8話 ダンジョン突入
起きた三匹はブラックウルフから風炎狼に成っていた。
風炎狼は原作に出てきた複合種類の魔法を扱う魔獣であり、ブランクの作り出した魔獣だ。
三匹の風炎狼にはそれぞれ、「ケル」「ベロ」「スー」と名ずけた。
ケルベロスを分けただけのすごく簡単な名前になってしまった……。
しかし、原作よりもだいぶ弱くなってしまったように見える。
原作のように危険度を度外視した改造やブランク製の様々な道具がないため仕方ないことなんだが……。
申し訳ないが、訓練を続けて強くなってもらおう。
まあ、これでそれなりに戦力が整った。
シルバーは納得していないようだが会った時に比べれば数段強くなっている。
ふむ……こうなると鑑定か公開の副作用持ちの魔石が欲しくなるな。
灯火のゲームにはステータスと呼ばれる強さを数値化したものがある。
まあ、それもあくまで参考程度であって、経験や作戦、運なんかでひっくり返ることもある。
シルバーがいるということはゲームの世界のものもあるはずだ。
まあ、ないものねだりをしても仕方ない、とりあえず明日になったらいい加減シルバーに案内をしてもらわないとだ。
この研究所には個室がないため寝る時は全員で中央部屋で寝ることになった。
「シルバー、起きろ」
眠そうにするシルバーと一緒に外に出ていつの日かの案内の続きをしてもらう。
シルバーが言うにはもう今日中に着く距離らしい。
何を目指しているかは分からないが、見覚えがあるものだと嬉しい。
やがて暗闇の中から洞窟が見えてきた。
ま、まて、いやまさか、そんな。
シルバーが案内してくれた洞窟は外側に特徴のある三本の爪痕があった。
この洞窟は俺が望んでいたハイスライムが生息しているダンジョンなのだ。
シ、シルバー!
俺がハイスライムを望んでいるのを知って!
え?違う。
元々は他のエリアの支配者に会いに行こうとしていた?
……そっすか。
いいよ、いいよ、ここでハイスライムの細胞が手に入ればこれからの戦闘がずっと楽になるんだから!
若干不貞腐れながら俺たちがダンジョンに入ると明らかに空気が変わった。
暗さはなくなり代わりにすぐ前が見えなくなるほどの霧が現れた。
これは……そういえばそうだったな。
特に面倒ということはないがこの霧の中だと明かりは逆に邪魔になってくる。
あかりをしまうと研究所内に残っているメンバーを呼び全員でダンジョンに挑んだ。
ダンジョンにはいくつか種類があり、今回は魔石によるものだ。
魔石の副作用によって空間が捻れて濃い魔力を放出し魔物を生み出し魔石を守らせる。
それが今回のダンジョンだ。
他にも魔獣の住処がそう呼ばれているものや罠や道具で人為的に集められたものもある。
そして今回の目的は三つ。
一つ目にして絶対目標はハイスライムの確保。
細胞が取れればいいが出来れば従魔契約を結びたい。
二つ目は俺と魔獣達の実戦経験を積むこと。
三つ目は例の魔石を手に入れること。
原作では手に入れる様な描写がなかったため望みは薄いがもし手に入れられれば色々と使い道があるかもしれない。
この中で一番難しいのは二つ目。
何を隠そうこのダンジョンそこまで難しくないのだ。
全五層からなっており、RPGでおなじみの雑魚キャラばかりが集まっている。
まあ、どれも貴重なサンプルだ余さず集めきらなくては。
銀子を先頭に俺とシルバーが真ん中、後ろに三匹の風炎狼の形でダンジョンを進んでいる。
みんなには敵を見つけても攻撃を少し待ち俺の許可が出てから攻撃をするように伝えてある。
うっかり、ハイスライムを倒されても困るからな。
一回層の主な敵はスライムで苦戦どころか攻撃をされても何も感じない。
ここまで弱いと倒すのも可哀想だがこれも実践をふんで強くなるためと、スライムを倒しながら進んでいく。
二階層の手前に水の溜まった小さい穴を見つけた。
あ、あった!
これだ、これ!
この穴の中にハイスライムがいる!
俺は穴の中を慎重に覗くと他のスライムよりも少しおおきいスライムがいた。
驚くべきなのはそれこそしっかり見ないと気づかないくらい擬態がうまかったことだ。
環境への耐性ってのはこういう部分もあるのか。
とりあえず見つけられたのはラッキーだ。
銀子に穴の中に入ってもらいハイスライムを魔法で押し出してもらう。
うむ、こう見てみると泳ぎの練習なんかもさせても良さそうだな。
ハイスライムを魔法で押しているとはいえ水中での動きがかなり拙く見える。
この先でかい泉なんかを見つけたら記録しとくか。
穴から出てきたハイスライムは直ぐに逃げようとするが、先回りして土で壁を作っておく。
スライムと従魔契約ってどうやればいいんだ……。
ゲームなんかだと確率で成功してたけど今までの感じ的に双方の合意がなければできないと思うし、仮にできても魂同士を繋げる関係上危険があるかもしれない。
……あっ、そうだ!
食料だ!
アニメオリジナルでスライムはその弱さから他の生物に匿ってもらうことが多い。
その特性から食料を与えたり、保護の意思があるとわかると直ぐに懐くと言っていた。
早速食料を与えようとハイスライムを見ると逃げられないと悟ったようで地面に伸び擬態を始めていた。
そんなハイスライムを従魔達に見張らせて俺は研究所内に保管してある肉を取りに行った。
アングリーボアの肉を地面に起き、敵対の意思がないことを示すと、ハイスライムは直ぐに懐いてきた。
……なるほどこれは最弱の魔物にカウントされるわけだ。
足に体を擦り付けているハイスライムに手を乗せ従魔契約を結ぶ。
ハイスライムの名前はもう決めてある、
「よし、これからお前はアダプトだ」
順応を意味する言葉はあらゆる事に耐性を持てるこいつにはピッタリだろう。
とりあえず、ハイスライムには研究所内に入っていてもらい俺たちは二階層に向かう。
……二階層からはトラップが増えてくるためアダプトは下手を打てば死んでしまう。
待っていろよ、アダプト。ちゃんと記録して来るから訓練室で無理ない範囲で鍛えていこうな。
二階層を歩いているとあちこちからトラップが発動してくる。
麻痺毒、炎、電気、冷気、巨大岩、落とし穴。
それこそダンジョンといえばというトラップが盛りだくさんだった。
別にそれが驚異になるということもないがまあ、めんどくさい。
霧の影響で避けきれずに踏みまくる。
三歩進めば銀子の上を炎が通り、十歩進めば俺とシルバーの間に穴があく。
トラップのデータを記録できるのは嬉しいが同じの踏みまくるといい加減疲れてくる。
はぁ……これ、別に二階層だけって訳じゃないんだよなぁ。
三階層と四階層もトラップは満載だ。
まあ、敵らしい敵は出てこなかったはずだしボス戦まで何とか体力の温存はできそうだ。
「ふぅ……何とか着いたな」
途中で風炎狼達に前に出てもらいトラップの解除を頼みながら進み何とか五階層に着いた。
三、四階層は種類そのままで威力と頻度だけが増していて本当に疲れた。
銀子なんて風炎狼達が前に出るまで引っかかりまくったおかげで後半なんて結構本気の殺意を込めた魔法でトラップを破壊していた。
五階層、ボスがいるはずだ。
原作通りならゴブリンナイトという鉄製の鎧をつけたゴブリンがいるはずだ。しかし、ゲームも関わってくるなら変化するしてるかもしれない。
警戒するにこしたことはないない。
行雲流水を使い急所を固めながら突入する。
中にはゴブリンナイトを囲うようにアサシンゴブリン、マジックゴブリンが佇んでいた。
ここまでなら予想通り出会ったがそのゴブリンナイトがつけている鎧と剣が黒色に変化していた。
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