咲里の家にお泊まり 前編
前回、咲里の家に遊びに来て野球盤をやっていたらかなり盛り上がったので結構時間が経っており、一応千陽を迎えに来て玄関で待とうとしていたら咲里の両親にせっかくだし上がっていってくださいとしつこく誘われた隼瀬が咲里の部屋にノックして入ってくる。
「千陽のお父さんすみません、もう遅いですもんね」
「んねんね、ちっとでん2人で一緒おりたいのはおっちゃんもよう分かるけん。それに千陽、泊まりたいならパパからママに言うとくけんね」
「え、パパ僕ばお迎え来たっでしょ?」
「まあママにはそぎゃん言うて出てきたけどね、どうせ明日土曜日で学校にゃあし、望ちゃんと鈴ちゃんにもそんつもりでお世話んなりますて言うとるけん」
「ばってんお着替えとか僕持ってきとらんよ」
「だけんパパが今持ってきたったい」
そう言って、千陽のお泊まり用にまとめてきた荷物を置く隼瀬。
「あの、千陽が泊まってくれるなら私も嬉しいですけど、その、おじさんはよかって言うてもおばさんとか璃華お姉さんは大丈夫ですか?」
「あー・・・確かにおっちゃんだけで決めたけど大丈夫大丈夫、おっちゃんの言うことなら皆聞くけん心配せんちゃよか。なら千陽、パパ帰るけん楽しんできねよ」
と、帰ろうとした隼瀬をちょっと待ってくださいと引き止める咲里。
「どした?」
「あの、実は今度陽葵お姉さんの試合を千陽と見に行きたいなって思ってて、あの、2人で・・・とかダメですよね?」
「んー、おっちゃんな別によかて思うばってん、一応咲里ちゃんのパパとママと話してみらんとね。咲里ちゃんも自分で言いねよ」
「はい」
というわけで、隼瀬に付き添ってもらって両親に夏休みに千陽と2人で福岡に野球を観にいきたいと相談する咲里。
「「よかたん、行ってきね」」
「え?そんなあっさり?」
「よかったね咲里ちゃん」
「はい、ですがおじさん、おばさんの方も大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫、あん人はおっちゃんの言うことはなんでん聞くけん」
その隼瀬の言葉にあらあらという顔をする望。
「隼瀬ちゃんそれ惚気?相変わらずお熱いですな〜」
「そうよ望ちゃん、うちはこの26年ずっとラブラブたい。千陽の妹の恵梨は孫と同い年なんだけん」
「そうよねえ、咲里も千陽ちゃんと、千陽ちゃんのパパとママに負けんごつラブラブせにゃんよ」
「せにゃんよてなんやお父さん。千陽部屋に1人だけん私もう戻るけん、お父さんもお母さんもおじさんも、ありがとうございます」
「「「いえいえ」」」
そして部屋に戻った咲里は、夏休み福岡に行くこと親に許してもらえたよと告げると、彼もいつになく嬉しそうだ。
「やった、遠出のデートなんちゃはじめてだけんがだご嬉しゃあ」
「私も、ばってん皆休みで野球ある日のドームのまわりて人多えとだろ?大丈夫かな、迷わんかな」
「あー咲里行った事ないんだ、僕なんべんも行きよって分かるけん大丈夫よ」
「あ、そっか。千陽達は選手の家族だけんそうよな」
「うん、あ、ひま姉から電話だ」
鳴り出したスマートグラスをかけて通話に出る千陽。
『もしもしちーちゃん、パパから話は聞いたよ。2人分の席と新幹線も手配したけん家に送っとくね、入るのはいつもの関係者ゲートだけんね』
『ありがとうひま姉、うん、分かるけん大丈夫。あ、咲里も電話かわりたいって』
『そうね、じゃあえみちゃんにかわって』
『もしもし陽葵お姉さん、こぎゃんすぐチケットとか手配してくれてありがとうございます』
『んねんね、えみちゃんも私のファンて言うてくれたし。当日楽しみにしとってね、千陽ばよろしく』
電話を切ってスマートグラスを置いて、その日まで後何日かなあとカレンダーを眺める2人。そして陽葵と電話しているうちに先程まで咲里の両親と談笑していた隼瀬も帰っていき、望がお風呂沸いたけん入りねと言いに来たので、2人で入る。
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