10話 シルバー改造

「あぉーーーん!!!」

シルバーの遠吠えを合図に俺たちは全員地面に倒れた。


ばっか……強ぇ。

こりゃこのままじゃダメだな俺たち。

いくら黒色とは行ってもゴブリンナイトにここまで苦戦してたらこの先やっていけない。


この世界は基礎が漫画の灯火で魔獣やダンジョンにはゲームのシステムがそこにアニメオリジナルや映画の出来事が混ざってくるって考えた方が良さそうだな。


そうなれば厄介なのが今回のように魔獣が覚醒している場合があること。

この後魔人界に行こうとしている身としてはそれこそボスクラスが金色に変化していれば相当強くなっていなければ勝てない。


そして最悪なことに魔人界に入るためにはその魔獣がゴロゴロいるダンジョンを通らなければならない。

……金ボスクラス単独撃破とは言わずとも追い払えるくらいにはなっておかないと速攻で食われて死ぬな。


とはいえこの現象は朗報でもある。

なぜ魔人界が全面戦争を仕掛けてこないのか原作ではかたられなかったが、この世界なら納得出来る。

それこそ魔人でも勝てないような魔獣がいるんだろう。

攻めにくくはなったがそれと同時に攻められにくくもなった。


とりあえずいつまでもねっ転んではいられない。

俺たちは魔獣が持っていた装備を回収してから六階層に向かった。


ボスフロアをクリアするとその下に報酬と出口へ続く階段が出現する。

しかし、俺はここに三つ目の目標、ダンジョンの魔石があるとふんでいる。


六階層につくとそこには銀色の宝箱と上に向かって伸びている階段があった。

これだこれ!

ゲームでは何度も見てきた光景だけど実際にクリアして見ると感動するなぁ。


とりあえず宝箱オープンだ!

宝箱を開けると水晶玉が入っていた。

しかし、その水晶玉は虹色の光を放っており明らかに普通の推奨とは違うことがわかる。


よっしゃゃゃゃゃゃゃ!!!!!

鑑定石きたぁぁぁぁぁ!!!

この石は魔石でそこ副作用に公開という対象のステータスを映し出す効果を持つ。


これでいろいろやりやすくなる。

今後どこかへ行く時に自分達の強さが分かればかなり動きやすくなる。


予想外の収穫に喜び鑑定石を回収してから、仲間たちとその辺の壁を触りまくってダンジョンの魔石を探す。


……見つかんねぇ。

よくよく考えればそう簡単に見つかるものでも無いはずだ。

ダンジョンの魔石はその特性からわかる通り自らを守ろうとする特性がある。

そんな魔石がなんの危険性もないところに自分を隠すわけがない。


あぁぁぁぁ……やらかしたぁ!

そうだよ、やたらトラップあったのは魔石のカモフラージュかもだったし、馬鹿みたいに強いゴブリンナイトがいたのは五階層を探らせないためだったかもしれない。


とはいえ六階層に来てしまうともう一度入口からダンジョンに入らないと他の階層に入ることはできない。

もしかしたらもう一度入れば変わるかもしれないがもしまた黒い魔獣がいたら今度こそ死ぬかもしれない。


さすがに危ないので今回は諦めることにして大人しく上に繋がる階段を登っていった。


階段はダンジョンの入口前に繋がっており俺たちが全員外に出ると階段は直ぐに消えてしまった。


魔石の回収はできなかったがそれ以外の目標は大成功と言ってもいいだろう。

これで目標にしていたシルバーの改造ができる。


とはいえ今日はみんなにはヘトヘトなので大人しく中央部屋で寝て過ごした。


俺が目を覚ますと他のみんなはもう起きていて訓練室で各々特訓をしていた。

ちょっと……真面目すぎませんかねぇ。


確かに強くなる必要はあるけどまだ疲れが取れきってないはずなのにみんなバチバチにやり合っていた。

端っこの方を見てみるとアダプトがプルプル震えていた。


とりあえず震えているアダプトから細胞を採取し解析を始める。

他にも魔獣が持っていた装備も保管庫から持ってきて解析を始める。


とりあえず、成分を調べている間は暇なので俺も訓練室に向かい行雲流水の特訓をすることにした。


さてと、記録してあるやつで何かいいのはあるかなぁ。

……あれ、なんか魔獣だけ全部記録してあるんだけど!

急いで取り扱い説明書を読むと環境は記録しないといけないけれど生物は勝手に記録されるとの事だ。


まじか。

でもこれは嬉しい誤算だあのバカ強いゴブリンナイトを相手に訓練ができるとなれば訓練の質はかなり良くなる。


とはいえ先にやっておきたいことがある。

アダプトに様々なものに耐性を持ってもらうことだ。

現状アダプトは雑魚もいいところだ。


だがアダプトの耐性能力を使えばかなりの力を手に入れることができる。

あとは耐性を手に入れた前と後で細胞にどんな変化があるのかも気になる。


ということでダンジョンで記録したトラップをなるべく弱めた状態でアダプトに体験させていく。

だいたいひとつに一日かければ今回のトラップ程度の威力なら効かない程までの耐性を手に入れられることがわかった。


現状アダプトにある耐性は

水、地面への擬態、麻痺、炎、冷気、電気、質量、高所からの落下

がある。


ここからは仲間たちにも手伝ってもらいちょっとずつ耐性を強化していく。

最初はビクついていたアダプトも自分の力に気づいたのか積極的に訓練に混ざるようになった。

……もしかして、アダプト結構戦闘狂?


アダプトの変化に驚きつつ解析が終わった細胞を既にある細胞に合わせていく。

調べでわかったことはアダプトの細胞はそのものに合わせた微生物を作り出せる細胞の為、他のものに合わせたところで耐性が引き継がれるのとはないということだ。


出来上がった細胞をとりあえず培養ポットに入れてから

鑑定石を持ってきて仲間たちのステータスを見ていく。

結果は

俺が450

シルバーが170

銀子が90

ケル、ベロ、スーが110

アダプトが25

ということがわかった。


俺だけ飛び抜けているように見えるが魔人界で活動したければ全員が600を目指してもらいたい。

まぁ、こと数字はあくまで参考程度だ。


実際俺は行雲流水で攻撃力をあげられるし他のみんなも必殺技と言えるものは数値以上の威力を出す。

一番数値の低いアダプトだって防御に関して言えば一級品だ。


これで完全に準備が整った。

俺は訓練室にシルバーを呼びに行き手術室に向かう。


「いいか、シルバー。知ってるかもしれないがこれからお前は仮死状態になる」

シルバーはわかっているという様に小さい声でこたえた。


シルバーが魔法で仮死状態になると俺は件の細胞をシルバーの脳に移植していく。


更に今回はそれだけではない。

実をいうとゴブリンナイトの乗っていた馬の鎧を解析したことでその骨格を強化する方法を思いついた。


皮膚や筋肉が固くなるようなことは無いが今後打撃系の敵と戦う場合には大きなアドバンテージになる。


とはいえ、全身に行き渡らせられるほどの余裕はない。

ということで頭蓋骨だけに留めておく。


俺は黒い鎧を加工したものを頭蓋骨に合わせていく。

そのまま骨に吸収されていき、改造する前と何も変わらない見た目になった。


……うん、大丈夫だ。

見た目に変化は無いが鑑定石と連結させたコンピューターには硬度の上昇が記されていた。


完全に改造が終わるとシルバーが起きる。

見た目に大きな変化はない。


耳や牙が大きくなったり、毛の銀色がより輝いていたり細かい変化はあるが、他の仲間ほどの変化はない。


しかし、その強さは大きく上がっていた。

ステータス320

元の数字から比べるとかなりの進歩だ。


更には今まで使えなかった魔法やアダプトの耐性能力、頭だけとはいえあの防御力にも期待が持てる。


……これでやっとやりたかったことができる。

全員の戦闘力をあげる為にこれからみんなには行雲流水を覚えてもらう!!

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