第3話 クラーロ村

「ここが私の村だよ!」


そう言われて着いたのはお世辞にも大きいとは言えない村である。しかしざっと60人ぐらいはいるであろう家や畑が広がっている村だ。

住民達が住民同士でそれぞれが作った農作物を物々交換したりしている。おそらくこの村ではこうして皆で生活をしているのだろう。

村のあちこちで子供や大人の笑い声や

はしゃぎ声が絶えない。そんな明るい村というのが見てわかる。

「ここはね!クラーロ村って言うの!」

リリアが言った。

リリアは栗色の綺麗な長い髪をなびかせながら走って、ある大きな家のドアの前で止まった。

「ここが私の家!実はね、私そんちょ、」

「おい!!リリア!

 どこに行っとったんや!!」

その家から出てきた大柄の男がそう怒鳴った。

「お父さんうるさい!お花を積んで木の実を

 取りに行ってたの〜!」

そうか、この人はお父さんか、そう思ったことが伝わったかのように次は俺に、

「お前はどこの誰や!?!」

そう怒鳴り、自己紹介はするべきだよな、と喋ろうとした瞬間、リリアが

「うるさいからいちいち怒鳴らないで!

 この人はソラーナ。どこから来たかは忘た

 らしくて、あそこの広い草原で彷徨ってて

 可哀想だからここに連れてきたの!」

「おぉ、そうか、」とお父さんが言ったのを

遮ってリリアは、

 「ソラーナ!この人は私のお父さんでルド

  って言うの!お母さんは今、村の子供に

  勉強教えてる先生なんだよ!ちなみに

  前はリュナね!あと、お父さんがこの村の

  村長ね!」

そうリリアが俺に説明してくれた。

さっきリリアが言いかけたことがこれだった

のか、と謎が解け、少しスッキリした。

そんなことはどうでもいいと言わんばかりに

「じゃあ改めて、ようこそ!クラーロ村へ!」

そう言いリリアと彼女の父、ルイドは見知らぬ俺を快く歓迎してくれた。

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