第20話 クエスト完了!再び南の森へ…
「……あれか?」
俺たちが荒野を歩いていると、小さなモンスターが数体群れになって、歩いているのを見つける。
数的には…多分5体ぐらいだな。
俺たちは、ゆっくりとそのモンスターの群れの方へと近づいていく。
…うん、絶対にあれがチューチューだな。
完全に、ネズミの形をしているし。
———————————————————
チューチュー ♂ Lv2
HP 15 MP 5
———————————————————
——————————————————————
チューチュー
西の荒野にいるネズミ型のモンスター。群れをなして行動をしている。
荒野で生活をしていたせいか、毛が薄くなっており、前歯も大きくなっている。
一匹一匹はそこまで強くないが、群れで攻撃をしてくるので、意外と厄介なモンスターである。
———————————————————————
よし、生体のところにも書いてある通り、一匹一匹はそこまで強くなさそうだな。ただ、群れで行動しているから、一人だと対処が難しい感じか。
けど…
「俺にはモイカ、ハク、リアがいるからな」
「ぷい!」
「ピィー!」
「カウっ!」
うん、3人ともやる気だな!
俺を含めて全員、チューチューよりかはレベルが高いから、そこまで心配はなさそうだ。
モイカも今は、リアの背中から降りて、地面に立っている。
「ヂュー!」
「「ヂュー!」
「向こうも俺らに気づいたみたいだな」
チューチューたちが、こちらに向かって威嚇をしてくる。
…よく見ると、チューチューって結構…、言い方は悪いけど、少し気持ち悪いモンスターなんだな。
顔も少し怖いし、前歯も大きいし…。
…こいつはテイムしないでもいいかな。
「よしっ!やるぞ!」
「ぷい!」「ピィー!」「カウっ!」
俺がチューチューに向かって走ると、モイカ、ハク、リアも一斉に走り始める。
俺は以心伝心で、どの敵に攻撃をしていくのかを常に共有できるようにしておく。まだ、全然使い慣れてはいないけれど、大体の意思は伝わるようにはしておきたい。
「「ヂュー!」」
向こうもこちらに向かって走ってくる。
数は5体。こっちの方が数的不利ではあるけれど、レベル的にはこっちが有利ではあるから、大丈夫だとは思う。
「ヂュー!」
「…俺はあいつだな」
俺は、こちらを睨みながら走ってくるチューチューに狙いを定める。
「ぷい!」
「ピィー!」
「カウ!」
モイカ、ハク、リアも狙いを定めたらしいな。
モイカとリアは、狙いに向かって走り、ハクに至っては、もう光弾を放つ準備をしている。
「……くらえっ!」
俺は自分の狙いに向けて剣を振るう。
ザシュっ!
「ヂュっ……ヂュー…」
「…よし!やったぞ」
俺の剣に当たったチューチューは、すぐに倒れる。
やはりレベルの差か、スライム同様に一発で倒せるみたいだな。
…けど確かに、5体を一人で対処するというのはきつかったかもしれない。一体をやったら、すぐ次のやつに向かって剣を振るわなければいけないんだからな。
けど、俺には仲間がいるからな…!
「ぷいー!」
「ピィー!」
「カウっ!」
「ヂュっ…ヂュ……」
モイカは突進を、リアは引っ掻き、ハクが光弾を放ち、それぞれ倒していく。本当に頼もしい限りだ。
「残りは…あと一体だな」
「ヂュー…」
俺は、残りの一体を見て言う。
その一体は少し怯えてはいるものの、威嚇を辞めずにこちらを睨みつけている。
…本当は見逃してやりたいところなんだが…、クエストを完了するためにも、一体でも多く倒しておきたい。
「…やるか」
俺はゆっくりと残り一体の方に近づいていく。
モイカ、ハク、リアは後ろで俺を見守ってくれている。
チューチューも俺に向けて、威嚇を続ける。
「ヂュ…ヂュ…ヂュ…」
「……なんだ?」
さっきまでと同じ声で鳴いているのだが、その様子が少しおかしい。
…何かやるつもりか?
俺は以心伝心で、少し警戒するようにみんなに伝える。
「ヂュ…ヂュ…ヂュ…ヂューーーーーーーー!!!!」
「うわっ!うるさ…」
残り一体のチューチューは、さっきまでの鳴き声とは異なる声で叫び出した。
流石にこれはびっくりするな…。今のところうるさかっただけで、体に異変はないけれど…。
ただ、大きい声で叫んだだけか?
「…早めに倒しておくか」
今のところ何もないが、これから何かやる可能性は十分ある。
俺は一気に走り出して、チューチューに向かって攻撃をしようとした。
その時…
「…!?」
俺は一気に後ろに飛ぶ。
「「ヂューー!!」」
「あいつ…仲間を呼んだのか」
いきなり横から、チューチューの群れがこちらに向かって攻撃をしてきた。
正直危なかったな…。後ろにいたモイカたちが、以心伝心の効果で、危険を知らせてくれたおかげで避けれたからな。
まさか、仲間を呼ぶことができたなんてな…これはびっくりした。
「数はさっきと同じ5体か…」
叫んだチューチューを入れて、6体。さっきよりも一体増えた感じか…。
けど、
「やることはさっきと変わらない!」
「ぷい!」
「ピィー!」
「カウっ!」
俺たちは、さっきと同じ流れで、チューチューたちを倒して行った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
……
「モイカ!リア!残りの2体を頼む!」
「ぷい!」
「カウ!」
俺は、全員が一体ずつ倒したところで、すぐにモイカとリアに攻撃の指示を出す。
もしかしたら、さっきみたいに仲間を呼んでくる可能性もあるからな。
ここは突進ですぐに倒せるモイカと、俊敏力の高いリアに任せた方がいいと判断した。
モイカとリアはすぐに動き出して、残りのチューチューに攻撃をしていく。
「ぷいー!!」
「カウっ!!」
「「…ヂュ…ヂュー……」」
モイカの突進、リアの引っ掻きをくらったチューチューたちはすぐに倒れていく。
やっぱり、残りを一体か二体かの少数にして、そのまま少し放置していると仲間を呼んでくるらしいな。
ただ…これ、うまく利用すると、レベル上げとかをやりやすくできそうな気がするな。チューチューの軍団を見つけて、一体だけ放置して残りを倒す。そして、仲間を呼んでもらって、それを繰り返す…。
案外使えそうな気がする。また、時間があれば試してみるのもありかもしれないな。
『スキル 以心伝心のレベルが上がりました』
「おっ、以心伝心のレベルも上がったな」
これでレベル3だな。
今まで上手く使うことができていなかったけど、今のバトルでは上手く活用することができたとは思う。これがなければ、仲間を呼んだ時とか、ダメージを受けていてもおかしくはなかったからな。
レベルが上がったのは嬉しい。
ただ…
「俺たちのレベルは上がっていないか…」
倒した数でいうと、俺、ハクが二体で、モイカ、リアが3体の計10体。ちょうど、クエスト達成の数だな。
多分、スライムよりかは経験値は多いと思うけど、レベルもレベルだから、そこまで経験値が入らなかったのかもな。
多分次ぐらいには、誰かしらのレベルが上がるだろう。
「…ふーー…、目標のチューチュー10体も倒したし、一回ギルドの方に行くか。その後、ご飯を食べて休憩して、また少し動こう」
南の森でスライムを倒して、西の荒野でリアを仲間にして、チューチューを倒す。
結構長い時間歩いて、バトルしてを繰り返していたから、少しは疲れが溜まっているはず。
「ぷいぷい!」
「ピィー!」
「カウっ!」
…3人まだ元気そうだな。
…いや、ご飯を食べるって言ったからだな。
昨日は何もあげれなかったからな…。これからもちゃんとあげていかないとな。
俺たちは、一度モンスターギルドの方へと戻って行った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
……
「すいません。クエストを達成してきたんですけど…」
「あ、シドさん。お疲れ様です。少し待っていてください」
「分かりました」
俺は、モンスターギルドに戻って、クエストの達成をマナさんに報告する。
…実を言うと、達成報告だけじゃなく、またクエストを受けるつもりなんだけどね。
報告する前に、少しだけボードを見ておいたから、もう、何を受けるかは事前に決めてあるし、紙も持ってきてある。
「お待たせしました。クエスト達成報告ですね。……………はい!達成していることを確認しましたので、報酬を渡しますね!」
——————————————————————
クエスト名 スライムを20体討伐せよ
(デイリークエスト)
ポイント 1pt
報酬 500G
期限 本日
クリア
——————————————————————
——————————————————————
クエスト名 チューチューを10体討伐せよ
(デイリークエスト)
ポイント 1pt
報酬 800G
期限 本日
クリア
——————————————————————
これでポイントが11ptで、ゴールドが2050Gだな。
確か、15ptまたランクが上がるから、もっとクエストをクリアしてランクも上げていきたい。
……あと、ちょっとした疑問なんだけど、どうやって達成しているか確認しているんだろう。ゲームの中だから、誰が何かを何体倒したとか見えてるようになっているのだろうか…?不思議だ。
「ありがとうございます!ついでに、またクエストを受けたいんですけど、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
俺は、報告する前に持ってきた紙をマナさんに見せる。
——————————————————————
クエスト名 スピドラビットの討伐
南の森に現れるモンスター スピドラビットを倒してきてほしい。このモンスターは、ステータスは低い方であるのだが、俊敏力だけが異常に高く、逃げ足が速くなっているため、倒すことが難しくなっている。従って、俊敏力を高くしてから受けることを推薦する。
期限は一週間だ。
ポイント 2pt
報酬 800G
——————————————————————
このクエストを受けようと思った理由は、まず、このスピドラビットというモンスターを見てみたいと思ったからだ。なんたって兎だからな!可愛いいしもふもふなはず。…まあ倒さないといけないんだけどね。
もう一つがリアがいるからだ。リアの瞬足でもしかしたら追いつけて、倒せるかもしれないからな。
それに、デイリークエストでもないから、最悪今日倒せなくても大丈夫。
ただ、まだ俺がみたことがないということは、もう少し奥に行かないと見つけられないかもしれないな。
「このクエストですね。わかりました…」
——————————————————————
クエスト名 スピドラビット討伐せよ
ポイント 2pt
報酬 800G
期限 一週間
——————————————————————
「はい、これで受諾できました。頑張ってくださいね!」
「ありがとうございます!」
これでクエストの達成報告で報酬ももらえて、また新たなクエストも受けることができたな。
今からは、疲れもあるだろうから……
「ご飯食べるか!」
「ぷい!」「ピィー!」「カウっ!」
俺たちは、朝も寄った酒場の方に向かった。
食べたものは、モイカとハクがサラダ、俺とリアが安い肉を半分に分けて食べた。
使ったゴールドは、朝と同じ300Gだな。
本当は、リアに一個買ってあげてもよかったけど、俺がそこまで空腹ではなかったから、俺のを分けてあげた感じだな。
ちなみに、ご飯を食べた後は、一度自分の土地の方に戻った。リアにも紹介したかったし、もう少し休憩をしたかったからな。
みんなで、芝のような地面で寝転がって…ゴロゴロしたりして…めっちゃ幸せな時間を過ごしましたね。……もふもふ…幸せだったな…。
これからも寝るとき(ログアウト)するときは、みんなで集まって寝ようかな…。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
……
「…再びやってきました。南の森!」
「ぷいっ」
「ピィー」
「……カウ?」
「あ、そうか。リアは初めてだったな」
リアをテイムしたのは、南の森でスライムを倒した後だったからな。
この森を見たのも初めてなのかもしれないのか。
「カウっ」
「南の森は……見ての通りだな。木がいっぱいあって、自然たくさんな場所。リアの居た場所より、走りやすいとは思うけど、木とかにぶつからないようにな」
「カウっ!」
うん、リアもちゃんとわかってくれたみたいだ。
多分木にぶつかったりすることはないと思うけど……ずっと荒野にいたとすると、そっちに慣れてしまっている可能性もあるからな。一応言っておいた。
「じゃあ、探しますか。スピドラビット。そして…」
そう、俺が南の森にもう一度きたのには、もう一個理由がある。
「ユニークモンスターを探しにね」
ユニークモンスター。さっきもスライムを倒しながら、どことなく探してみたのだが、全然見つからなかったから。スライムのユニークモンスターでもなんでもいいから見てみたい。
…出現確率は低いと思うけどね!
「ぷい!」「ピィー!」「カウ!」
3人ともやる気のようだし…行きますか!
俺たちは、南の森の奥へと歩いて行った。
—————————————————————
皆さん、いつも呼んでくださってありがとうございます!コメントも全て読ませてもらっています。コメントの方も参考にしながら、書いていますので、もし他にも意見等があれば、教えてください!
そして、星評価の方が200を突破しました!
ありがとうございます!
これからも引き続きよろしくお願いします。
追記
ポイントを書き間違えていたので、直しておきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます