疑る咲里



 2032年 6月



 お姉ちゃん達にも認められ、咲里との幸せを満喫する千陽。最近は学校が終わると、かつて陽葵が陽斗の為に庭に作った小屋の中で少しの間だが2人きりで過ごすのがお決まりとなっている。



「こんなん作れるなんて葛西選手・・・じゃなかった、陽葵お姉さんすぎゃーね」



「にーに・・・こん前咲里も会ったひまねえの奥さんに頼まれて作ったんだって。ばってんひまねえもにーにも僕達もつこてよかって言わして」



「そうつたい。優しいお姉さんとお兄さんね」



「うん、にーにもほんとのにーにみたいにしてくれるし」



「千陽はお兄さん大好きつたいね」



「うん・・・ばってん今僕が一番好きなんは咲里よ」



「ふふ、ありがとう。私も千陽が一番好きばい」



「えへへ、咲里いつもかわいいとか好きとかいっぱい言うてくれるけん好き」



「そら本当にいつも千陽の顔見る度に思う事だけん。こぎゃん私ば好きになってくれて感謝しかにゃあし」



「なん、そらこちらこそ、僕ば好きになってくれてありがとう咲里」



「千陽・・・」



 そしてなんだか甘い雰囲気になり、顔を近付ける千陽と咲里。



「えへ、咲里とちゅーするの僕大好き」



「私も・・・もう一回してええ?」



「うん、して・・・」



 で、そのもう一回の最中に弥咲が入ってきて、千陽が慌てるそぶりを見せるが、咲里も気付いていながら、彼女に自慢するようにその目を見ながら、千陽の唇を離さない。



「ちーちゃんは自分のもんだて見せつけよるわけ?」



「ぷはっ・・・そうですよ、当たり前じゃないですか」



「そっか、ちーちゃん、彼女は女らしくてむしゃんよか(かっこいい)ね」



「そらむしゃんよかつなわかっとるばってん、まさかみさねえ来ても続けるとか・・・咲里、僕恥ずかしいたい」



「いやあ、なんか弥咲お姉さんにも改めて千陽は私のもんて見せつけたくなって」



「なんねそれ、みさねえにヤキモチ?」



「かな・・・まあただのお姉さん達の1人ってのは分かるばってん、なんかね・・・」



 自分の顔を訝しげ1人見る咲里に、(この子は、私が千陽の事をただの姉的ポジションとしてでなく「そういう目」で見はじめているのがなんとなく分かってるんだな)と察して、女の子にしては敏感だなと感心する弥咲。そして、この日咲里が帰っていった後、彼女は部屋で1人これからの事について考える。



(そら確かにちーちゃんの事考えたら年上の私よりえみちゃんの方が・・・ひま姉はなんとか私とちーちゃんば将来くっつけようと動いてくれよるごたばってん、えみちゃんと一緒におる時のちーちゃん見よっと私も幸せそうな2人ば邪魔したくにゃあて思うし・・・・・・)



 しばらくそんな考えを巡らせてていると、父の充希が何かを察するように彼女の部屋に入ってくる。
























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