第18話 リオン
………
プルプルっ プルプルっ プルプっ
「モイカ!左のスライムを頼む!ハクは右のスライム!俺は真ん中を倒す!」
「ぷい!」
「ピィー!」
俺たちは今、ラストの3体であるスライムに対峙している。
一番初めにハクがスライムを倒してから、一時間ぐらい経っている。ハクをメインにしつつ、俺とモイカも倒しながら、目標の数に達するためにスライムを倒しまくっていた。
そして今、クエスト達成条件である20体を倒すために、ラスト三体に対峙していた。
「ぷいー!」
「ピィー!」
モイカが左にいるスライムに突進していき、ハクが右にいるスライムに光弾を放つ準備をする。
俺も、真ん中にいるスライムに走っていき…
「くらえっ!」
「ぷいー!」
「ピィー!」
グチョっ グチョっ グチョっ
真ん中にいたスライムを切りつけ、倒す。
それと同時に、モイカとハクもそれぞれのスライムに攻撃を放ち、スライムを倒した。
「…これで達成条件である、20体目だな」
やっぱり、スライムなだけあって、全く攻撃は受けなかった。けど、倒せば経験値が少しだけ入り、レベルをあげることもできたから、初心者には優しいモンスターだなと改めて感じる。
『スライムを倒したことにより、レベルが1上がりました。レベルが5に達したため、ステータスポイントを10ゲットしました』
『レベルが5に達したため、スキルを一つ覚えることができます』
「やった!やっとレベルが上がったぞ」
しかも、レベル5になったから、ステータスポイントを10ptももらえたし、スキルまで覚えることもできるなんて…、嬉しすぎる!
「やっぱまずは、スキルだよなー…」
何にしようかな…。小剣術の時は、攻撃手段がなかったから、攻撃系のスキルを選ぼうと思って決めてはいたけど、今回はまだ何も決まっていない。
「見てから決めるか」
やっぱりスキル一覧の方を見ないと、何も決まらないからな。
俺は、一覧の方をざっと見始める。
大剣術、双剣術などの攻撃系のスキルは……小剣術のレベルを上げて、もっとマスターしてからの方がいいな。初めにいろいろな武器を使えるようになれなくても、大丈夫だとは思うしな。
火魔法、水魔法などの魔法系のスキルもな…、ハクがいるから遠距離は大丈夫だと思うし、もし覚えたとしても、小剣術の方をおろそかにしてしまうかも知れないからな。もう少し後にしよう。
そう考えるとなー…、本当に何にしようか悩むな…。
俺はまた、スキル一覧の方を見て、下の方にスクロールしながら、何にしようか考える。
…
「ぷいっ」
「ピィー」
「ん?どうしたんだモイカ、ハク」
俺が何にしようか悩んでいると、モイカとハクが俺の方へと近づき、一緒にスキルのかかれた画面を見ていた。全然気がつかなかったな…。
「ぷいぷい」
「ピィー」
そして、モイカとハクは一緒に、とあるスキルの方に手(羽)を伸ばして、俺に何かを知らせている。
「えっと、このスキル……鑑定っていうスキルがい言っていうことか?」
「ぷい!」
「ピィー!」
モイカとハクが大きく頷く。
まさか、モイカとハクにおすすめされるスキルがあるとは思わなかったな…。
どんなスキルなんだろう。
鑑定…モンスターについて、体力や生体など、もっと詳しく見ることができる。植物などの自然物についても詳しく見ることができるようになる。
「おお、なるほど!確かに、俺には必要だな」
中でも体力を見ることができるのは大きい。俺は前に、ブラックウルフをテイムする前に倒してしまったからな。これから、テイムをしやすくするためにも、鑑定は必要かも知れない。
「ありがとな、モイカ、ハク。このスキルにするよ!」
「ぷいー!」
「ピィー!」
二人も喜んでいるようだ。なんでこのスキルを知っていたのかはわからないけど…俺にとって得しかないスキルだからな。今は二人に感謝しよう。
あとは、ステータスポイントだけど…
————————————————————
名前 シド Lv 5
人種 人間
職業 テイマー Rank 2
HP : 30 (Max 30) MP : 10(Max 10)
攻撃力 : 13 (+3) 防御力 : 10 敏捷力 : 7
知力 : 8 器用さ : 5 ラック : 10
残りポイント 0
スキル
テイムLv2 以心伝心Lv2 撫でるLv3
小剣術Lv3 鑑定Lv1
装備
・小剣 ランクE(攻撃力 +3)
称号
お手伝いの開拓者
レアモンスターのファインダー
テイムモンスター
・モイカ(モルモート)
・ ハク(シロノバード)
所持金 750G
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こんな感じにしてみた。体力を30ぴったりにして、防御力とラックを10に、攻撃力を一気に14まで上げて、残り1を器用さに振ってみた。
やっぱり、攻撃力は欲しいなと思っていたから、そこを一気に上げて、あとは平等に振った感じだな。
ちなみに、スライムを20体やっている間に、撫でると小剣術のレベルが1個上がっている。確かに、倒した後には撫でたりもしていたし、小剣も使ってはいたからな。これで、少しは小剣の扱いも上手くなったと思うけど、撫でるの方は……多分モイカたちが得するからいいとしよう。
それと、ハクの方もレベルが一つ上がっていて…
——————————————————————
名前 ハク Lv 3
種族 シロノバード
HP : 15 (max15) MP : 15(max15)
攻撃力 : 4 防御力 : 3 敏捷力 : 5
知力 : 9 器用さ : 2 ラック : 2
残りポイント 0
スキル
突っつき Lv1 光魔法 (光弾)Lv2 キュア Lv1
——————————————————————
こんな感じになっている。
ステータスは、魔法のために知力とMPの方に振って、余った1つを攻撃力に振った感じだ。
光魔法も一つレベルが上がっている。
モイカは俺よりも一つだけレベルが高かったからか、まだレベルが上がっていないけど、多分次のエリアに行って、モンスターを倒せばレベルも上がるだろう。
それに、スライムよりもレベルは高くなっていると思うから、少し苦戦はするかも知れないけど、それだけ経験値も手に入るだろう。
「これで、スライムのクエストも終わったし……西の荒野に向かうか」
本当は、ユニークモンスターなるものも発見できたらなーっと思っていたけれど、そこまで上手くはいかなかったな。やはり、出現率も低いみたいだ。
今は、次のクエストをクリアするため、レベルの方を上げるためにも西の荒野に向かおう。
「行くか、モイカ、ハク」
「ぷいっ」
「ピィー」
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
・西の荒野・
「ここが、西の荒野かー…」
初めてきたけど…、荒野だな。
地面はほとんどが砂で覆われているけれど、所々に枯れ木のようなものが生えていて、木も少しだけあるように見える。地面も凸凹していて、小さな砂の山のようなものが様々な箇所にあるから非常に歩き辛そうに見える。
「ぷいー…」
モイカもここでは、あまりここでは地面に降りたくないようで、俺の肩にいる。多分、戦う時には降りてくれると思うから、別に気にはしないけどね。
ハクは、大体飛んでいるからか、あまり気になっていないようだ。
まあ、俺の頭にいるんだけどね。
「ここにいる、チューチューとかいうモンスターを10体倒せばいいんだな」
確か、群れをなして行動しているとか行ってたけど…、どこにいるんだろう。
名前からして、ネズミみたいなモンスターだとは思っているんだけど。
「少し歩いてみるか」
歩いてみないと見つけることもできないからな。
俺たちは、チューチューなるモンスターを探すために、歩き始める。
まだ、時間はあるから、ゆっくりと探して行こうかな。
「……!?ピィー!」
「うん?どうした、ハク」
少し歩くと、ハクが何かを俺に伝えてくる。
何か見つけたか?
「ピィー!」
「向こう…?……あ!なんかいるな」
ハクが見ていた方向をよくみると、何か小さなモンスターがいることがわかった。
あれがチューチューか?
俺は、ゆっくりとそちらの方へと近づいていく。
「ピィーピィー!」
「ぷいっ!」
しかし、ハクとモイカが何故か、再び俺に何かを伝えて、そっちに行こうとするのを阻止しようしてくる。…なんでだ?
「二人ともどうしたんだ?あれがチューチューなんじゃ………ないわ」
俺はもう一度、そのモンスターの方を見てみると、そのモンスターも立ち上がって、こちらの方を見ていた。
……うん、あれがチューチューなわけないな…。なんなら、その真逆の存在と言ってもいいかもしれない…。
「……カウっ!」
「……完全にライオンの子供だ…」
—————————————————————
リオン ♀ Lv 5
HP:35 MP:10
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—————————————————————
リオン
荒野に潜む百獣の王 リオンキングのこども。
荒野のどこかに暮らしており、立派な大人になるため、一人で日中を暮らしている。これは、オスであっても、メスであっても変わらない。
その姿はかわいらしい容姿をしているが、見た目によらず凶暴である。しかし、認めたものには甘々になるとも言われているが、それが真実であるかどうかはわかっていない。
——————————————————————
「名前はリオンっていうのか…」
多分、ライオンを英語にして、ローマ字で読んだ感じだろう。
まさか、チューチューよりも先に別のモンスターに会うとは思っていなかったな…。
それと、鑑定の効果だと思うんだけど、リオンのHPとMP、生体についても見ることができている。
これは…ありがたすぎるな!
「…カウ!」
「…向こうはもうやる気満々みたいだな…」
ハクとモイカが知らせてくれていたのに、申し訳ないな…。
けど、まだレベルが低くてよかったな。これで二桁とかだったら、死んでた可能性もあったと思うし。
「モイカ、ハク、ごめんな。戦うことになっちゃったや」
「ぷいぷい!」
「ピィー!」
モイカとハクが大丈夫だぞということを伝えてくる。なんなら、ハクとモイカもやる気のようで、戦う準備をしてくれている。
「ありがとな!ただ…倒しはしないで欲しい。できれば、テイムをしたい」
せっかく出会えたのだし、テイムをしてみたい。それに、めっちゃ可愛いし、もふもふもしていそうだしな!なき声もガウではなく、カウのような感じでそこも可愛らしい…。
「ぷいっ!」
「ピィー!」
二人が、うんうんと頷いてくれる。
「ありがとう!」
今回は、鑑定のスキルによって、HPも見ることができるから、前みたいに倒すという可能性は小さくなると思う。
「二人とも…いくぞ!」
「ぷい!」
「ピィー!」
「カウっ!」
リオンの方も、俺たちが動き出すと同時に、こちらに向かって走り出す。
可愛いからって容赦はしないぞ!絶対テイムしてやるんだ(前回テイムできなかったことを少し根に持っている)。
「モイカ、ハク!」
俺は、モイカとハクに攻撃の合図をする。以心伝心で、なんとなくの攻撃はわかっていると考え、俺も動き出す。
…大体はスライムを倒した時と同じ動きなんだけどね。
「ピィー!」
ハクが、光弾の準備として、嘴回りに魔法陣を展開する。
「いくぞ、モイカ」
「ぷいー!」
そして、俺とモイカがリオンの方へと走って、攻撃をしにいく。
「カウカウ!」
「こいっ」
俺は、リオンが攻撃してくるのをよく見て、剣で受けようとする。
俺たちの考えは、俺が受け、そこにモイカが攻撃する。ブラックウルフの時と似たような攻撃だ。ただ、それをかわされたとしても、光弾で攻撃もできるし、当たったとしたら、追撃として光弾を放てばいい。
ただ、俺は一つの可能性を見逃していた…。
「……カウっ」
「…!?マジか!」
ザシュっ
「…痛っ!!…やってしまった…」
そう、俺が攻撃を剣で受けれると考えていたこと。
俺が受けれなかったら、全ての作戦が無駄になってしまうのだからな。
だから…やってしまったのだ。
俺のHPも半分まで減ってしまっている。ブラックウルフと同じぐらいの攻撃力っぽいな…。
「モイカ!ハク!」
俺はすぐに、違う攻撃でいくことを伝える。
俺はそこまで頭が良くないから、すぐに別の作戦を伝えることができないから、ただ攻撃するように伝える。
しかし…
「!?ハクまで以心伝心が届いてない!」
そう、以心伝心のレベルが低いからか、以心伝心の範囲内にモイカが入っていなかったのだ。
ハクは後衛だから、俺たちとは離れているからな…。ここは、ハクを信じるしかない。
俺はすぐに立ち上がり、攻撃の準備をする。
「ぷいー!」
「…!カウっ」
「ぷい!?」
モイカの攻撃も、すぐにかわされてしまう。
やっぱり…こいつ判断力がすごいな。余計に仲間になって欲しくなる。
ただ…俺はかわしてすぐの油断を見逃さない。
「くらえっ!!」
ザシュっ
「…!カウっ…」
よし、完全にヒットしたはずだ。こっちだってレベルが上がっているんだから、結構喰らっているはず!
————————————————————
リオン ♀ Lv 5
HP:18 MP:10
—————————————————————
やっぱり!約半分ぐらい減らすことができたぞ。
「ぷいー!」
「!…モイカ!いけ!」
モイカは、俺の攻撃した後を見逃さずに、すぐにリオンに突進をしていた。
ナイスすぎるぞ!モイカ!
「ぷいー!」
「……カウっ!」
「「!?」」
「それをかわすかよ……」
リオンは、すぐにモイカを検知して、モイカの突進をかわしてしまう。
攻撃を喰らったすぐ後なのにな……。すごい。
俺もすぐに、攻撃をしようと剣を構えて、リオンに向かう。
ちょうどその時、
「ピィーー!!」
ハクが光弾を放った。
「「!?」」
これには、攻撃をしようとしていた俺、再び突進をしようとしていたモイカ、モイカの攻撃をかわしてすぐのリオン。全員が驚く。
まさか、このタイミングでハクが関わってくるとは、俺も思っていなかったからな…。
けど……最高のタイミングだ。
その光弾はそのままリオンの方へと向かっていき……
「…カウっ!……」
リオンにクリティカルヒットする。
「……カウ……カウ……」
リオンもたってはいるけれど、すでに満身創痍のようだ。
————————————————————
リオン ♀ Lv 5
HP:3 MP:10
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それもそのはず。残りHPが3になってしまっているのだから。
俺は、ゆっくりとリオンの方へと近づいていく。
「…カウ!」
まだ、向こうはやる気のよう。
けど、俺はゆっくりとリオンに語りかける。
「リオン!俺の仲間になってくれ!」
「!?」
向こうは驚いているが、構わず語りかける。
「いきなりのことで困惑してるかもしれないけど…お前の攻撃、俊敏力、判断力どれもすごかった。だから、お前の力が欲しい」
「……」
「俺の仲間のモイカとハクも歓迎する」
「ぷいっ」
「ピィー」
モイカと、俺たちの方へと飛んできていたハクも頷く。
「……」
「だから!一緒にきて欲しい!」
そして、俺はあの言葉を口にする。
「こい!テイム!!」
「………カウ」
すると、リオンの周りに光が漂っていき…
『リオンのテイムに成功しました。残り、モンスターをテイムできる数は2です』
『名前を決めてください』
よっっっっっっし!テイムに成功したぞ!
マジで嬉しい…。これで3体目だな!
「名前は……リアだ!」
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読んでくださり、ありがとうございます!
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