下校デート
熊本市立桜木小学校
ここが千陽や咲里の通う小学校だ。今日は皆に交際した事を告げた千陽と咲里。咲里はクラスのマドンナを自分が独り占めすることになって何か言われたりするかなと思ったが、そういう子はおらず、おめでとうおめでとうと声をかけられて少しホッとしていた。
「「みんなありがとう」」
「千陽ちゃんと付き合えるとか咲里羨ましいな」
2人に話しかけるこの子は、彼らと一番仲のいい友達の村上知佳という子だ。そして彼女は2人のこと応援しとるけんなと言葉をかける。
「「ありがとう知佳(さん)」」
「で、咲里、土日は千陽ちゃん家泊まったっだろ、ならその・・・ちゅーとかしたと?」
この世界の小学生女子にとっては、恋人とする事の想像はそこらへんが限界みたいだ。可愛いな。ちなみに千陽達男子はこの年頃になると既に色々知識はあったりする。
「そりゃしたよ」
「おお、ひゅー!」
「知佳さん恥ずかしいけんあんま大きい声出さんで!」
「あ、ごめん千陽ちゃん。ばってんいいなあ、千陽ちゃんみたいな可愛い子とちゅーとか・・・」
「よかろ?ほらこうやって」
そう言って、知佳の目の前で千陽の唇を奪う咲里。
「っ・・・咲里・・・・・・」
「千陽ちゃん「男ん子の顔」だ・・・これが恋人のちゅーか」
幼心に千陽の恍惚な顔に色気を感じる知佳。して、普通に周りにも見られていてヒューヒューと伝統的なはやし立てにあって、それでも咲里は休み時間の度普通にキスしてくるので、ずっと顔を真っ赤にしながらこの日の学校を終えた千陽。
「もう、皆の前であぎゃん・・・」
「だって千陽モテるんだけん、皆にも私のもんて見せつけとかんと」
そんな台詞を言う咲里になぜか母、冬未の面影が重なる千陽。そして、咲里の家も同じ方向、千陽の家の先なので、彼女が彼を送るのも兼ねて2人一緒に帰る。
「えへへ、なんかデートみたいね」
「ただ学校から帰るだけだろ」
「ばってん2人きりには変わらんし。僕も少しでも一緒にいたいもん」
そう言ってまたえへっと照れ笑いする千陽が可愛すぎてドキドキしすぎてたまらない咲里である。して、千陽の家に着いて彼は陽葵の車が止まっているのに気付き、せっかくだから咲里も会ってきなよと家にあげる。
「そっか、えみちゃん私のファンなんだ。ありがとね」
「いえいえ、こちらこそ大事な弟さんとお付き合いさせてもろて・・・あの、奥さんとお子さんは一緒じゃないんですか?」
「まあえみちゃんかっこいいし、千陽が選んだっだけん私も何も言わんよ。奥さんと子供は一緒に来たばってん今は隣の奥さんの実家におるよ」
「あー、そういや隣同士で幼なじみで結婚したって千陽・・・ちゃんに聞きました」
「まあそうね。誕生日も一緒で運命ってやつかな。てかえみちゃん、私ん前だけんて気ぃ使わんで普通に呼び捨てにしてよかよ」
「ばってん璃華お姉さんは・・・」
「大丈夫、一番上のお姉ちゃんの私が許すけん」
「ありがとうございます、葛西選手」
「んねんね、てか野球選手である前にあなたの彼氏の姉なんだけんお姉ちゃんって読んでくれてもよかつよ?」
「え、それは・・・」
「ふふ、まだ早い?まあばってん本当にお姉ちゃんと思てくれてよかけんね」
長女の余裕の表情に、それがまた本当に千陽のことを下手に扱ったらやばそうだなと察する咲里。で、彼女が遅くなるとお父さんに怒られるからと帰っていった後、陽葵は璃華を呼んで2人きりで話す。
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