この世界の男子は普通に過保護されてます



 2033年 1月4日



 咲里も年末年始の親の実家への帰省から帰ってきて、年末に約束していたとおり、改めて彼女と2人で自宅近くの神社へ初詣に来た千陽。



「着物の千陽、いつもより綺麗で可愛いしてやびゃあ・・・ほんなもんのお姫様んごた」



 咲里はいつも以上に綺麗な、本当のプリンセスのようにも見えてしまう和装姿の千陽にドキドキしっぱなしだ。



「えへ、咲里にそぎゃん褒められると流石に照るんな・・・」



「ばってんお姉ちゃん達とか恵梨ちゃんにも同じごつ言われとっどだい?」



「うん、ばってん家族に褒めらるんのと、大好きな彼女に褒めてもらうとは違うもん。僕達男ん子はみんなそぎゃんもんよ」



「そっかぁ」



 やっぱ男の子ってこういう考え方とか私達女子よりちょっと大人だよなと改めて思う咲里。で、参拝を終えたカップルはそのまま千陽の家に戻って、千陽も洋服に着替えて、かつて陽葵が陽斗のために小屋を作るついでに作った庭にある簡素なアスレチックで恵梨も一緒に3人で遊ぶ。



「にーにはあぶにゃあけん、ここのぼってくっとしゃがでけんばい!」



「えー、にーにも運動神経は自信あるけん大丈夫よ」



 そう言って小さなジャングルジムをひょいと登って上に立って見せる千陽。そして彼もやはり小学生、そのままジャンプして飛び降りようとするが、恵梨にも咲里にもダメダメと止められ、家の中から弟達の遊んでいる様子を眺めていた璃華も慌てて飛び出してきて、千陽を抱っこしておろす。



「ちーちゃん!それは危ないけん登っちゃだめてお姉ちゃんいつも言いよっど?!」



「ばってんママはだめて言わんし・・・」



「ばってん万一あんたの落ちて、そんかわいか顔に傷付いたらおおごつたい!ちゅうか恵梨もえみちゃんも止めんかったと?!」



「「んね、ちゃんと止めました・・・」」



「そっか、ばってんまだちーちゃんも小学生なんだけん口だけじゃ分からっさん事もあるけん、2人もまちっとちゃんと・・・」



「璃華ねえ、僕が勝手にしたこっだけん咲里も恵梨もそぎゃん怒らんでやって・・・」



 もし何かあって男の子の千陽が怪我したら、一緒にいた女である恵梨と咲里の責任、それがこの世界の常識なわけで、2人は璃華のお説教を大人しく受け入れるわけだが、千陽はそんなのおかしい、2人は何も悪くないから僕だけ叱ってと璃華を諭す。咲里も恵梨もいやいや自分達のせいだと千陽を止めるが、彼は結構もっこす(頑固)な方でもあり、璃華も最終的に弟の思いを受け止めて、仕方なく軽いお仕置きを彼に与える。で、その軽いお仕置きというのは、明日一日外出禁止で、どっかの製薬会社のキャッチコピーのようにおはようからおやすみまで恵梨の面倒をずっと見るというものだ。それは果たしてお仕置きになっているのかと思われる者もいるかもしれないが、そもそも夏でも冬でもいつもお外で遊ぶのが大好きな千陽少年にとっては、外出禁止というだけで多少は苦痛だろうと璃華が考えての事である。というわけで次回はそのお仕置き日回にしようと思い、今回はこの辺で終わりたいと思います。


























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