千陽、咲里初めての免許



 ここで時系列は飛んで2038年の5月。婚約者の咲里と、親友の恵と博美もともに、両親の母校でもある県立第四高校に入学、高校生になった千陽。それと同じくらいのタイミングで、彼と咲里は2人で自動車学校に通い始め、今月、2人とも誕生日を迎え(咲里の誕生日は千陽の3日前の5月3日)16歳になり今日、晴れて自動二輪免許を取得。そのまま、陽葵にプレゼントされ、既に購入手続きを終えて取り置きしてもらっていたバイクを取りに行き、そのまま乗って帰る。二輪免許は路上教習がないため、これが2人とも初めての公道デビューだ。



「初めての公道、ちっとこやぁばってんなんか楽しいな」



「そうね、本当に免許取ったんだって感じ」



 バイク屋を出て、まあ二輪だろうが四輪だろうが納車された後は絶対最初に行くガソリンスタンドで、改めて嬉しさが込み上げてくる2人。そして、ガソリンも入れて、初めての道路にビビりながら超安全運転でとりあえず葛西家まで帰ってきた2人。を出迎えて、自分らも高校生の頃はバイクに乗っていた冬未隼瀬は息子夫婦のバイクに興味津々である。



「お義母さん達も跨ってみます?」



「「え、よかと?」」



「ええよね、千陽」



「うん、そもそもひま姉が全部してくれて、僕達はいっちょんお金出してにゃあし」



「「ならお言葉に甘えて・・・」」



 2台とも同じ車種なので、冬未は咲里の方、隼瀬は千陽の方に跨る。



「おお、なんか様になってますね」



「そう?高校の時以来30年乗っとらんて」



「僕に関しちゃ免許取ってすぐちょっと乗っただけで後は冬未の後ろ乗るばっかだったし」



「いやいやお義父さんも似合いますよ、ねえ千陽」



「うん、ママもパパもかっこええよ」



「「そーお?へへへ」」



 双子のように同じポーズで照れる2人に、この人達ほんと可愛い夫婦だなとか思う咲里。そして、そんな可愛い夫婦の中に、なんかこの子達とツーリングとか行きたいなとの思いも芽生え始め、これから程なくして高校生の時以来のバイクの購入を決めるのであった。

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