第8話 差しずめの休息
———————————————————————
スライム
青い色をしており、ぷにぷにとしているモンスター。口も目も持っていなく、何かを食べる時は、体で覆い、吸収している。
どこにでも現れ、レベルも低いため、初心者にも狩られてしまう、可哀想なモンスターである。
———————————————————————
「なるほどな…、どうりで俺でも簡単に倒せたわけだ」
俺は今、モンスターを探しながら、さっき倒したスライムの情報を見ていた。戦闘経験のない俺でも、簡単に倒せたから、どんなモンスターなのだろうと思っていたら…運営にも可哀想なモンスターって書かれてましたね。
けど、こういうモンスターのおかげで俺もレベルアップできているにだから、スライムには大感謝だな。
「さっ、次なるモンスターも倒して、もう少しレベル上げたいな。それに、モンスターももう一人ぐらいテイムしておきたい」
「ぷいぷい」
「そうだな、モイカのレベルも少し上げておきたいしな」
ただ、モイカは初めから、レベルが5だったから、そう簡単には上がらないんだろう。
俺はまた、森の中を歩く。
プルプルっプルプルっ
「お…、また現れたな…。運営からも可哀想と言われているスライムよ。今回は二体いるみたいだけど…、多分大丈夫だろう」
「ぷいっ」
「わかってるよ。俺はさっき戦ったし、次はモイカにやってもらうよ」
「ぷいぷい!」
やる気も満々みたいだし、大丈夫だろう。
攻撃力も7あったし、さっきの俺でも倒せたんだからな。
そういや…、モイカの戦う姿をちゃんと見るのは初めてかもな。
ボーンナイトの時も、威嚇して突進していたけれど、俺はあの時色々と切羽詰まっていたからな…。
ちょっと楽しみ。
「いけ!モイカ!」
「ぷいーー!」
モイカが叫びながら、スライムの方へと、突進をしていく。
モイカが叫ぶのを聞くと、スライムは急に止まり、少し痺れているような状態に陥いる。
「なるほど…あれがスキル 威嚇の効果か」
これは便利だ。ただ、自分より弱い相手の時は高確率だけど、強いと低確率になってしまうから、そこは注意しておかないとな。ワンチャンがある可能性もあるけどね。
モイカは痺れている二体のスライムのうちの一体に近づいて行き…
「ぷいーーーーー!」
グチョっ……………ポン……
思いっきり、ぶつかって行った。突進されたスライムは、その反動で、遠くの方まで吹っ飛ばされており、動かないでいる。
…あれ?もしかして、俺が思っている以上にこの子の突進って強い?
「ぷいーーーー!」
モイカは、そのまま突進をやめずに、もう一体のスライムに近づいて行き……
グチョっ…………ポン……
そのままぶつかって行った。
もう一体のスライムも、遠くの方へ吹っ飛ばされている。
……
うん、この子強いわ。
もう少し時間かかるかなって思っていたけれど、突進と威嚇ですぐに終わったよ…。
まあ、相手がスライムだったから何とも言えないけど…、スライムがあれだけ吹っ飛ばされているんだから、多分相当強いだろう。ただ、レベルはまだ上がっていないようだ。
「ぷいぷい」
モイカがトテトテとこちらに歩いてくる。
「ぷいっ」
そして、俺の近くまでくると、俺の目の前で頭を下げて、何かを要求してくる。
…何だ?
「…ぷいぷい」
左右に頭を振って何かを待っている。
「うん?………あ、なるほど」
そうだな、モイカだって頑張ってくれたんだから、ここは褒めてあげないと。
「よしよし、モイカは頑張ったなー。流石だぞ」
「ぷい〜…」
モイカは気持ちよさそうに目を細めながら、体をぐったりとさせている。
…こういうところを見ると、撫でるのスキルがあってよかったと思うな。多分、こういうところでしか使えないし…
『スキル 撫でるのレベルが上がりました』
「お、撫でるのスキルが上がった!…けど…、何が変わるんだろう」
多分、効果が上がるんだと思うんだけど…、どうなんだろう。何か特殊仕様みたいなものが増えてくれれば、もっと使いやすくなるとは思うんんだけど…。まあ、まだレベル2だしな…。
「…ここから先、使っていけばわかるか」
使う場面はあると思うしな。…特にモイカに。
「ぷいぷい」
うん可愛い。
それと少し気になるのが…撫でるのレベルは上がったけど、他のスキルのレベルはまだ上がらないんだよな。俺としては、テイムのレベルを上げたいんだけど…、もっと使っていけば上がるかな?以心伝心はまだあまり使っていないからな、しょうがない。
「次のモンスターを探しにいくか。できれば、スライム以外がいいんだけど…」
「ぷいぷい」
スライムも弱くて、倒しやすくていいんだけど、他のモンスターも見てみたい。
…ただ、あまりにもレベルが高いのはやめてほしいな。
「歩くか」
俺たちは次なるモンスターを探しに、また歩き出した。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
俺達は、南の森の少し奥の方までやってきた。
プレイヤーの数は少なくなってきているが、たまに見かけることもある。
ただ、モンスターなんだけど…
「…なんか、スライムしかいなくないか?」
さっきモイカに倒してもらってから、またモンスターを見つけてはいるのだが、スライムしか出て来なかった。俺とモイカで交代して倒したのだが、どちらもレベルは上がっていない。
…もしかして南の森ってスライムしかいないのか?
森って言ってるんだから、もっと他のモンスターも出てきていいと思うけど。
「ぷいぷい…」
モイカが、少し小さな声で鳴いている。
加えて、モイカの歩くスピードも初めの時よりも少し遅くなっている気がするし、顔も少し疲れているような顔をしている。
「…あ、ごめんな。疲れたよな。一旦休憩するか」
南の森に入ってから、ずっと歩いて、戦ってきたから、さすがに疲れたようだ。もっと早めに気づいてあげるべきだったな…。
「うーん…」
俺は、周りを見渡して、どこか休めそうな場所を探す。できるだけ、安心な場所がいいんだけど…。そんな場所がこの南の森の中にあるのだろうか。
うん、今はあまり欲を出さずに、休める場所を探そう。
「…あ、あそこの木だけ、周りの木よりもデカいな。それに…木の麓に、木の根っこのようなものもあるから、休むにはちょうど良さそう」
俺は近くにあった、周りよりもでかい木を見つけ、そこで休むことにした。
意外と近くで見つけのだけれど、森の中というだけあって、良く目を凝らさないと、どれぐらいの高さなのかはわからなかった。
「よいしょっと」
俺は、麓にあった根っこに座る。
うん、やっぱ根っこだからな少し硬いけれど、座るだけでも、疲れは取れるだろう。
「ぷい〜…」
モイカが少し眠たそうにしている。
「眠たかったら、寝てていいからな。モイカ」
「ぷい…」
モイカはそう一言鳴くと、座っている俺の膝に乗り込み、そこで丸まって眠り始めた。
「…起きるまで、待ってやるか」
結構歩いて、バトルもしたからな。
次からは、少しでも疲れていそうだったら、肩の上に乗せて休ませてあげよう。
そっちの方が、モイカも疲れないで済むだろうし、バトルの時も、疲れなく戦えるだろうしな。
「…待ってる間、少しステータスでもみようかな」
————————————————————
名前 シド Lv 2
人種 人間
職業 テイマー Rank1
HP : 27 (Max 27) MP : 10 (Max 10)
攻撃力 : 9 (+3) 防御力 : 6 敏捷力 : 4
知力 : 6 器用さ : 3 ラック : 8
残りポイント 0
スキル
テイムLv1 以心伝心Lv1 撫でるLv2
小剣術Lv1
装備
・小剣 ランクE(攻撃力 +3)
称号
お手伝いの開拓者
テイムモンスター
・モイカ(モルモート)
所持金 300G
————————————————————
————————————————————
名前 モイカ Lv 5
種族 モルモート
HP : 20(max25) MP : 10(max10)
攻撃力 : 7 防御力 : 5 敏捷力 : 5
知力 : 4 器用さ : 3 ラック : 4
残りポイント 0
スキル
突進 Lv2 威嚇 Lv2 眠り回復 Lv1
————————————————————
「あれ?モイカの突進と威嚇のレベルが2に上がってる」
確かに、スライムを倒すのに、結構スキルを使ってはいたけど、意外と早く上がったな。
けど、テイムモンスターのスキルが上がっても何も知らせはないのか、できるだけ頻繁に見てあげないと…。
「…しかも、モイカの体力が少し減ってる…」
もしかしたらえスライムからの攻撃を少し受けていたのか、それとも、突進を使っていた代償なのか…。もっと早く気づいておいてあげるべきだったな…。
ごめんよ、モイカ。
俺は、寝ているモイカの頭に手をやり、優しく撫でる。ふわふわでもこもこだ。
「ほんとにかわいいな…」
寝ている姿もベリーキュートである。
「…俺のステータスは、撫でるのレベルが上がっただけだしな」
それ以外、なんの変化もない。
そういえば、職業のランクもあるんだけど…、これってどうあげるんだろう。俺自身のレベルや、スキルのレベル、もしくはテイムモンスターの数とかで上がるのだろうか。こういうランクとかもあげていきたいな。
「…うん?そういえば、フレンドの欄に赤い点滅があるんだけど…。誰かからの連絡か?」
——————————————————————
NPC シール
また、必ず来てくださいね。待ってますから。
——————————————————————
「…………………」
まさかのシールさんからの連絡だった。
見た瞬間、これ見なかった方が良かったかなって思ったけど…、流石に後が怖いからな。
少し前に、絶対に行きますと言ってたんだけどな…。
なんて、返信しよう。
———————————————————————
シド
絶対に行きます。
———————————————————————-
「…これでいいか」
あまり変なことは言わず、ここは行くということだけを伝えておこう。
そのうち行くつもりではあったしな。
…けど、まさかもう連絡が来てるとは思っていなかった。
「…もうやることないし…、モイカが起きるまで待っていますか」
俺は、そのままモイカを撫で続けながら、モイカが起きるのを待った。
起きたら、もう少し探索して、始まりの街に戻ろうかな。
———————————————————————
誤字脱字等があれば報告よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます