閑話〜夫婦の約束〜



 ※タイトルに少年の話ってありますが、千陽の少年期が終わっても続きます。という事をここにお伝えしておきます。いや、そういう事は冒頭で伝えとけ。まあ、さしよりそういうわけなので、最近この小説見つけたよて人もゆっくりお読みくださると幸いです。それでは、本編の方、お楽しみください。




 2037年 夏



 毎年恒例、夏の葛西家家族旅行。今年は、多摩にあるテーマパークに千陽が行きたいと言って、東京方面に来ていた。千陽達はじいじに見てもらって、恵梨が産まれて以来久しぶりに、2人でゆっくりデート気分を味わう隼瀬と冬未。



「冬未、耳つけてよ」



「いやばい、隼瀬は昔からこぎゃんとこ来るとそぎゃんと着けろ着けろてせからしかっだけん」



 こういうテーマパーク定番の、キャラクターの付け耳をお揃いにしようと隼瀬は言うが、冬未は嫌がる。が、隼瀬のしつこさに折れて結局、冬未もしぶしぶ耳を付けるというのが、この夫婦の結婚前からのお決まりパターンだ。



「ったく、48にもなってこぎゃん・・・」



「歳とか関係にゃあたい。それに冬未もぞかけん似合うし」



「そぎゃん言うならお前ん方がまっぽしもぞかて・・・」



「そっば顔あこせんで言うてくれたらむしゃんよかて。まあそぎゃんとこ、冬未の子供の頃からいっちょん変わらんとこも、僕は大好きばってんね」



 そう言って、普通に人前で冬未の頬にキスする隼瀬。そんな感じに、久しぶりに2人の時間を存分に楽しんだ夫婦は、父と子供達と合流し、家族でパレードなんかを見た後、都内に予約してある宿に戻る。今回、旅の予算は潤沢とあって、都心の高級ホテルのスイートルームを家族で2泊分取っている葛西家。千陽と恵梨は昼間の遊び疲れでバタンキューとなり、亮も子供達の相手で疲れたのか早めに寝て、窓の外に広がる東京の夜景を見ながら、冬未と隼瀬は味もよく分からない高級ワインに舌鼓を打つ。



「ここん街はずっと明るいな・・・」



「ほんとね・・・こぎゃん旅行では来ても住みたいとは思わんよね」



「うん、高校の修学旅行で初めて来た時も、ずっとはよ帰りたいて思いよったし」



「そうそう、ほんで修学旅行て言えばたい、お土産買いに行った時、僕が普通に熊本弁で店員さんに話しかけて・・・」



「あー、あったあった。あん人、だご困っとらしたよな、まだあそこで働いとんなら会いに行きちゃあね」



「あー、ばってんあん時で芙美子先生と変わらんくらいの人だったけんもう定年でやめとらすど」



「まあそっか・・・私達ももう48だし、あの修学旅行が2年の12月だけん・・・もう31年前か」



「早かね・・・あれから結婚して陽葵が産まれて、芳美が産まれて、璃華が産まれて、千陽が産まれて、恵梨が・・・気付けば30年経っとったて感じばい」



「ほんなこつな・・・これから30年後も私達こんままなんだろかな」



「多分ずっと、僕達は変わらんよ。死ぬ時までずっと一緒におろうねて、結婚した時も言うてくれたたい」



「うん、その約束は絶対守らんとな・・・」



 今年は2人が結婚して30年の節目、そしてこの先30年、否、それ以上、いつか果てる時も2人で・・・運命的に結ばれた2人は果たして、本当に・・・・・・





































































































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