第4話 始めてのテイム


モルモートを助けるべく、石を持ち走り出したのはいいが、一体どうすればいいんだ。


ボーンナイトは今にも、モルモートに攻撃をしている。走って、モルモートのそばに行きたいが多分間に合わない。


なら…


石を投げて少しでも意識をこちらに向ける!


「こんやろうー!これでもくらえ!」


俺は、おもいっきし石をボーンナイトに向かってぶん投げる。

当たらんくてもいい、当たらなくてもいいから少しでも注意を引きつけるんだ…!


「カっ…カっ…」


ボーンナイトが、俺の方をゆっくりと見てくる。

よし、注意は引けたみたいだ。


ただ、まだモルモートまで距離があるからもう少し時間を稼ぎたいんだが…、

どうすれば…


いや、考えている暇はないな。


「もう一発だ」


俺はもう一度、石をぶん投げる。

正直コントロールすることは、無理だから、少しでもボーンナイトの近くに飛ぶように意識をする。

そして、もし運が良ければ……



ボーンナイトに当たって欲しい。



そして、とんでいった石はボーンナイトの方に飛んでいき、

見事、右足に直撃をした。


「!…カっ…」


「…!よし当たった!」


石の当たった右は、少しだけヒビが入り、ボーンナイトも右足を気にしているようだ。

これで完全に注意はこちらに向くだろう。


けど、まだ油断はしてはならない。

向こうはまだ動けているのだから、モルモートを助けるまでは注意が必要だ。


モルモートまではあと少しだ。

絶対に助けてやるから、待っとけよ!


俺は走りながら、もう一発石を投げ、投げてすぐにもう一発投げる。

これで、持っていた石は全て使い果たした。


向こうも一発食らっているのだから、石を無視することはできないだろう。


そう……少ししか動かないかもしれないが、視線は石の方に動く筈だ。


「…カっ…カっ…」


カンっ!


ボーンナイトは投げた石を剣で思いっきり弾いた。

そして…もう一発はボーンナイトのわずか横にずれてしまった。


クソっ…、さっき一発当たったのは本当にまぐれだったのか…。

もしかしたら、そういう才能があるんじゃないかって少し期待していたのに!


本当は、もう一発ぐらい当てて、時間を稼ぎ、そのうちにモルモートを助けようと思っていたんだが…

どうする…

もう石はないから、ここからはもう考えなしに、動いいていくしか…


「…カっ…カっ」


「…?!やっば!」


俺が少し考えをしていたうちに、ボーンナイトはこちらに向かって剣を振ろうとしていた。


やばいぞ、これは…!


レベルの差的に、一発でも当たったら、俺は死んでしまい、またはじめの場所にリスポーンするのだろう。正直、そんなにデメリットはないのだが、ここまで青いブレスレットを探して来たのに、またはじめからになるのは少し面倒くさい。それに、このモルモートとももう、会えなくなってしまうかもしれないしな。少しぐらいは触っておきたい!(死にそうな時にもかかわらず欲望に忠実)


「カっ…!」


「…来る!」


ここはもう一か八かのかけだ。右か左によけて、そのままモルモートを抱えて、全力で走って逃げる。

成功する確率は限りなく、小さいかもしれないが…、やってみる価値はある。


俺はボーンナイトの振る剣をよく見て…


「…!左!」


思いっきし左に避けた。剣は、そのまま何にも当たらずに空を切った


と、思っていた。


「…マジかよ…」



————————————————————

名前 シド  Lv 1

人種 人間

職業 テイマー Rank1


HP : 5 MP : 10

攻撃力 : 4 防御力 : 6 敏捷力 : 4

知力 : 6 器用さ : 3 ラック : 7

残りポイント 0


スキル

テイムLv1  以心伝心Lv1 撫でるLv1


所持金 1000G

————————————————————


完全に避けたと思っていたが、わずかに剣が右腕を掠っていたのだ。

そのせいか、HPはもう5しかない。

掠っただけで、これだけのダメージが出るのかよ…。流石にレベル20は伊達ではない。


「…カ…!」


「…!もう一発かよ…」


さっきの石のお返しかのように、ボーンナイトはまた剣を振るおうとしていた。


…これはもう無理か?

さっきの攻撃が掠っただけで、あれだけのダメージが入ったんだから、次少しでも当たった暁にはもう死だ。


「…やれることだけはやるか」


完璧によければ、ダメージはない。

諦めなければ可能性はある…!


よく見るんだ…さっきよりもちゃんと見ろ。

一瞬でも剣から目を背けなければ………









「ぷい…ぷいー!!」


……んっっっ?!


「え?!モルモート!」


俺が、今までにないぐらい剣の方に集中をしていた時、モルモートがボーンナイトに向かって、突進をしていた。


そして、モルモートが突進した先は…


さっき俺が投げた石が当たって、ヒビが入ったところであった。


「…ぷい!」




ドンっ! 


ポキポキ


「!!…かっ…」


ボーンナイトも、俺の方に集中しており、モルモートの方に注意を向けていなかったから、反応が完全に遅れていた。


モルモートの攻撃をしたところを見ると、ヒビの数がさっきよりも増えており、ボーンナイトはもう歩けないでいる。


…モルモート先輩…、あなた流石っす!

俺でさえ、こんなことをするとは思っていなかったからな。


「今がチャンスだ」


俺は、この機会を見逃さずに、すぐに少しよろめいているモルモートを抱えた。


「…あとは、逃げるだけ!」


ボーンナイトにはもう、こちらを追いかける余裕もないように見えるが、俺はすぐに駆け出した。


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「はー…はー…はー…」


マジで疲れた…。体力が残り5しかなかったからか、体がいつもより重かったが、ようやく、はじめの方の裏道に出ることができた。

少し、遠くの方を見れば、お手伝いギルドがある大通りがうっすらと見える。

流石に、ここまでボーンナイトが追ってくることはないし、他のモンスターもいないだろう。

…てか、逆になんで街中にある裏道にあんな奴がいたんだよ…。

誰か教えてくれ。


いや、今はそんなことよりも


「おい、大丈夫か」


俺は、腕に抱えているモルモートに声をかけた。

できるだけ、揺らさずに走って来たのだが、大丈夫だろうか。


「…ぷ、ぷいぷい」


「はー、よかったー」


マジでよかった…。これで、もしもお亡くなりになられていたら、多分俺は泣いていたぞ。

ただ、まだ少し震えていたから、まだ少し攻撃を受けた影響や、突進した影響などが残っているのだろう。


「もう大丈夫だからな」


俺は、モルモートの背中に手を乗せ、ゆっくりと背中を


…やばい、めちゃめちゃもふもふだ。気持ちいいな。


「…!ぷい…ぷい…」


「お、どうした?なんだかいきなりゆったりとし始めたけど」


俺は、モルモートの反応を見て、手の動きを止めた。


「!ぷいぷい!!」


なんだ?なんか何かを強く訴えてくるんだが


「ん?なんだよー。…もしかして撫でて欲しいのか?」


「ぷいぷい」


モルモートはうんうんと頷く。

まー、俺はこのもふもふを撫でれるんだから、全然撫でてあげるのだが…


ここまで言ってでも、撫でて欲しいのか?

俺にはそんな特技なんて…


……



ありましたわ。


————————————————————

名前 シド  Lv 1

人種 人間

職業 テイマー Rank1


HP : 5 MP : 10

攻撃力 : 4 防御力 : 6 敏捷力 : 4

知力 : 6 器用さ : 3 ラック : 7

残りポイント 0


スキル

テイムLv1  以心伝心Lv1 撫でるLv1


所持金 1000G

————————————————————


はい、スキルに撫でるというものがありましたね。

完全に忘れてたよ…。


けど、このスキルのおかげで今触れてるんだから、今はいいとしよう。


俺は撫でながら、気持ちよさそうにしているモルモートを撫でる。


あーーー…、可愛いんじゃー。癒やされるんじゃー。


…この子、わんちゃんテイムできないかな。

始め会った時は、めっちゃ怒っていて…触ることも許されなかったけど、今はずいぶんと心を許しているようにも見えるし…、

安直な考えというのは重々承知だが、

少し聞いてみようかな。


「なー、モルモート」


「ぷい?」


ウルウルとした瞳がこちらを見てくる。


「もしよかったら…俺と一緒に来ないか?」


「ぷい」


モルモートは、その言葉を聞いて、すぐに頷いた。


うん、そうだよな…。そんなに上手くことが働くことなんて…


ん?


「え、一緒に来てくれるのか?」


「ぷいぷい」


モルモートは撫でられながら、また頷いてくれる。

…まさか、本当に来てくれるとは思っていなかったから、正直びっくりしている。

けど、向こうがいいと言っているんだ、


「わかった。ありがとう!」


スキル名を口にする。


「テイム」


『モルモートのテイムに成功しました。残り、モンスターをテイムできる数は2です』

※職業ランク、テイムのレベルが上がることで、テイムできるモンスターの数は上昇します。


『名前を決めてください」


おー!テイムが成功したみたいだ。

今は、後二体しかテイムできないみたいだが、ランクを上げれば、その数も増えるらしい。

これは、ランクも上げていかないとな…!どうすれば上がるとかは何もわからないがな。


「そして、名前か」


うーーん、何がいいのだろうか…。


モルモート…モルモット…ぷいぷい…ぷいぷいモルカー…


色々と頭で単語を思い浮かべるが、いい感じの名前が思い浮かばない。


「ぷい」


モルモートがワクワクした目でこちらを見てくる。

…そうだよな、こんなにも楽しみにしてくれてるんだから、いい名前をつけてあげないとな。


俺は、たまたま頭に浮かんだ名前を口にする。


「お前の名前は”モイカ”だ」


「ぷいぷい!」


こうして、始めての従魔として、モルモートのモイカが仲間になった。


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名前 シド  Lv 1

人種 人間

職業 テイマー Rank1


HP : 5 MP : 10

攻撃力 : 4 防御力 : 6 敏捷力 : 4

知力 : 6 器用さ : 3 ラック : 7

残りポイント 0


スキル

テイムLv1  以心伝心Lv1 撫でるLv1



テイムモンスター

・モイカ(モルモート)


所持金 1000G

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