第25話 再び、テイマーギルドへ!
……
「カウっ!」
俺とリアは今、テイマーギルドに向かって歩いている。
リアは昨日テイムしたばっかりで、まだ二人だけの時間というのもなかったから、少しだけ新鮮だ。
ただ…いつものリアと少し違うところがある。
いつもなら、リアは自分で歩いていて、肩にモイカ、頭にハクという状態だったのだが、
今は……
「カウっ!」
リアを腕に抱いて歩いている。
理由は、モイカの時と同じで、はぐれないため。しかも、リアが街を歩いていると、人が多いところだと、前が見えなくなってしまう可能性もあるからな。テイマーギルドに行くには、大通りを歩いていかないといけないため、こうするのが一番いいと思ったわけだ。
今のリアは、初めて俺に抱えられているからか、嬉しそうに鳴いていて、いつもより甘えん坊になっている。
リアが嬉しそうにしているのを見ると、俺も嬉しくなるから、抱っこしていることはメリットだらけなんだよな…。
俺も、軽く撫でてあげたり、話してあげたりと、色々なことをしてあげたくなる。
ただ…、やっぱり目立ちはする。
だって、考えても見れば…、人がライオンの子どもを抱えているんだから、目立つのは当たり前だし、視線を感じるのもしょうがない。
でも…
「ねー、可愛くない?あの子」
「ライオンの子どもだ…!」
「もふもふ…ふわふわ…!」
「あれ…?モルモットちゃんがいない…」
「白い鳥ちゃんも…」
「あの子可愛い!抱っこされてるよ」
「触りたいなー…」
みんな、コソコソと話しているけれど、大体は可愛いという内容だから、俺としては、めちゃめちゃに嬉しいんだよな…!
俺の子達は、みんな可愛いからな!それに、強さも兼ね備えている。
最強です。
まあ、他のことも言われているかもしれないけど…。
それは無視だ…!!
それに、今のリアは、抱えられているからか、人の視線や話し声の方に意識を向けているように見えなく、ずっと嬉しそうに鳴いたり、体を擦りつけてきている。
……可愛すぎる。
「…あ、見えてきたぞ。リア」
「カウっ!」
テイマーギルドが見えてきたから、俺はリアに話しかける。
リアは、初めてテイマーギルドにくるから、どういうところなのかを、よく見てもらいたい。
テイマーという職業である以上、ここには頻繁に訪れると思うからな。
俺は、テイマーギルドの入り口の前まで行って、ゆっくりと扉を開ける。
ガチャっ
「失礼します…」
俺は小声でそう言い、中に入って行く。
中に入ると、少人数ではあるが、プレイヤーの人もいて、モンスターを連れている人もいた。
やっぱり、俺以外にもテイマーの人っていたんだな…!
道を歩いていても、全然みなかったから、本当にいるのかなと心配だったが、実際にみることができて少し一安心。
でも、あまりジロジロと見るのは、向こうからしても嫌だと思うから、あまり見はしないでおく。
……俺は、身をもって分かるからな…。人の視線の凄さを。
「カウっ…」
リアも、テイマーギルドがどういうところなのかを、俺の腕の中から、ゆっくりと見渡している。
俺も、クエスト報告をするために、ミナさんを探さないと…。
「…あら?シドさんじゃないですか」
探そうと思っていたら、受付のところから、ミナさんに声をかけられた。
「あ、ミナさん。おはようございます」
「おはようございます。今日はどうなさいましたか?」
「…実は、この子をテイムしたんですよ」
俺は、そう言って、腕に抱えている、リアを見せる。
「カウっ!」
「あらあら、リオンじゃないですか。よくテイムできましたね」
「…え?なんでですか?」
リオンは、普通のモンスターだったはずだから、テイマーなら誰でもテイムできると思うんだけど…、なんかあるのか?
「リオンっていうのはですね…、リオンキングの子どもということだけあって、凶暴な性格なんですよね。しかも、自分が認めたものにしか、従わないし、甘えもしないんですよね」
「そうだったんですか…」
確かに、あの時のリアは凶暴だったけど、モイカとハクの協力もあって、上手くダメージを与えられたんだよな。
けど、自分が認めたものしか従わないのは知らなかった…。もしかしたら、あのテイムをした時に、俺のことを認めてくれたのかもしれないな。
もしそうなら、俺としても嬉しい…。
「この子はなんていう名前なんですか?」
「リアって言います」
「カウっ!」
「リアちゃんですか。うふふっ。シドさんは、リアちゃんからも愛されてますね」
ミナさんが、微笑みながら、そう言ってくる。
そうか…、ミナさんは、モンスター達の気持ちが大体わかるんだもんな。
改めて、そう言ってくれると、やっぱ嬉しいものだ…。
「そうですか…!。リア、これからもよろしくな」
「カウっ!」
リアも、嬉しそうに鳴いてくる。
これからも、愛情を持って、育てて行ってあげよう…!
「…それでは、新たなテイムモンスターを見せてくれたということで、クエストを完了しますね」
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クエスト名 テイムモンスターを探して
テイムしたモンスターを受付嬢 ミナに見せよ。(一体ごとに、ポイント報酬はもらえる)
一体のポイント 1pt
一体の報酬 500G
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クエスト名 テイムモンスターを探して
ポイント 1pt
報酬 500G
クリア
——————————————————————
「はい、これで報酬も入ったと思います。これからも、たくさんのモンスターをテイムしてきてくださいね!」
「はい、ありがとうございます!」
これでゴールドが2550G、ポイントが12ptになったぞ。あと3ptで、ランクが上がるから、またクエストを受けにいった方がいいかもなー。
ランクが上がることで、テイムできる数や、連れて行けるモンスターも増えるんだし。
……あ!!そう言えば、お礼を言うのを忘れていたな。
「すいません、少し話しが変わるんですけど…、土地のことを色々と教えてくれてありがとうございます!おかげで助かりました」
「あ、そのことですね。全然大丈夫ですよ。もう、買ったんですか?」
「はい。初めは見るだけのつもりでしたけど…、ミナさんのおかげで安くなって、買うことができました」
本当に、ミナさんには助けられた。
元の値段が何ゴールドだったかはわからないが、相当安く買えたと思うからな。
感謝しかない…。
「そうでしたか。お役に立てたなら幸いです。モンスター達と、幸せな生活を過ごしてくださいね!」
「はい、ありがとうございます!」
「うふふ。機会があれば、少し伺ってみても大丈夫かしら?」
…え!?
俺は、ミナさんの言葉に少し驚く。
NPCでも、土地を訪れるということができるようになっているのか…、すごいゲームだ。
「いいですよ!楽しみに待ってます」
ミナさんが来てくれたら、モイカ達も喜ぶだろうし、どういう土地にした方がいいのかのアドバイスをくれるかもしれないからな。
来てくれるのは、とてもありがたい。
「ありがとうございます」
そう言って、ミナさんが微笑む。
…これで、クエストも完了したし、お礼もした
一応テイマーギルドでやるべきことは、終わったけど…、クエストの方も少しみておこうかな。
ランクの方ももう少しで上がりそうだったし。
「すいません。少しクエストを見て行っても大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
俺は、そう言って、クエストボードの方に歩いて行く。モンスターギルドの方にも、後で行ってみようと思っているから、いい感じのものがあれば、受けようという感じだ。
「うーーん…、何かいいものがないかな…」
俺はボードを見ながら、少し呟く。
大体が、なんとかなモンスターをテイムしてこようや、モンスターの力を貸してほしいというもので、今の俺が受けれそうなものがないんだよな…。
「強いて言えば…これ」
——————————————————————
クエスト名 一緒に遊ぼう!
テイムしたモンスターと一緒に、テイマーギルド内にある、預け広場で遊ぼう。
これを機に、テイムモンスターとの友好が深まるかもしれないぞ!
時間は、30分。
ポイント 1pt
ゴールド 300G
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これなら、今の俺でも受けれるし、楽なクエストだと思う。
だって、テイムモンスターと30分、広場で遊びだけで、報酬がもらえるんだからな。
しかも……、モイカ、ハク、リアと一緒に遊べるんだぞ!!こんな神クエはそうそうない気がする。
ただ…モイカとハクを、おいてきてしまったんだよな…。
また戻って、連れてくるのも少し時間がかかるし…。
うーん……。
「…後でまた受けに来るか」
まだ、やりたいことがあるから、後になってしまうけれど、また受けにこよう。報酬ももらえるし、ランクももう少しで上がるからな。
…モンスターギルドに行ったついでにしようかな?
モンスターギルドにも行くつもりだったし、行ったついでに行くのもアリな気がする。
うん、そうしよう。
「ミナさん、すいません。クエストなんですけど、また後で受けにきますね」
「そうですか、わかりました。また、お待ちしてますね」
「はい、また後で」
俺は、ミナさんに一言言ってテイマーギルドを出て行った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「モイカー、ハクー、ただいまー」
「カウっ!」
俺たちは、モイカ達が待っている、自分の土地へと戻ってきた。
「ぷいー!!」
「ピィー!!」
モイカもハクも、俺たちが帰ってくると、モイカは走って、ハクは飛んで、こちらに向かって寄ってくる。
「二人とも、大丈夫だったか?」
俺は寄ってきた二人を撫でて、もふりながら声をかける。
「ぷいぷい」
「ピィー」
「そうか。お留守番ありがとな」
よかった…、何もなかったみたいだ。
始めて、二人と離れて行動をしていたから、俺としてもめちゃめちゃ不安だったから、本当によかった。
まあ、俺がログアウトしている時にも、3人はこっちにいるんだから、絶対に安全にはなっているとは思っていたけど、実際にこっちにいるとやっぱ不安になるもんだな…。
ただ、一人で待っていてもらうのは、俺としても不安だし、残された方も寂しいと思うから、一人でお留守番は絶対にやめておこう…。
「ぷいー♩」
「ピィー♩」
……それにしても…もふもふだ。
何度も言ってきたけど、本当に気持ちいい。
かつ、この可愛さだからな…。
「カウっ!」
「…あ、ごめんな。ほら、リアも」
リアに、私も撫でて!的なことを言われて、リアのことも撫でてあげる。
「カウっ♩」
誰か一人でも、俺が撫でてあげていると、最終的には、全員撫でている。
これももう、あるあるになってきているなー…。
得しかないから、いいんだけどね…!
……
「それじゃあ、次のことをやりますか」
俺は少しの間、3人を撫でた後に、次の場所に行くことにする。
モンスターギルドに行く、テイマーギルドに行く、どこかのフィールドに行く、レベル上げをする。
この四つはつなげてやっていこうと思っている。
けれど、時間はかかるし、疲れも溜まってしまいそうだから、この四つは後でにしておこう。
お昼少し前ぐらいにいこうかな?
そうすれば、モンスターギルドでご飯も食べられそうだしね。
そう考えると……
「地図を埋めるか」
お手伝いギルドのクエスト。
これを少しでもいいから進めておきたい。
ただ、一つの悩みとして……
「モイカ達をどうするかだよな…」
このクエストなら、俺一人でもやっていけるとは思う。でも、それはそれで寂しいんだよな…。
今までも、一番最初以外は、誰かがいてくれたから、やっぱり寂しくなってしまう。
そう考えると……
みんなでいくのがいいのかな…。
一人だけ連れていくのもいいが、またモイカかハクを置いていってしまうことになっちゃうしなー…。
また寂しい思いをさせてしまうのは、心苦しい。
それに…、もしかしたら、モイカ達全員の力が必要になる可能性だってある。どこで必要になるかって言われると、何も言えないけど…、この街を全部見て回るんだから、どこかで必要になることだって、確率は低いかもしれないけど、あるかもしれない。
「…うん、全員で行こう」
全員で行った方が楽しそうでもあるしな…!
すこし目立つだろうけど、一旦そのことについては、考えない様にする。
テイマーギルドに行って見た感じ、他にもテイマーの方はいたし、あと数日もすれば、モンスターが歩いていても、そこまで変ではない様に思われると思う。
やっぱり俺的には、テイマーという職業を選んだからには、みんなで探索をしてみたい。
けれど、あまり人が多いところはやめておこう。
大通りは、何度か通っているおかげで、埋められているし、逆に狭い道だったり、小道だったりは全然埋められていないからな。
…よし…、決まりだ!
「モイカ、ハク、リア。地図を埋めにいくぞ!」
「ぷいっ!」
「ピィー!」
「カウっ!」
どんどん埋めていくぞー!
——————————————————————
最後の方の文章ですが、少し変になっているかもしれません。もし、違和感がある場所等あれば、ご指摘ください。
引き続き、誤字脱字や、星評価等お願いします!
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