第13話 テイマーギルド
「ここがテイマーギルドか」
俺は、お手伝いギルドを出た後、マップを基にテイマーギルドの方へやって来た。ついでに、さっきのクエストを少しでも終わらせるためにも、白紙の紙を持ちながら歩いていたけど…、全然埋まらなかったね。まあ、すぐに終わるとは思っていなかったから、気長にやっていこう。
テイマーギルドの外見は、お手伝いギルドと似たような感じなのだが、テイマーと書いてあるだけあり、モンスターが描かれた看板や絵が置かれており、さらには、卵のようなものまで書かれていた。
…もしかしたら、モンスターの卵みたいなものがあったりするのかな…。
「…入るか」
「ぷいっ」
「ピィー」
俺たちは、テイマーギルドに入った。
「…あれ?なんか思ってた感じと違ったな」
テイマーギルドの中は、お手伝いギルドよりも少し広くなっており、自然を意識しているかのような装飾になっていた。
入ってすぐに、クエストボードと受付があるのだが、少し奥の方には広場のようなところもある。
多分、あそこでモンスターたちを遊ばせるとかもできるのかな?
「…あら?お客様かしら」
俺たちが中に入って、周りを見渡していると、女性の方に声をかけられた。多分、受付の人かな…?
「あ、はい。クエストを受けたいなと思いまして」
「まあ!昨日ぶりのお客様ね。昨日も数人しか来てくれなくて、暇だったのよね」
そういえば…テイマーって少ないかもしれないんだっけ?確か、シールさんにも珍しいって言われた気がするし。けど、数人は来てくれているってことは、少しはテイマーがいるみたいだな。
「そうだったんですね。…あの、初めてテイマーギルドに来たんですけど、テイマーギルドってどういうところなんですか?」
俺は、テイマーギルドがどのようなところなのかを一応聞いてみる。多分、お手伝いギルドと同じ感じだとは思うけど、職業系のギルドではあるから、一応な。
「あ、そうですね。では、少し説明をしましょうか。まずは、はじめまして。テイマーギルドの受付をしている、ミナというものです」
「えっと、テイマーをやってる、シドと言います。で、こっちの肩に乗っているのがモルモートのモイカで、頭の上に乗っているのがシロノバードのハクです」
「ぷいっ!」
「ピィー!」
俺が挨拶をして、二人のことを紹介すると、二人もちゃんと挨拶をする。偉い。
「まあまあ!どちらも珍しい品種じゃないですか!私も初めてみましたね。それに、二人ともシドさんをちゃんと信頼している様子ですしね」
モカさんが、少し興奮気味に、ミナさんがモイカとハクを見る。モイカは確かに、レアモンスターではあったけれど、ハクも珍しいモンスターなのか。
それに…、二人とも俺のことを信頼しているって!?…嬉しいこと言ってくれるじゃないですか…。
「ぷいぷい!」
「ピィー!」
「ふふふ。いい主人でよかったですね。シドさん、二人はあなたの事が大好きらしいですよ」
うう…モイカ…ハク…俺は嬉しいよ…。泣けるよ…。
後でゴールドが手に入ったら、好きなものたくさんやるからな!!!
…まあそれは後でいいとして…ちょっと気になった事がある。
「もしかしてミナさんって、モンスターと話せるんですか?」
俺は気になったことを聞いてみる。実際、さっきモイカとハクの言葉を理解していたみたいだし。
「うーん、話せはしないんですけど、なんとなくわかるんですよ。こんなことを言っているのかなってね」
「へえ!そんな能力持ってるんですね」
「まあこれでも、テイマーギルドの受付ですからね。色々なモンスターを見て話して来ましたから」
さすがだな。俺もミナさんみたいに、モイカやハクと話してみたいなぁ。以心伝心のスキルがあるけど、いまいち発動する条件とか、範囲とかもわかっていないんだよな。けど、将来的には、少しでもいいからわかるようになりたい。
「…あ、ごめんなさいね!少し話が逸れてしまいました。今からテイマーギルドについて説明しますね」
はっ、俺も話すことに少し夢中になってしまっていた。これはしっかりと聞いておこう。
「まずここでは、クエストを受ける事ができます。クエスト内容は、大体がモンスターをテイムする事に関する内容になっているので、意外と達成しやすかったりもします。ちなみに言うと、シドさんも三つぐらい達成していますね」
「え?もう達成しているんですか?まだクエストを受けてもいないのに」
「はい、モンスターギルドもそうなんですけど、クエストを受注する前から達成していることも多々あるんですよ」
「なるほど…」
そうなのか。それは知らなかった。
てことは、わんちゃんモンスターギルドの方でもクエストを達成している可能性もあるのか。
「話しを続けますね。クエストを達成すると報酬としてゴールドだったりアイテムだったりがもらえるので、どんどんと受けていってくださいね。そして、これがテイマーギルド特有なんですが…。シドさん、テイマーにランクがある事を知っていますか?」
「えっ、はい、知ってますよ」
「ならよかったです。ランクについてなんですけど、テイマーギルドのクエストを受けて、ポイントを貯めることでランクを上げることができるんですよ」
「そうなんですか!?」
これが知れたのはでかいぞ…。テイマーとして、モンスターの数を増やすためにもランクはどんどんと上げておきたい。
「はい、クエストを見ればわかるんですが、そこにポイントも書かれているんですよ。それと、このポイントというのは、モンスターギルドのクエストの方でももらえるので、どちらかのクエストをやってくれれば大丈夫です。けれど、内容によって、ポイントも違うのですぐに3、4、5と上げていくのは難しいですね」
「なるほど…。モンスターギルドの方でももらえるのはありがたいですね。けど、やっぱ難易度とかによってポイントも違うと」
「はい。しかし…もしかしたら、シドさんはランクが一個上がる可能性があります」
…!?
いきなり言われた言葉に俺は驚く。
「え!?本当ですか?」
「はい、クエストの中にレアモンスターをテイムして、受付に見せるというものがあるんですが、みる限り、そちらのモイカさんはレアモンスターのようですからね。このクエストの難易度は結構高くなっているので、もしかしたらランクが上がるかもしれないですね」
ミナさんが少し笑いながら、こちらに伝えてくれる。
もしこれでランクが上がったら、またテイムモンスターを増やす事ができるのか…。また、テイムしに行くのもありだな…。
「…モイカ、ありがとな。俺について来てくれて」
俺は肩に乗っているモイカを撫でる。本当にモイカがいてくれてよかった。
「ぷいぷいー…」
うんうん、モイカも喜んでくれている。撫でるのスキルのおかげだけど…。
「ピィー!ピィー!」
ハクが頭の上で、足をバタバタと踏みつけてくる。
ハクも撫でて欲しいみたいだな…。
…これ、結構痛いな。
「わかってるって、ハクも来てくれてありがとな。俺は嬉しいよ」
俺はハクも撫でてあげる。
「ピィー!」
うん、可愛いしもふもふだ。
「ふふ、仲がいいですね」
ミナさんが、俺たちのやりとりを見て微笑ましそうに見てくる。
なんか、少し恥ずかしい。
「ぷいぷいー」
「ピィー」
…まあ、仲はいいのかもしれないな。
「微笑ましいやりとりの途中ですけど、話を続けますね。さっきランクを上げるためにはポイントが必要と言いましたが、大体こんな感じで上がっていきますね」
そう言うと、ミナさんは一枚の紙をこちらに渡してくる。
——————————————————————
ランク2 5ポイント
ランク3 15ポイント
ランク4 30ポイント
ランク5 50ポイント + 昇格試験
※ 豪華景品をプレゼント(選択)
ランク6 75ポイント
ランク7 100ポイント
ランク8 125ポイント
ランク9 150ポイント
ランク10 175ポイント + 昇格試験
※ 豪華景品をプレゼント(選択)
……
……
—————————————————————
「こんな感じに上がっていきますね。初めの方は、5、10、15、20、25ポイントのように増えていくのですが、そこからは25ポイントで一定になっていますね。ですから、初めの方はランクは上がりやすいのかなと思います」
「そういう事ですか。ただ…一つ気になる事があるんですけど、昇格試験と豪華景品って言うのは?」
そう、この紙を見てから気になっていた事だ。試験という言葉を聞くと、大学を思い出して怖くなるんだよな…。
「昇格試験というのは、ランクが5の倍数になった時に行われるものですね。簡単にいえば、ギルドからのクエストをクリアしてくれば、合格ということになっていますね。そして、豪華景品というのは、今は言えないのですが…、モンスターの卵だったり、装備品だったりを選んでプレゼントされるという感じですね」
なるほど…。現実のように、紙に問題を解いていくような試験ではないのはよかったな!俺、マジで苦手だからな…テスト…。
「そういう感じですか。教えてくれてありがとうございます」
「いえいえ、頑張ってランク上げも頑張ってくださいね!」
「はい!」
「ぷいっ!」
「ピィー!」
俺の返事に反応して、モイカとハクも言葉を返す。
「ふふ、3人で頑張ってくださいね」
ミナさんも暖かな目でこちらを見て、言葉を返してくれる。なんか、ミナさんってみんなのお姉さんみたいに感じるな。少し恥ずかしい…。
「では、テイマーギルドについて最後の説明をしますね。シドさんも見てわかると思いますが、あちらに広場のようなスペースがあるのがあるのがわかりますか?」
「あ、はい。ずっと気になってはいました」
なんで建物の中に、広場があるのだろうとは思っていた。なんのスペースなんだろう。
「テイマーギルドでは、モンスターを預けるという事ができるんですよ。…シドさんは、プレイヤーがログアウトしている間に、テイムモンスターたちがどうなっているか知っていますか?」
「え……、わからないですね…」
あ…そういえば…昨日もモイカとハクはどうしていたんだろう。
「その答えはですね…、そのままそこにいる状態になるんですよ。初めのうちは、宿屋などで休めるからいいのですが時間が経つにつれて、テイムモンスターが増えたり、大きくなったりして、宿屋に入る事ができなくなるんですよ。そういう時に、ここに預けるという事ができるんですよ」
「そうだったんですか…。全然知らなかった」
昨日は、宿屋に入ってから少し戯れて、ログアウトしたけど、モイカとハクはそのまま宿屋にいたのか。なんか、少し申し訳ない気持ちがあるな…。これからは、できるだけ早くログインをしてあげようかな。現実での予定とかがなければ。
それと…今は二体だけだったから、宿屋の人も許してくれるけど、増えてくるとやっぱ迷惑だもんな。
「モイカとハクはちゃんと大人しくしてたか?」
「ぷいっ」
「ピィー」
「なら良かった。二人なら大丈夫だとは思ってたけどな!」
まあ、心配は何もしてなかったんだけどね。二人はいい子なんだから!
「ちなみに、ただモンスターを預けたい時も利用できますので、ぜひ利用してくださいね」
「はい、わかりました」
ここから先何があるかわからないから、預けれるということは覚えておいた方がいいかもな。
「それで…ここでシドさんに一つ推奨したい事があるんですが…。シドさんは土地が買えるということを知っていますか?」
「え…土地ですか?」
土地って…、あの土地でいいんだよな?
「はい、自分だけの土地というものが買えるんですけど…、テイマーの方には買うことを強く推奨してるんです」
…………。
あ、なんか俺も自分だけの土地が欲しいみたいなことを昨日考えてた気がする。人の視線がものすごかったからな…。
けど…テイマーギルドが強く勧めるのはなんでだろう。
「それは何故ですか?」
「ログアウトする時に、モンスターが安全だからですね。買った土地は自分と、テイムモンスター、許可したフレンドしか入れないですからね。それに、少しアイテムを買う時であれば、モンスターをそこに置いておくこともできるんですよ。モンスターをつれていると、目立ちますからね」
なるほど…。確かに、自分に土地があれば、俺がログアウトする時にも二人は安全だし…、俺一人で出かけることもできるのか。モイカとハクも視線にはうんざりしていそうだし。
それに、これからモンスターが増えていくと考えると、なおさらあった方がいい気がするな…。
あれ?もしかしたら、意外と重要なものなのか?
考えれば考えるほど必要な気がする。
「確かに…、少し考えると、土地が必要な理由がわかる気がします」
「そうでしょう!土地は広げることもできますし、ちょっとした小屋のようなものがついてくるのもありますから、ぜひ色々見てみてくださいね。モンスターギルドの隣にある、不動産屋に売っていますから、モンスターギルドのついでにでも行ってみてください」
「はい!色々と教えてくれてありがとうございます!」
「いえいえ、覚えることがたくさんあって、忘れてしまったらまた聞いてくださいね。なんでも教えますから」
そういうと、またこちらに微笑んでくる。
やっぱお姉さんなんだよな…。
「わかりました!」
うん、ミナさんならなんでも聞いて良さそうだな。めっちゃ優しそうだし。なんなら、今話した感じも優しかったし。
「では、クエストをみていきますか?クリアしているものもあると思いますし」
「そうですね。お願いします」
よし、テイマーギルドについてはわかったし、クエストを確認しますか!
目標である土地を買うためや、食料のためにもゴールドは必要だしな。
できるだけ、多くのクエストをクリアしてればいいな…。
俺は、そんなことを考えながら、クエストボードに向かった。
——————————————————————
少し急いで書いたので、どこかに矛盾点などが、あったら教えてください。
また、誤字脱字や、評価の程もよろしくお願いします。
もうすぐ新年になりますが、ゆっくりですけれど書いていこうと思っていますのでよろしくお願いします!
(…もし、他の作品に似ていたりしたらごめんなさい!できるだけオリジナルにしているつもりですのでお許しを…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます