お兄ちゃん子な千陽
存分に楽しんだ体育祭の後、家族全員と咲里とその両親も集まって、盛大に13歳の誕生日をお祝いされ、今日は大変幸せ気分な千陽だ。
「ママ、パパ、充希兄ちゃん、咲良姉ちゃん、鈴姉ちゃん、望兄ちゃん、ひまねえ、にーに、よしねえ、璃華ねえ、みさねえ、咲里、恵梨、佳奈、じいじばぁば達、暁美姉ちゃん達も皆ありがとう!」
「ほんで暁美姉ちゃんもおめでとう!」
「ちーちゃん、ありがとう」
そう、彼のパパ、隼瀬の姉、暁美も千陽と同じ誕生日であり、今日は彼女と千陽の2人のお祝いでもあるのだ。それでも毎年毎年一緒にこうして集まって祝える事も無く、今日の主役の2人は例年にない賑やかさに心底嬉しそうだ。そして、咲里とその両親が初めてまともに会う千陽のばぁば達と挨拶を交わしたりしている間、陽葵と2人で話す千陽。
「私達がこの実家出てく時、やだやだて泣きよった千陽がもう13歳で婚約者もおるか・・・早かね」
「ひまねえ・・・ねーねは咲里ん事、今どぎゃん思う?」
「そら難しかな・・・あんたにあん子と幸せになって欲しいちゅうのは本音ばってん・・・ばってん大事な弟に手ぇ出しやがってちゅう思いもどっかあるし・・・・・・」
なんだかんだ初めて聞く陽葵の本音に、なるほど、咲里が彼女に感じている「圧」はそういう部分か、と合点がいく千陽。他の姉3人が咲里にそういったものを感じさせないのは、本当に何も思わず弟と彼女の幸せを願うのか、はたまた陽葵と同じ思いを抱えつつも、それを隠しているのかは彼にも分からないところではあるが。と、そんな話が聞こえてしまった咲良が姉弟の間に割って入る。
「陽葵、あんたそぎゃん言うばってんね、ちーちゃんももう1人の男なんだけん。恋愛関係とかに姉ちゃんのあんた達がどうこう言うとはお節介ばい」
「ばってん咲良姉ちゃん、姉ちゃんも私に対して、大事な息子ば・・・とか本音では思いよらんと?」
「なぜか不思議と、私なあんたにそぎゃんといっちょん思た事にゃあぞ。陽斗とあんたの産まれた時からいつかは・・・て思いよったし」
「すぎゃーねそれ・・・ちゅうか別に私もそぎゃん思う事もあるてだけで、こん子とえみちゃんの幸せば願うとは本音だし・・・・・・」
「なら姉として精一杯、弟と彼女ば応援してやらんと。えみちゃんにプレッシャーかけたりすっとしゃがでけんぞ」
「はい・・・ごめんな、千陽」
「んね、分かってくれたならええよ・・・咲良姉ちゃん、ありがとう」
「んねんね、まあこん子(陽葵)は陽斗とあんたと、よしちゃん達ん事さんなるとしゃが、冷静に周り見えんくなるけんね」
そぎゃんとこなんか母親の冬未そっくりよなと笑う咲良。して、皆と話したりしているうちに時間も過ぎていき、咲里と両親達も、葛西家斎藤家のばぁば達も、芳美も璃華弥咲夫婦も明日から仕事があるからとそれぞれ現在の自宅に帰って行って、月曜日は試合がなく、明後日もホームゲームなので普通に泊まる予定の陽葵と、陽斗と佳奈の家族は残って、恵梨と一緒に千陽の部屋に集まって、改めて彼を祝う。
「にーに、なんかまたきれいになっとおね」
「なん佳奈、うちのにーにはいつもきれかたい」
「そうね」
「佳奈も恵梨もありがと」
そう言って2人のほっぺにちゅっとしてあげる千陽。で、小さい頃から自分ら実の姉達より陽斗によく懐いて、お兄ちゃん子な千陽に気を使って陽葵が佳奈と恵梨を連れてそそくさと出ていき、久しぶりに兄弟2人だけにしてあげる。
「にーに、お膝座ってええ?」
「あらあら、もう13歳なったて甘えんぼさんね」
「僕もまだ子供だもん・・・」
「ふふ、おいで」
千陽を膝に乗せ、よく抱っこしていたあの頃からは少し重くなったなと、そんな成長を感じながら、まだまだ甘えてくれる義弟に自身も嬉しい陽斗であった。
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