第9話 テイム!…失敗…
「…ぷい…ぷい」
「起きたか、モイカ。結構寝れたか?」
「…ぷいっ」
まだ目を細めている。
また寝るかな?
「まだちょっと眠いか?」
「..ぷいぷい」
モイカは首を横にして、目を覚ましている。
もう大丈夫みたいだな。
「なら良かった」
ちょうど30分くらいかな?1時間ぐらい寝るかなとは思っていたけど、意外と早かったな。
けど、お昼寝にはちょうどいいか。
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名前 モイカ Lv 5
種族 モルモート
HP : 25 (max 25) MP : 10(max 10)
攻撃力 : 7 防御力 : 5 敏捷力 : 5
知力 : 4 器用さ : 3 ラック : 4
残りポイント 0
スキル
突進 Lv2 威嚇 Lv2 眠り回復 Lv1
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「あれ?少ししか寝てないけど…、体力が全回復してる。…あ、なるほど」
俺は、スキル欄を見る。
眠り回復…眠ることによって回復する体力の量が増加して、回復スピードも倍の早さになる。
「眠り回復の効果か」
「ぷいっ」
これは意外と便利かもしれないな。特に、モイカは、今の攻撃の要でもあるから、少し寝るだけで回復してくれるのは、とてもありがたい。
「モイカの体力も回復したことだし、探索を再開しますか」
「ぷいっ!」
モイカもやる気満々みたいだ。
寝たことで、疲れも取れた見たいでよかった。
俺も、少し休めたから、今はもう疲れなどはなくなっている。
「よいしょっと、さて、どっちの方に行こうか……、うん?」
ガサガサっ
俺が、座っていた根っこから立ち上がり、少し周りを見渡すと、不自然に動いている草むらを見つけた。
「…なんだあれ……。モイカ、あそこなんか動いてないか?」
俺は、小声でモイカに問いかける。
もしかしたら、俺の見間違いである可能性もあるからな。
「…ぷいぷい」
「…やっぱそうだよな…」
モイカも動いているように見えるらしい。
なんなんだろうか…。
「…近づいて確認するしかないか。モイカはここで待っててくれ」
「ぷいっ」
このままスルーするのもなんだしな。
それに…、もしかしたら、モイカみたいなレアモンスターだったりするかもしれないしな…!やはり、レアモンスターというのを見逃したくはない。
…まあ、逆に、普通のモンスターである可能性もあるけどね。
どちらにせよ、見てみたいという好奇心を抑えられない。
俺は、草むらに向かって、一歩一歩近づいていく。
「ゆっくり…ゆっくり…」
ゴクっ
ガサ…ガサ………
「…え、止まった?」
急に草むらの動きが止まった。
なんか、急に動きが止まると、そっちの方が返って緊張するんだが…。
…………
…………
「…見てみるか」
俺は、もう一度足を動かして、動いていた草むらの目のまで近づいてみる。
草むらはもう動く気配すらない。
いくぞ……
「おりゃっ!!」
ガサっ
俺は思いっきり、動いていた草むらのあたりを開いてみた。
けれど…
「…何もいないんかい…」
俺が見てみると、そこには何もいなかった。
マジか…少しワクワクしていたんだから、せめて何かはいてくれよ…。普通のモンスターでも、レアモンスターでも、他のモンスターでもなんでも良かったのに…。
残念…。
「…戻るか」
俺はモイカの方に戻っていく。
まあ、何もなかったってことは、いいことでもあるんだから、この件はなかったことにしよう。
また、探検の再開だ!まだ見ぬモンスターを見つけたり、レベル上げをしたり…、色々とやりたいことがあるからな。
もう長い時間やってるから、そこまで長くはやる気ないけれど。
「…!?ぷいぷい!!!」
モイカが急に、俺に向かって叫び出す。
「ん?どうしたんだ、モイカ」
「ぷいぷい!」
俺というか…、俺の後ろ?の方へモイカは叫び続けている。
モイカが急に叫ぶなんて、何かあったのか?
俺はモイカが叫んでいた、後ろの方をすぐに見てみる。
「ガウ………」
「…え、なんだ…あの黒い狼」
後ろを見てみると、黒色の色をしている狼のようなモンスターがいた。
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ブラックウルフ ♂ Lv.6
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「レベル6!?いきなり上がりすぎだろ!」
俺はさっきまで、運営からも可哀想と呼ばれているレベル1のスライムしか倒してないんだぞ!
しかも、ブラックウルフって…、名前からして絶対強いだろ…。
てか…、さっき不自然に動いていたのって、もしかしてコイツだったのか?
「ガウ…ガウ…」
どうする…、ブラックウルフはこちらをずっと睨み続けており、もう、俺たちを見逃してくれる気はなさそうだ。
戦って勝てるか?俺とモイカが一緒に戦えば、勝てる可能性もあると思うが……。
「…テイムするか…?」
そうだ、テイムして仲間にしてしまえば、戦わなく済むんじゃないか?それに、あんな強そうな奴が仲間になったら、絶対に頼もしいと思うし。
…まだテイムできる条件とか何もわからないけど…。けれど、少しは可能性はあるとは思うんだよな。
「…モイカ…」
「ぷい」
うん、モイカも俺の考えが伝わったらしい。以心伝心の効果が出てきたな。
やってみなくちゃ、可能性はゼロのままだ!
「テイム!!」
さー、どうだ…!
………
………
………
「ガウーーーー!!!!!」
狼が、『舐めてるのか』と言っているかのように、こちらに突っ込んでくる。
「ダメでしたーーー!」
舐めてないんですよ…。少しの可能性に賭けただけなんです…。やっぱ、少しは体力を削っておかないといけないのか…。
狼は、こちらの準備を待つ暇もなく、俺に噛みつこうとしてくる。
「モイカ!俺が攻撃を小剣で受けるから、その隙を突いてくれ!」
「ぷい!」
モイカに俺の考えを伝える。
そして、俺はブラックウルフの攻撃に備える。
「さー、来い!」
「ガウー!」
どれだけ強いのかわからないけど…、受け止めてみせる!レベル6だから、絶対に攻撃を受けるだろうけど、それはしょうがない。死なないようにはしよう。中ポーションもあるから、遠慮なく使っていけば、死にはしないと思うけど…
「ガウっ!」
ブラックウルフは俺に噛み付いてくるが…
「おら!」
キンっ
俺は剣でそれを受ける。
危なかった…、後少しタイミングずれてたら喰らってたかも…。ボーンナイト戦で少し鍛えられていたのかもしれない。
「…うおっ…力…つよ…」
ごめんなさい…、少し舐めていたかもしれません…。思ってた以上に力が強く、俺は剣を動かせなくなる。
「ぷいぷいー!」
そうしているうちに、モイカがブラックウルフに向かって突進をしていた
「ナイスだ!いけ!」
「ぷいー!」
よし、モイカの突進を喰らえば、だいぶ体力は削れるはずだ。スライムをあんなに吹っ飛ばしていたんだからな。
「…!ガウっっっっ…」
よし、結構喰らったんじゃないか?
ブラックウルフは、モイカの突進を受け、俺の剣から口を離す
「ガウ…」
ブラックウルフは、モイカの突進を受けて、ダメージは喰らっているようだが、まだ戦えるようだな、
「まだ倒れないか…。流石レベル6だな」
「ぷい…」
こっちはまだ、ダメージを受けていないが、油断してはならない。一撃くらっただけで、瀕死になってもおかしくないんだからな。
「…ガウ!」
「…きたっ」
ブラックウルフは、また俺に向かって走ってくる。
また噛みつきだろうと考え、俺はまた小剣を構える。
「ガウ!!!!」
「…!?爪で攻撃か」
クソっ!完全に噛みつきだろうと考えてしまっていた…。まさか、違う形で攻撃してくるとは…。
俺は、攻撃が変わったせいで、小剣での対応が遅れてしまった。
「ガウ!」
ザシュっ
ブラックウルフの爪が、俺の腕を引っ掻いてきた。
「クッッソ…、もろに喰らってしまった」
多分、半分以上喰らってしまっただろう。
これは完全に俺のミスだな…。
「ぷいっ!」
「モイカ!」
さっきと同じパターンで、モイカがまた突進をしていく。そうだ、俺が攻撃を受けようとも、まだモイカがいるんだ!
モイカの突進は、そのままブラックウルフに向かっていき…
「…!ガウっ」
ブラックウルフは、それがくることを予想していたかのように、モイカの攻撃を避けた。
「…!?避けた…!?クソ!」
どうする…。モイカの攻撃は避けられてしまった…。
なら…、
「俺がやってやる!」
俺はすぐに、ブラックウルフに剣を向けて、思いっきり剣を振りかざす。
「くらえ!」
ザシュっ
「ガウっ…」
よし!当たった!…けど、
「ガウっっっ!」
ブラックウルフはすぐに、こちらに攻撃をしてくる。攻撃が当たったことを喜ぶ好きもない…。
俺は、また小剣で守ろうと考えたのだが…、
どっちで、攻撃してくる…?
噛みつきか、爪での引っ掻きか、どっちでくるかわからないのだ。それに、もしかしたらまだ別の攻撃をしてくる可能性もある…。
ここは…、どんな攻撃がきてもいいように、構えておこう。ただこうすると、対応するのが遅れるかもしれないから、そこは注意しないと…。
「ガウ!!」
「っ!引っ掻きか!」
俺は、すぐに爪の攻撃に合わせて、小剣をそれに当てようとする。少し遅れたけれど…、剣には当たるはず…!
「ぷいーーーーー!」
「え、モイカ!?」
俺が、ブラックウルフの攻撃を抑えようとしていると、モイカがまたブラックウルフに突進をしていた。さっきは避けられたけれど、避けられてすぐに、また突進を開始していたのだ。
「ガウ!?」
これには、ブラックウルフも驚いたらしい。
そうだろう、だって俺でさえ驚いているんだからな!以心伝心らしいものでも、何も伝わってきていないから、俺にも何も教えず、モイカの独断で動いたんだろう。
けど、これはチャンスだ。
俺は、ブラックウルフの引っ掻きを剣で抑える。
「いけ!モイカ!」
「ぷいっ!」
モイカはその勢いのまま、ブラックウルフに突進して行き…
「ガウっ………」
ドンっ
そのまま、ぶつかっていった。
ブラックウルフは、その勢いに耐えることができずに、吹っ飛ばされ、俺たちがさっき休んでいた木に思いっきりぶつかった。
……
「やったか?」
「ぷい…」
ブラックウルフは、木にぶつかったまま、動かないでいる。
倒したか…?
…あれ、待てよ。
「倒しちゃったら…、テイムできないんじゃないか?」
やばい…!
「テイム!!」
俺はすぐにもう一度、テイムを唱える。
……
「テイム!」
……
あ、これ、倒しちゃったやつですね。
「ぷい……」
モイカが、やってしまったという感じで少し凹んでしまった。
いや、この件に関しては、モイカは何も悪くない。
「モイカは何も悪くないよ。テイムはしたかったけど…、モイカが無事でよかったしな。それに、また機会はあると思うしな」
「ぷい?」
モイカは本当に?という感じでこちらを見てくる。
可愛い。
「そうそう。全然大丈夫だから!さ、探検と行きたいけど…、今日は一旦戻るか。ダメージも受けちゃったし、今に戦いでまた疲れてるかもしれないしな」
『ブラックウルフを倒したことにより、レベルが2上がりました。ステータスポイントを10ポイントゲットしました』
『ブラックウルフを倒したことにより、テイムモンスター モイカのレベルが上がりました。レベル5を超えていたため、ステータスポイントを10ポイントゲットしました』
『テイムモンスター モイカはレベル5を超えていたため、新スキル 嗅覚を手に入れました』
『スキル 小剣術のレベルが上がりました』
『スキル 以心伝心のレベルが上がりました』
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名前 シド Lv 4
人種 人間
職業 テイマー Rank1
HP : 27(Max 27) MP : 10(Max 10)
攻撃力 : 9 (+3) 防御力 : 6 敏捷力 : 4
知力 : 6 器用さ : 3 ラック : 8
残りポイント 10
スキル
テイムLv1 以心伝心Lv2 撫でるLv2
小剣術Lv2
装備
・小剣 ランクE(攻撃力 +3)
称号
お手伝いの開拓者
テイムモンスター
・モイカ(モルモート)
所持金 300G
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名前 モイカ Lv 6
種族 モルモート
HP : 25 (max 25) MP : 10(max 10)
攻撃力 : 7 防御力 : 5 敏捷力 : 5
知力 : 4 器用さ : 3 ラック : 4
残りポイント 10
スキル
突進 Lv2 威嚇 Lv2 眠り回復 Lv1
嗅覚 Lv1 new!
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うおっ!
一気に来すぎだろ…!
確かに、ブラックウルフはレベル6もあったからその分、経験値もあったかもしれないけど、一気にレベルが2も上がった。
しかも、モイカのレベルも上がり、新スキルを覚え、俺のスキルのレベルも上がるなんて…、マジでいいこと尽くしだ。
けど…、こういうのを見ると、やっぱ楽しくなってくるな!
「よし、俺とモイカのステータスポイントを振って……」
…
ピィー…
うん?なんか、上の方から声がする。
俺の上にあるのって、あのでかい木の草なんだけど…
「ピィーー!」
「え!?なんか落ちてくるぞ!」
「ぷいっ!?」
木の上から何かが落ちてくる。
なんだあれ?
「ピィーー!!」
ボンっ
…
「…ピィー……」
木の上から落ちてきたのは、小さな真っ白い鳥であった。
…なんで?
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年内に星評価100を目標にしているので、星1でもいいのでよろしくお願いします!
また、誤字脱字等もよろしくお願いします。
修正
すいません。レベルが上がると、体力が回復するという設定だったんですが、ダメージを喰らったままでしたので、修正しました。
申し訳ありません。
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