1回40分だけのララバイ(原案)

大野真愛

第1話 貴方と私は患者とSW(ソーシャルワーカー)

今日も眠い。

私はそう思っていつもここではうたた寝している。

いや、爆睡かこれは。

お恥ずかしくも睡眠時無呼吸症候群を持っている私はいつも眠い。

ここまで太ってない頃からいびきが酷くて、パートナーに何人ドン引きされたか。

なので既にどうでもいいのだがモテない(涙)


「ゆきのさーん」

いつものように寝ていると、名前を呼ばれる。

SW(ソーシャルワーカー)の夏重さんだ。

SWってのは基本社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持っている立場の人で、精神科病院で患者の話を聞いたり、書類を書いたりしている人だと聞く。

まあ、医療や福祉の現場は資格商売だからね。

資格を持っていないと何にも出来ないのよ。

私の障害者仲間には、「SWは書類だけ書いていればいい!」と言い切る人がいるが、私的にはカウンセラーでも何でもそうだけども気が合えばいいと思う。

私が通うこの「はれなアイ病院」は昼休憩が無く、患者に取っては通いやすい病院だ。

病院スタッフに取っては地獄だろうが。

「雪乃春華さーん」

「ふあいっ!」

いつもの事だが呼ばれて慌てて飛び起きる。


夏重さんにどうぞ中へといつものように個室に迎え入れてくれる。

夏重さんは私と変わらない30代くらいの容姿をした男性だ。

名前は知らない。

てか私達支援される障害者が支援者である医療や福祉のスタッフの名前は、名刺を渡してくれる人くらいしか知らない。

だいたい、医療や福祉のスタッフの名前はおあつらえ向きにむっずかしい名前で、一概にして読めない事が多すぎなのだが。

私は主治医の名前の漢字は知っているが、全く読めない。


「今日もよろしくお願いします!」

そう言って私はいつものように着席する。

「前回ピアサポーターの研修に申し込むと言っていましたがどうですか?」

夏重さんはいつものように冷静に話を始める。

私は「はい、今度説明会に行くんですよ」と笑顔で答えた。


ピアサポーターと言うのは障害や病気を持った人が、同じ障害や病気を持った人と助け合う立場で働く人だ。

日本ではアメリカなんかよりずっと遅れていて、電車代すら出ないボランティアとして生きがい搾取で活動しているのが主だ。

それでも近年少しずつ国が動き始めていて、研修を行う事で受講者に認定証を渡し、ピアサポーターとしてお金を貰う為の仕事を与えようとしている。


私は笑顔で夏重さんに話続ける。

「ピアサポーターとしてお金を貰うって大変ですね! 無償ボランティアなら気軽にスタッフとして活動出来るのに、資格商売の医療や福祉の立場に立とうとするのは苦労がいるんだなあって。私はハロワで精神保健福祉士を取りなさいって言われたけども、まずはピアサポーターの認定書ですね。大学行くにもお金が掛かるし、ピアサポーターとして無償ボランティアとして活動して行かないと実際付けないし…」


夏重さんはそれを聞いて「へーそうですか」とだけ答えた。

私はそれを聞いて障害者が集まる当事者会で活動している時の事を思い出す。

夏重さんと私はとりあえず異性だ。

夏重さんも私が当事者会スタッフをやっていた時にあったトラブルのように、恋愛トラブルを起こさないように必死で、必死で、私が付けた会話のフックに引っ掛からないように…


「ぶっはあああ!」

私は思わず吹き出して笑ってしまった!

面白おかしくてしょうがない。

夏重さんは何をびびっているのだw

夏重さんは突然笑いだした私にびっくりして困惑の表情を隠せないでいる。

私は「あーごめんなさい! あはは!」と返して誤魔化しておいた。


しかしSWも大変だw

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1回40分だけのララバイ(原案) 大野真愛 @oonomariya_1224

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