第4話 告白
「本当に大丈夫ですか?」
「はい。本当にご心配かけて申し訳ありません。」
私を心配してくれた彼が近くのカフェまで連れて来てくれたのだ。
「ここの紅茶おいしいですね。」
「そうですね。コーヒーもおいしいです。」
そして無言。そう、冬賀さんは基本的に話さない人なのだ。でもなぜか心地よいと思っていた。けれど、今はちょっと状況が違う。頭の中がまだ混乱している。夢じゃない。こんなリアルな夢があるわけがない。面接も、この紅茶も冬賀さんもこんなちゃんとした夢を見られるわけがない。そっとスマホをカバンの中でみた。間違いない。日付も間違いなく6年前だ。
「あ、もしかして、次も予定ありましたか?」
「いえいえ、すみません。今日はもうこれで終わりです。」
「そうですか。」
そういって、コーヒーを口に運ぶ冬賀さんがやはり愛しい、となぜか思ってしまう。6年経っても忘れなかった人だ。
これはきっと神様がくれたチャンスだ。人生をやり直すための。やっぱり私には小説を書く才能なんてなかったのだ。ならば普通の、仕事して、恋愛して、結婚して、そういう人生を歩めたら幸せじゃないか。そうだ、幸せに違いない。
「あの!」
「はい?」
「冬賀さん、その、私を好きだったりします?」
何を言ってるんだ私は!言った瞬間後悔した。どうしてこんなことを。まだやっぱり混乱しているんだ。
「はい。」
「え?」
「好きです。よろしければ、僕とお付き合いしてくれませんか?」
「もちろんです!はい、もちろんお願いします!」
やった!人生初の彼氏ができた!私の人生ここから変わる。きっと幸せな人生の幕開けなんだ。そう、この時は思っていた。
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