弟達の思い



 前回、お互いに押し殺さていた思いを告白し合って恋人同士になった璃華と弥咲は、その事を両家の親に話して、恵梨も両親から聞いて、千陽には自分達で報告する。



「というわけでねちーちゃん、お姉ちゃん達付き合う事なったけん」



「なん、まだ付き合っとらんかったつね」



「「ちーちゃんもか」」



 4人の親に言われた事と全く同じ事を言う千陽に、ずっと悩んでたのは自分達だけかと呆れ笑いで目を見合わせる璃華と弥咲。



「みさねえ、うちの姉をよろしくお願いいたします」



「はい、末永く大事にします。それと、璃華への気持ちを隠すためにちーちゃんばだしにつこて申し訳ありませんでした」



 本当にごめんなさいと頭を下げる弥咲に、僕もお姉ちゃん達の今までの葛藤とかは分かっとるけん大丈夫だよと言って、小さな手で弥咲の頭を撫でる千陽。ちなみに今日は咲里も遊びに来ていて、彼女もその弥咲の嘘については何も言わずに、ただただ彼氏のお姉さん達が素直になれたのを祝福する。



「ほんとよかったですね。璃華お姉さん、弥咲お姉さん」



「えみちゃんは女同士で気持ち悪いとか思わんと?」



「なん言いよっとですか弥咲お姉さん、今はもうそぎゃん時代じゃにゃあですよ。小学校でも女子同士とか男子同士で付き合っとる子おるけん、ねえ千陽」



「うん、皆気持ち悪いとかそぎゃん事いっちょん言わんで応援しとるよ。だけん璃華ねえもみさねえも自分で気にしすぎとっただけたい」



「「そっか・・・」」



「ほんで千陽、せっかくお姉さん達付き合ったっだけんなんか私達もお祝いでしようよ」



「ええね、じゃあちょっと・・・」



 お姉ちゃん達にちょっと待っててと言って、咲里の手を取り台所へ向かう千陽。



「ケーキの作り方?」



「うん、璃華ねえとみさねえに、咲里と2人で作りちゃあつたい。パパご飯もお菓子もなんでん上手でしょ、教えて」



「そらよかね!よーし、ならすぐできる簡単なん教えてやるけん。まずはね・・・・・・」



 隼瀬に色々教えてもらって、自分達の手で作った小さなケーキをお姉ちゃん達におめでとうと渡す2人。



「「ありがとう、あんた達ええ子すぎや・・・」」



 服を生クリームで汚したままの、千陽達の気持ちが嬉しすぎて、お姉ちゃん2人は双眸を崩す。



「えへ、喜んでもらえてよかったね咲里」



「うん、お姉さん達泣くほど喜んでくれて私も嬉しか。あの、ちゃんと美味しかですか?」



「「うん、今まで食べたケーキで1番うまか」」



 そう言って、千陽と咲里をそれぞれ抱きしめるお姉ちゃん達。



「もう、咲里ん前で恥ずかしいたいみさねえ」



「私も、千陽ん前でこぎゃんと恥ずかしいですよ璃華お姉さん」



「えみちゃんもちーちゃんもまだ子供なんだけんよかたい、それにお姉ちゃん達は2人ともかわいしてしょんにゃあと」



「そうそう、わざわざこぎゃんうまかケーキ作ってくれるとかもう可愛すぎるたい。えみちゃんも気使ってお姉さんて呼んだり敬語つこたりせんちゃよかつよ?ね、璃華」



「うん、私もえみちゃんと出会ってまだちっとばってん妹んごつ思いよるけん。ちーちゃんもえみちゃんにもっとお姉ちゃん達に甘えてほしかて言いよるし」



「え、千陽ほんなこ?」



「うん、ママはともかくお姉ちゃん達にはもう気使わんちゃよかたい。僕も甘えたい時あるけん咲里が璃華ねえとかみさねえに甘えてもおかしいと思わんし」



「そっか・・・じゃ、じゃあ璃華お姉ちゃん・・・もうちょっとこのまま抱っこされとってええ?」



 一人っ子で実は寂しくて、お兄ちゃんとかお姉ちゃんとかおったらよかったのにと思っていた咲里は彼氏の前でも気にする必要がなくなったとあって、子供らしく思いきり璃華に甘える。



「ふふ、咲里かわいか。みさねえ、僕もまだこんままでおらせて」



「うんうん、ちーちゃんもまだいっぱい甘えてよか」



「えへ・・・」



 して、咲里も千陽も抱っこされて安心したように寝入って、あらあらと微笑むお姉ちゃん達であった。















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