9話 VSボスフロア(ゴブリン)

9話 VSボスフロア(ゴブリン)

黒い装備をつけたゴブリンナイトが一体、そのゴブリンナイトが乗った同じく黒い装備をつけた巨馬が一体。

そして、その周りにアサシンゴブリンとマジックゴブリンが三体ずついる。


まじでか……。

ゴブリンナイトが覚醒してる。

覚醒は灯火のゲームであった現象でプレイヤーのレベルが一定以上に上がる度に魔獣よ強さも上がっていくというものだ。


通常色→白→緑→黒→金

の順番体もしくは装備の一部が変わり覚醒するため、今回の敵はかなりの強さを持っているはずだ。


幸い、ゴブリンナイト以外の敵は通常色、こいつにだけ気をつけていても他にやられることはないだろう。


「アサシンゴブリンは銀子、スーがマジックゴブリンはケル、ベロがゴブリンナイトは俺とシルバーで相手をする!」


俺の指示を聞き、各自が敵に向かって走り出す。

魔人の細胞が入ったこいつらがそう簡単に負けることは無い。

しかし、問題はゴブリンナイトだ。


ゲームでは後半の敵だったし弱いことは無いはずだ。

警戒して戦わないとこちらが負けることもあるかもしれない。


side銀子

私は主の指示を聞きスーと共にアサシンゴブリンの前に立ちはだかった。

敵はそれなりのスピードと視界を塞ぐ霧の魔法を扱うようで厄介な強さを持っているといえる。


しかし、それだけだ。

シルバーの方が速いし、私が住んでいた森の方が余程見えにくい。

スーも同じことを思っているらしく首元を狙ってきたアサシンゴブリンに対して炎を纏わせた爪で引き裂いていた。

……かっこいいですね、後で教えてもらいましょうか。


さて、私も頑張りますかね。

仲間が一体やられてのを見て引こうとしているアサシンゴブリンに向かって自慢のスピードに更に風と炎をまとい頭に向かって突進する。


貫いたアサシンゴブリンは頭が吹き飛んだ。

その様子を見たもう一体は私たちの強さを恐れ始め逃げようと主と戦っているゴブリンナイトの元へ走り出している。


しかし、それを許すほど私たちは優しくない。

スーが吹いた火炎弾を風で加速させ逃げ出したアサシンゴブリンに当てるとそいつも崩れ落ちた。


アサシンゴブリンは消えてしまいましたか、仕方ありません奴らが持っていたナイフだけでも貰っていきますかね……。

sideケル

わかっているなベロ、我々は主からこのマジックゴブリンの撃破を任されている。

この程度の敵ならば主様の下僕として苦戦などしてはならない。


まずは我が行こう。

我は兄弟で特訓した炎斬撃を両前足で繰り出し、二体のマジックゴブリンを撃破する。


うむ……やはりこのような洞窟の敵は死ねば崩れ落ち消えてしますわけか。

主様のために残しておきたかったが仕方ない、奴らが使っていた杖だけでも回収するか。


杖を拾おうと近ずいて行くと残ったマジックゴブリンが我に向かって魔法を繰り出そうとしているのが見えた。

しかし、お前は忘れていないか、我は一人で戦っている訳では無い。


マジックゴブリンはすぐ後ろから炎斬撃で切り裂かれ崩れ落ちていった。


sideブランク

ゴブリンナイトは乗っている馬に指示を出すとその馬は凄まじいスピードで駆け出した。

あの馬、下手すればシルバーよりはやいぞ!

ゲームではこいつらと戦う時は相応の装備を持っていたが今は髪飾りしかない。


加速が最高になった馬はゴブリンナイトを乗せ俺たちに突っ込んでくる。

しかし、残念だったなゴブリンナイト、俺たちはお前が思っているよりもずっと強い。


俺は馬の進んでいる方向に棘を生やした土の壁を作り出した。

完全に家族の乗りきった馬は避けきれずに刺さってしまい崩れ落ちていく。


……出来れば細胞が欲しかったが仕方ない、でも後であの黒い装備を鎧は貰っていくか。

上に乗っていたゴブリンナイトは鎧で防ぎきっており無傷で立っていた。


ちっ!効いてねぇか!

あの鎧はこの程度なら防いでくるか。

よく見れば落ちている馬鎧にも傷がついていない。

馬は鎧がないところに刺さっただけか……。


しかし、そうなると少し厳しくなる。

あの棘の壁自体は大したことないがあの速度て突っ込んできたのなら相当な威力になっていたはずだ。

それを無傷で受け切るとなれば簡単な魔法で破ればしないだろう。


警戒を強め圧縮火炎弾を展開してゴブリンナイトに向き直ると、ゴブリンナイトも黒い剣を抜いていた。

そのゴブリンナイトを見て直ぐに圧縮火炎弾を放つが全て切られてしまいゴブリンナイトの後ろに飛んでいく。


その様子を見てそのスピードで後ろに回り込んだシルバーが噛みつきにかかるがよろいに防がれてしまい、直ぐに下がってきた。


シルバーの噛みつきも効かないか……。

契約を結んでから毎日訓練をしていたシルバーの牙が通らない。


こうなればやっぱりあれしかないか。

俺はおなじみの風の大砲を作り出した圧縮火炎弾を放ちまくる。


うっそだろぉ?!

しかし当然のように避けられ圧縮火炎弾は後ろの壁に着弾した。

硬さだけじゃなくて動体視力も俺たちよりも上らしいなあいつ。


攻撃を避けきったゴブリンナイトは俺たちに向かって走り出してくる。

何とかその剣を避けているが直ぐに当ててくるだろう。

現状回復手段がせいぜい回復ポットしかない俺たちはあまり傷を作りたくない。


横から攻撃を加えようとするシルバーも避ける。

やっべぇ?!

体制を崩した俺をゴブリンナイトは見逃さず首元を目掛けて剣を振り下ろしてくる。


……しかし、その剣に小さい炎の玉が直撃し吹き飛ばす。

何が起きたのかわからず剣が吹き飛んだ壁の方を見てみると銀子が剣に乗っかっていた。


銀子の乱入に驚いていると三本の炎の線がゴブリンナイトを襲った。

後ろに飛んで回避したゴブリンナイトだったがさすがに驚いている様子だった。


炎の線の方をむくとこちらにはケル、ベロ、スーが立っていた。

……どうやら、俺が命じた命令を速攻でクリアして助けてるれたようだ。


ははっ……ほんとに俺の仲間は優秀だねぇ。

だけど仲間にばっかりカッコつけさせる訳にはいかない。

その思いはシルバーも同じようで先程よりも目が鋭くなっている。


あいつを倒す上で最も厄介なのはあの鎧だ。

あいつが持っていた剣と同じ素材なのだとしたら圧縮ディープを使った魔法すら防ぐかもしれない。


……まて、あいつが唯一受けてない攻撃がある。

剣で切るでも、鎧で受けるでも無く避けた攻撃が。


それに気づくと俺は風の大砲を大量に作り出した圧縮火炎弾を放つ。

剣を取り返そうと銀子に近ずいていたゴブリンナイトもそれに気づいたようで回避する。


やっぱり、これだけは受けようとしない!

本気では無いとはいえあのスティ師匠の結界を割ったんだいくら黒色とはいえ受け切れる威力じゃない!


とはいえ、このまま打ち続けてもジリ貧だ。

ゴブリンナイトもそれはわかっているようで攻めてくる様なことも無く逃げ続けている。


くっ……!

やるしかないか!

しかし……はまだ成功率は半分程度だ。

しかも初見じゃなければおそらく意味が無い。


そんな風に考えていると俺の焦りを知ってか仲間たちが攻撃を始めた。

銀子が剣を吹き飛ばした様に炎と風を纏って突進するが腕で受け着られてしまい逆に吹き飛ばされていく。

ケル、ベロ、スーは三匹で同時に炎の斬撃を放つがゴブリンナイトはものともせずそのまま三匹を放り投げてしまう。


迷っている暇はない。

決めたはずだ、里を出るあの日に仲間を守ると。

俺も覚悟を決め、風の大砲で放つ圧縮火炎弾を別の魔法に変え、放つ。


慣れたように回避しようとしたゴブリンナイトの後ろで火炎弾は曲がりゴブリンナイトに直撃する。

成功した……!

これは追尾ハンターと呼ばれる技術。

師匠に教えられていたが成功率が余り良くなかった。


しかし、土壇場で成功させられた。

しかもアドレナリンのおかげかコツというものがわかった。

師匠の追尾ハンターはめっちゃ遠くから追っかけて来たからそれを意識していたけどこの技術の本質は追いかけること。

別に見えないようなところまで追いかける必要は無い。

相手が視界に入っていればそこに向かって魔法が飛んでいくようにすればいい。


やっぱり実践はいい。

あの感覚派師匠のボコボコにされるよりよっぽど勉強になる。


やっとの思いで当てた魔法によって巻き上がっていた土埃がはれるとそこにはこちらに攻撃を仕掛けろうとしている

ゴブリンナイトがいた。


なっ……!

確かに圧縮していない分攻撃力は下がるが生きてんのかよ!

クソ……このままじゃ!


なんつって。

俺に釘告になっている後ろにはおれが苦手にしていたもうひとつの技術遠隔操作ワイヤレスを使いシルバーを風の大砲に入れるように作り出していた。

更に他の仲間が炎の魔法を使いシルバーの牙を強化していた。


そのまま間髪入れずに走り出したシルバーを押し出すとゴブリンナイトが気がつく前にその燃える牙で頭に噛みついた。


ゴブリンナイトの鎧もここまでやった攻撃には耐えきることもできず、シルバーに噛み砕かれ崩れ落ちていった。

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