年末年始編 前編
2032年 末
クリスマス過ぎから陽葵陽斗家族も芳美も帰ってきて、陽葵と陽斗の娘、芳美璃華千陽恵梨の4人にとっては姪っ子となるが恵梨とは同い年の佳奈に、にーに遊ぼ遊ぼとつかまる千陽。で、いつもなら恵梨が嫉妬して喧嘩になりそうなものだが、意外に彼女が大人しく、陽斗は心配してどうしたの?と声をかける。
「んね、ヤキモチやきな女はきらいて前ににーにに言われたけん。はるにーにも、おとこんこはみんなそぎゃんあっとだろ?」
「おお、恵梨は大人ねえ。陽葵姉ちゃんがあんたくらいの時にはなんさん・・・ねえ、隼瀬兄ちゃん」
「はは、たしかに陽斗ちゃんが他の女の子と話しよるだけでいちいち気にしよったもんね。かわいかった〜」
「もう、お父さんも陽斗も昔ん話ばやめんか。ほんで芳美、大学はどぎゃん?」
こうやって話題変えるのこいつ小さい頃からあんま変わってねえなとクスクス笑う隼瀬と陽斗。
「まあ結構楽しんどるよ。福岡の男子は美人多かし」
「おお、よかなあ」
「陽葵、よかなあてそらどぎゃん意味?」
陽葵の言葉に引っかかって、ジト目で詰める陽斗。
「ひぇっ・・・いや、私なそらもちろん!もちろん陽斗以外の男には微塵も、なんさん微塵も!興味なかばってんがらな!芳美が学校楽しんどるならお姉ちゃんとしてよかなあて、そ、そっだけたい」
「ふふ、僕もちっとからかっただけだけんそぎゃん必死にならんだっちゃよかて」
いや、さっきの目かなり怖かったしちょっとからかっただけじゃねえだろと、娘含めこの場にいる葛西家の一族全員が思った。
「ほんで璃華も弥咲と上手くいっとる?」
「うん、おかげさんでね。咲良姉ちゃんと充希兄ちゃんにも正式に挨拶したばってん改めてにーに、よろしくお願いします」
「こちらこそ、妹ばよろしくお願いします。ちゅうか別に、にーににまでそぎゃん改まらんだっちゃよかて、璃華は律儀な子ねえ・・・ほんで千陽もえみちゃんとどぎゃん?」
「どぎゃんて、もうずっとラブラブたい。こん前のクリスマスもデートしたし」
「おお、惚気るねえ(それに盆に会った時と千陽な顔変わったしもう・・・か)」
産まれた時からずっと見てきた義弟の変化に気付きつつ、義母の冬未や横の旦那にそれを言うと発狂しそうなので黙っておく陽斗。で、賑やかな声につられて隣から弥咲とその両親もやって来て更に賑やかになる中、ずっと佳奈は千陽の傍から離れない。
「佳奈、せっかくじいじもばあばも皆おっとににーにとばっか遊んでええと?」
「うん、わたしにーにがいっちゃん好いとおけん」
その孫の言葉に、まあうちの千陽は本当どこの男子よりも可愛いしなと、何も思わない親バカな祖父母達。なお、千陽は分かりやすいようじいじばあばと言っているが、そのじいじ2人は普段は佳奈にじいじと呼ばせず、それぞれはあちゃんとみっちゃんと呼ばせている。
「あら、そら嬉しゃあね」
「にーにもわたしんこと好いとお?」
「うん、好きよ」
「やった!ならきょうはわたしにーにとねる!」
「そっか、ばってん大丈夫?いつもパパとねんねしとっとだろ?」
「だいじょーぶやし!」
そしていつも千陽と寝ている恵梨も、たまにしか会わない姪に気を使って今日はよしねえと寝るとか言い出したりして、自分の布団を姉の部屋に持っていく。
「恵梨、本当にええと?」
「うん、佳奈はこぎゃんときしか会わんけん、にーにといっぱいあそんだりしてほしいけん」
「あんたはええ子ねえ・・・」
お兄ちゃんとして恵梨も多少我慢しながら佳奈に気を使っているのが分かり、そんな健気な妹をええ子ええ子とよしよししてあげる千陽。そんな光景に千陽もすっかりお兄ちゃんになって・・・と感涙する冬未と隼瀬。で、流石にこっちの家だけで12人全員寝泊まりできるわけもないので、陽葵陽斗夫婦は隣で寝る事とし、弥咲は璃華の部屋に泊まり、芳美の部屋で彼女と恵梨が寝て、千陽の部屋に佳奈が泊まる事となった。
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