第2話 本当は
今日も、パンもらえなかった。
お腹、すいたな。
でも、我慢しなきゃ。
もっと痩せて綺麗になるためのもの。
小麦色に近いこの肌の色は健康に見えるため。
料理も洗濯も掃除も全て1人前になるためのもの。
それなのに。
「あの、女はこれで当然よ」
「うわぁ、臭い」
使用人たちの嘲笑。
私は、ノルターク家の次女なのに。
家族は私の味方、ずっとそう思ってた。
信じて疑いもしなかった。
とある夜、私以外の家族が集まって団らんを聞いて真実を知った。
「お母さま、いつまであのけがれを置いておくのですか?」
お姉さま?
「そうですよ、あんなけがれが僕たちの姉だと思ってることが僕とルシーにとって汚点になるのですが」
アクア?
「そうだな。そろそろあのけがれを処分しようか」
お父様?
けがれとは何ですの?
思わず扉を開くと家族は驚いたこともなく冷めた目で私を見ていた。
「あぁ、とうとう来たか。わが一族のけがれ」
お兄様。
「はぁ、疲れた。いくら冷たくあしらっても姉面するんですもの」
ルシー。
「な、何を言ってるの。私はノルターク家の次女、」
「じゃぁ、聞くが!!」
お兄様の冷たく静かな声で私は口を閉じる。
「お前の名前は何だ?」
「私の名前」
そういえば、私の名前は何?
誰からも呼ばれたことない。
「お前はわが一族のけがれ。生まれた瞬間から罪なのだ。本来なら我々も罪に問われる。だが、心優しき妻のはからいでここまで生かしておいた。感謝するんだな」
……お父様……。
「あなたなんか生まれなければよかったのよ。名前をつける価値さえない。そこらへんの卑しいものの方が価値があるわ」
おか、あ、さま。
「「「「「「お前は生まれた瞬間から罪人のけがれだ」」」」」」
指をさされ、家族全員から言われる。
私は、罪人。
生まれた時から罪のある人間。
一族のけがれ。
いや。
「……い、、、、や。。。いやいやいやいや!!!」
私は初めて叫んだ。
そんなの信じたくない。
本当は疎まれてた?
嫌われてた?
愛されてなかった??
どうして。
本当は必要とされてなかった。
私はこんなに頑張ったのに。
弟妹も兄姉も両親も。使用人でさえ、このことを知っていたの?
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