第3話 お手伝いクエストに来たはずが…急展開

「よし、では探しますか」


お手伝いギルドのすぐ横の細い道。

見た目は路地裏のようにも見える。


今俺はそこの前にいる。

けれど、ちょっとした問題が…


「なんか…暗いし、少し不気味が悪いな…」


少し道から外れているからか、人も全然歩いていない。

こんなところを歩いていたのか、ハルキくんよ…


「けど、やるしかないよな」


確かに少し不気味悪いけど、そんな人殺し的なものがいるわけではないんだから大丈夫だろう。

多分、


「どれだけこの道が続いているのか分からないけど、歩いて探して行きますか」


そう意気込み、視線を少し下にしながら歩いていく。

青いブレスレットって言ってたから、わかりやすいとは思うんだけど、今の所そんなものは落ちていない。ま、そんなすぐには見つからないか。


俺はずっと下を見て、探しながら歩いていく。


……


「うわっ、別れ道だ…」


道が右に曲がっていくもの、左に曲がっているもの、そのまままっすぐにいくものの三方向に分かれているのだ。


これはちょっとまずいかもな…、

これ間違えたら結構な時間がかかってしまいそうだ。

…さー、どっちにしようかな。

ここはク○ピカ理論を信じて右にするか。それとも、人間が行きたくなるような左に行くか。または、一番迷わなく、覚えやすいまっすぐに行くか。


「よし、これは真っ直ぐに行こう」


正直適当だけど、やっぱり真っ直ぐなら迷子とかになりにくそうだしな。

もしなかったらその時はその時だ。


「見落とさないように、集中しないとな」


俺はまた、視線を下に落としながら道を歩いて行った。


………………

…………

……

.



「…大通りに出てしまった」


歩いている最中他にも、別れ道はあったが全て真っ直ぐを選んで歩いてきたのだが、別の大通りにでてしまった。

もちろん、青いブレスレットはまだ見つかっていない…。


「また戻って、別の道を探さないといけないのか…」


これは…、思っていた以上に大変なクエストを選んでしまったな。まさかここまで道が入り組んでいるとは…。


けど、俺は諦めない。

クリアすると決めたからには絶対にやる。


「…戻って、どっかの道を曲がってみるか」


大変かもしれないが、もうそれしかない。

やりますかーー…


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢





………




「…ここどこだよ…」


こうなるとは思ってはいたけど、本当に迷子になってみると、VRの世界でも怖いもんだな

周りを見ても、さっきと同じで薄暗いままで、ゴミのようなものも落ちている。


ずーっと下を見て、青色のブレスレットを探しているのだが、そのようなものは一向に見つからない。


「マジでどーすればいいんだよ…」


クエストを諦めて、もう違うことをやりに行くか?

今さっき、諦めないで頑張ると張り切っていたのに、俺はまた考え込んでしまう。


本当は武器屋に行く予定で、モンスターと戦う予定だったんだし…。


…、

いや、せっかく受けたんだし、最後までやりきろう。もしかしたら、もう少し先にあるかもしれなしな。某アニメキャラの先生も言っていたじゃないか、『諦めたらそこで終わりですよ』みたいなことを!

よし、頑張りろう!



……


「…ぷいっ」


……ん?

なんだこの声?のようなもの…


「ぷいぷい!」


、後ろか?

俺は声のした後ろの方に振り向いてみる。

そこにいたのは…


「…モルモットか?」


茶色と白色のもふもふな毛を持っているモルモットがいた。


「ぷいぷい!」


おー、この世界にもモルモットがいるのか!

現実世界では、動画の中とかでしか見たことなかったのだが、本当にこんなふうになくんだな。


————————————————————


モルモート ♀ Lv.5


————————————————————


お、モンスターをみると、こんな風にみることが出来るようになるのか。レベルとか、わからないこともある思うから、これは便利だ。


…ってか、モルモットじゃなくてモルモートなのね。


「ぷいぷい…!」


「う…なんかちょっと怒ってる?」


「ぷい!」


目も少し怒ってるっぽく、体勢もなんか変なことしたら突っ込むぞみたいな体勢をしている。

俺なんもやってないのに…

いや、こんな場所に一人でいるんだから危ないやつだと思われてもおかしくないか…


「ご、ごめんね。俺何もしないから…」


「ぷいっ!」


「ほ、ほんとに何もしないよ!なんかやったら、もうボコボコにしちゃっていいから!ほら、俺レベル1だから、すぐに倒れると思うし…」


俺はモルモートと見つめ合う。


「…ぷい?」


「うんうん、ちょっと探し物をしてただけなんだよ」


俺はまた、モルモートと見つめ合う。



「ぷいぷい」


モルモートが頷く。

…よかった…。なんとか伝わったみたいだ。

なんなら、俺の言った言葉を全て理解してるみたいだったし。

まー、何もされなかっただけいいか。さっき言った通り俺のレベルは1だし、武器とか何ももっていなかったから、戦うってなっていたら、絶対にボコボコにされていた。


「……」


「……」


…で、この空気をどうするか。

向こうも攻撃の体勢を抑えてはくれたが、まだ俺の方を睨んでいる。

かと言う俺も、何を言えばいいのかわからないから、ずっと無言のままである。


てか、少し…いや、だいぶ話しが変わるのだが……


モルモートって、めっちゃもふもふしてんだな…。

白色と茶色のもふもふ…。

そして、今は少し怖いけど、つぶらな瞳に、短い足…。


よくみるとめっちゃ可愛いやん!!

ちょっと触ってみたい…。



「…あのー」


「…ぷい」


うっ、やっぱまだ少し警戒してるよな…。

さっきので少しは伝わったとは思うけど…。


「…少しだけ、少しだけでいいから、そのー、触らせて欲しいなって…」


「……」


…やめてくれ、そんな目で見ないでくれ。

うん、わかるよ?今何もしないって言ったのに、こいつは何を言っているんだっていう気持ちは。

けど、マジでもふもふしてそうなんだよ…!

ちょっとでいいから触りたい…


「…ぷいっ」


「あっ」


モルモートは、そのまま何も言わずに奥の方へとトコトコと歩いて行ってしまう。


ま、そりゃそうよね…。完全に俺が悪いから何も言えない。

俺はモルモートが歩いていくのを見ながら、その場に佇む。


…うん、やっぱり触りたかった…。いつまで言ってるんだって話なんだけど、見てよあれ!

短い足に、もふもふの毛、そしてふりふりしているお尻。

可愛いところが盛りだくさんじゃないか!


「…ぷ、…ぷい…?」


ほら見てみろよ、あの鳴いている姿。

さっきまで気にしてなかったけど、よく聞くと可愛い声をしているんだよ。


他にも、…白いくて骨のように細い足、同じように白い手、持っている鋭い剣のようなもの…


……


……



……


……




んっっっっっ?!


「え、なんだあいつ…」


俺は目を疑った。

だって、モルモートの前にマントを羽織った骸骨のようなものがほそ長い剣を持って立っていたのだから。


————————————————————


ボーンナイト ♂ Lv.20


————————————————————


「…え、レ、レベル20…?」


なんでこんな序盤で、こんなやつと遭遇しないといけないんだ…?!

俺まだ、Lv.1なんだけど?!

モルモートでさえ、Lv.5だったのに…

どうすればいいんだよ!


「…ぷ…ぷい…!」


モルモートが動揺しているのが伝わってくる。

そりゃそうだ、だって相手はレベルが20だ。

モルモートと比べて4倍の差があるんだ。

動揺ぐらいするに決まってる。


「…ぷ、ぷいぷい!」


モルモートが何を思ったのか、ボーンナイトにタックルをしようとしている。


なんでそんなことをするんだ?!

何か理由があるのかもしれないが…


「お、おい!やめとけ!」


流石にレベルの差がありすぎる。

しかも、ボーンナイトは剣を持っているから、あれでやられたら一撃で終わりになってしまう。


「ぷいぷい…!!」


「…カっ…カっ….」


ボーンナイトは、突っ込んできたモルモートを剣の持っていない方の手で思いっきり振り払う。

モルモートは、それを見てすぐに避けようとしたが…


ドンっ!


……え、


「手の動き早すぎるだろ…」


モルモートは、それを避けられずに、ボーンナイトの少し前あたりに吹き飛ばされてしまった。


「ぷ…ぷい…」


モルモートも、まだ息はしているが、立つことが精一杯のように見える。


「…カっ…カっ」


ボーンナイトは、モルモートを見て…、次には俺の方を見てきた。

そして、ゆっくりと歩いてやってくる。


あ、これはやばいやつだ。


「に、逃げよう!」


あんなのと戦ったら負けるに決まってるだろ!俺はまだレベル1だし、武器も何も持っていないんだから、レベル20のやつに勝てるはずがない。

だから、ここは逃げるのが最善の手だ!


「は、早く…!」


足が少しすくんで、上手く走れないが、それでも精一杯の力で走る。


「…カっ…カっ」


「ぷ…ぷい…」


「…え…」


後ろから、モルモートの声が聞こえたから、振り返ると、

そこには、モルモートの前で止まり、剣を振りかざそうとしているボーンナイトがいた。


ボーンナイトは、俺ではなく、モルモートに狙いを定めたようだ。

モルモートもさっきの攻撃を受けたせいで、立つことが精一杯になっており、逃げることができないでいたのだ。







い、いやダメだ。俺が言った所で、ボコボコにされるだけだ。何もできない。

だから…


「ぷ…ぷい…」


「…………」


何もできない。そんなことはわかっている。



「はー…はー…」



けれど、俺は、あの泣きそうな声でないているモルモートを放置できるような男ではないんだ!!


「…やってやるよ!」


俺は、地面に落ちている石を一気に取り、ボーンナイトの方に走り出した。































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