第16話出会い

 引き続き探索しているとまたしても戦闘中のモンスターを見つけた。しかし、どうも様子がおかしい。狼型のモンスターが鳥モンスターの群れに襲われている。



「危ないっ!」



 咄嗟に狼の前に出て鳥たちの攻撃を盾で防ぐ。流石にこのまま見てみぬふりは出来ない。

回復薬があれば良かったのだが、生憎ストックがない。仕方ないか……、まだ実用段階じゃないんだけどな……。



「ヒール……」



 みるみるうちに狼の体にあった外傷が消えていく。mpの減りも結構感じたが、元気になったっぽいのでいいか…………。



 狼の周りに盾を出現させて、鳥たちと対峙する。攻撃を防がれて怒っているのか、だんだんと気性が荒くなっている。



 敵は群れのボスっぽい大きな個体が1匹、と取り巻きが7匹。……問題はないか。魔法だけで戦うのもいいが、今回はレイピアを使って戦ってみることにしよう。



「最初は取り巻きを先に潰しておくか……」



 敵は空中にいるため、光属性魔法で一時的に空中に足場を出し、敵のもとへ駆け上がる。



 予想外の行動だったのか、相手はこちらの攻撃に対応しきれず、あっさりと貫かれる。



 1匹殺られたことで、危険を感じたのか全匹でこっちに攻撃を仕掛けて来る。



 一斉に大量の攻撃が飛んできてちょっと焦る……。だが一点に集中した攻撃なら、この技の練習にちょうどいいか……。



「円弾きっ!」



 手に持ったレイピアを高速で回し、向かってきた攻撃を弾く。思ったよりも使えるな……。



 全てを捌ききり、次はこちらが攻撃を仕掛ける。



「頭蓋突き!」



 これは……。初めて使ったがなかなかに強い技だった。発動させるとレイピアの剣身が伸びて相手の頭突き刺さる。鳥は急所を突いたことでバサリ……と地面に落ちていく。



 その後も大きなミスもなく敵を倒していき残りは1匹になった。



――鑑定――


【種族】イェーガー

【レベル】74

【固有スキル】風切り、丸呑み



 レベルは思ったよりも高いな……。少しずつ距離を詰めて突きを放っていくが、大きな羽毛に衝撃を吸収されて上手く攻撃が入らない。



「やっぱ狙うのは頭か……」



 狙いを頭に決めてもう一度攻撃を開始する。

頭を狙われるのが相当鬱陶しいのか相手も負けじと攻撃をしてくる。



 鋭い嘴と足での攻撃を避け、頭に一発打ち込もうとすると、不可視の刃が体を襲う。……痛っ! どっから攻撃されたんだ……? 周囲を見るが何もない。



 ……なるほど、これが風切りか。このスキルは結構強いな……。目に頼りすぎていると絶対に避けられない。



 どうにか攻撃の気配を探し、掻い潜って相手との距離を詰めていく。



「一気に叩くか……」



 相手の頭上まで駆け上がる。今だ……!



「暴雨突き!!」



 何十という攻撃の雨が頭を貫き続け、攻撃が終わった頃にはもう頭の原型がわからなくなっていた。



 やりすぎた……。ちょっとグロい……。これは反省点だな。とりあえず地面に落ちた鳥たちをアイテムボックスに入れて、狼のところまで寄る。



 すると、最初にあった警戒心はすでに解けたのか、無邪気にこちらに寄ってきて頭をこちらに擦り付けてくる……。



 可愛すぎる……。破壊力がすごい……。日本にいた頃はペットこそ飼っていなかったが動物は好きだった。こんなに可愛いんだったら飼っとけば良かったな……。



 擦り寄せてきた頭を優しく撫でててやると、よほど気持ちいいのか目を細くする。



 決めた……! 俺はこいつを飼うぞ!!

このまま外に放置したらまた襲われるかもしれない。安全を考えれば絶対に俺と一緒にいた方がいいはずだ。



「良かったらだが、俺と一緒に来るか……?」



 そう言うと、狼は嬉しそうに周りを駆け始める。ホントに可愛いんだけど……。ずっとここに留まるのも危ないし一度家に帰るか……。




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