に上がっていた。

更にその下には次のレベルにあげるには何をすればいいかも書いてあった。


レベルを3に上げるにはどうやら武器を作ればいいらしい。

他にも蘇生や防具の加工など色々あったが全部クリアしていた。


この条件なら簡単にレベルアップが狙えそうだ。

俺は外に出てその辺に生えている木を切って持ってきた。


欲を言えば金属で作りたかったが今はしょうがない。

元々武器はいると思っていたので頑丈な暗い森の木を加工して木刀を作ることにした。


元より落ちている黒い剣は重たすぎて持てても振り回すことができない為却下だ。

加工台にある道具と魔法を使って木を削り出していく。


そしてここでひとつまみ。

シルバーの時にもやった様に黒い鎧の一部を混ぜ込んでいく。

実はこれはアダプトの細胞に黒い鎧を取り込ませることでできた細胞の為くっついた部分に適応して強度だけをあげることができる。


……いくら重いと言ってもこのくらいなら持てるだろ。

馬鎧がどんどん削られていくが今のところ使い道がないため仕方ない。


完成した木刀を持って鑑定石で改めてステータスを見ると

450+20

と表記されていた。


このプラス分が木刀単体で見たステータスなのだろう。

まぁ木刀自体が戦える訳ではないので単純に武器の性能なのだろうが。


だがこれで研究所がレベル3になった。

レベルが上がることで受けられる恩恵は単純で施設の増加と施設のレベルアップだ。

今ある施設の他にも新しく施設を追加されたり施設の機能が強化されたりする様だ。

今回は追加された施設は

 

ホテル:それぞれに合わせた個室が用意される。

場所は中央部屋にある机の上の紙を触るとテレポートされる。

戻る時も同じように個室にある水晶を触るとテレポートする。


植物園:いくつかの植物園を種類事に合わせた環境で育てられる。

 0/5


この二つだった。

更に強化された施設は


保管庫:冷蔵、冷凍機能が追加。

  保管スペースの増加。

0/50 0/10 0/10

訓練室:個室を追加。


だった。

この感じを見ると1レベルアップで施設追加と施設強化が一つずつ行われるようだ。

まず追加された施設だが素直に嬉しい。


ホテルは元々どうしようか悩んでいた問題のひとつだった。

今はまだ雑魚寝でも良かったがこれからは規格外にでかいヤツや極端な環境が暮らしやすいやつも仲間になるだろう。

そうなってくると中央部屋は少し不便になってくる。

何よりみんなが集まる場所であり各施設に繋がる部屋なのであんまり散らかされても困る。


そして次に植物園。

こちらも急務ではなかったが欲しかった。

現状は食える植物を植えるくらいしか使えないが灯火の世界には世界に少ししかない貴重な植物がある。

そんな植物を育てられる施設は欲しかった。


そして強化された施設だがこちらも嬉しい強化だろう。

保管庫については両手をあげて喜ぶほどのものだ。

今まで三つある回復ポットに魔人二体とアングリーボアの死体を突っ込んで腐らないようにしていたが保管庫に入れられるとなればかなりやりやすくなる。

……上限があることは今初めて知ったが。


訓練室については俺より他の仲間の方が嬉しいだろう。

みんな強さにそこそこばらつきがあるので今まで大きく環境を変えることができなかったが個室が追加されれば自分の強さに合わせた環境変化を起こせる。


他にも欲しい施設はあるが今回は大満足の結果と言っていいだろう。

早速追加されたホテルを見に行くために水晶に触れてみる。


そうするとちょっとした個室に飛ばされた。

小さい風呂とトイレ、シングルのベット、長机だけの部屋だが仕方ない。

今後施設のレベルが上がればどんどん強化されるだろう。


施設の説明文の感じから俺以外の部屋の間取りは違った感じになるんだろうが、質的には余り変わらないだろう。


次に植物園を見に行く。

中にはただ土が置かれているだけだったがおそらく何か植えればそれに合わせた環境に変化するのだろう。


とりあえず追加された施設の確認は終わったため、回復ポットに突っ込んである死体を回収してから保管庫を見に行く。


前に見た時よりも格段に大きくなっており奥には二つの扉があった。

それぞれ冷蔵庫、冷凍庫と書かれており冷凍庫の文字の下には三と書かれていた。


冷凍庫に入ってみると先程回収した死体が保管されていた。

どうやら、回収したものの保存に適した場所に回収されていくらしい。


保管庫を出ると最後に訓練室に向かった。

中を覗いみると全員で行雲流水の特訓をしていた。


かなり集中しているようで奥に個室ができていることにも気づいていないようだ。

邪魔するのも悪いと思い、こっそり横を通り抜け、個室に向かった。


個室はサッカーのコート位の大きさがあり個室と言うにはかなりの大きさをほこっていた。

まぁ、敵と戦うとなればこのくらいの広さは欲しいし妥当っちゃ妥当か。


これで変化した部分を完全に把握することができたため一度外に出ることにした。


なぜ外に出たかと言うと食事の準備だ。

いつものようにその辺にある木を切って薪を用意する。

本来なら乾燥させたりなんなり必要かもしれないがここは暗い森、雨なんぞ降らなくても育つ植物ばっかりなのでどいつもこいつも乾燥しまくっている。


薪に火をつけるとその上でアングリーボアの肉を焼いていく。

「……いい加減飽きてきた。」


焼いているとつい本音が漏れてしまった。

まぁ……そりゃアングリーボアを狩って貰ってからほかの食料を一切口にしていない。

そりゃ飽きても来るわ。


しかし、この問題は俺の飽き以上に深刻だ。

いくら魔法の世界と言えと栄養は存在している。


いい加減糖分やビタミンを取らないと死んじまう。

だがこの暗い森ではビタミンや糖分がはいった食べ物を見つけたことがない。


……一回人間の街に行くのもいいかもしれない。

人間の街には栄養価のいい食べ物もあるだろう。

魔人界に行くにも戦力不足の問題もある。

シルバーが言っていた暗い森を支配している他の動物達も気になるが……。


よし、決めた!人間の街に行くぞ!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る